
家庭菜園で大切に育てたいちごに、アブラムシやハダニなどの害虫を見つけてお困りではありませんか。
美味しいいちごを収穫するためには、害虫対策が欠かせません。
この記事では、いちごに発生する害虫の被害症状からの見分け方、害虫が発生する根本的な原因、そして具体的な駆除方法までを初心者にも分かりやすく徹底解説します。
農薬を使わない自然由来の方法から、即効性が期待できるおすすめの市販薬、さらには害虫を二度と寄せ付けないための効果的な予防策まで網羅しているため、あなたの栽培環境に合った最適な対策が必ず見つかります。
結論として、いちごの害虫駆除を成功させるカギは「早期発見」と、風通しなどの「環境改善」、そして防虫ネットなどを活用した「物理的な予防」にあります。
この記事を参考に、害虫の悩みから解放され、安心して甘いいちごの収穫を目指しましょう。
目次
まずはいちごの害虫を特定 被害症状から見分ける
大切に育てているいちごの元気がなかったり、葉や実に異変が見られたりしたら、それは害虫の仕業かもしれません。
害虫駆除の第一歩は、原因となっている虫を正確に特定することです。
害虫の種類によって効果的な対策は異なります。
ここでは、いちごに発生しやすい代表的な害虫と、その被害症状から見分けるためのポイントを詳しく解説します。
日々の観察でいち早くサインを見つけ、適切な対処につなげましょう。
新芽や葉が縮れるアブラムシ
アブラムシは、体長1〜4mmほどの非常に小さな虫で、緑色や黒褐色など様々な種類が存在します。
いちごでは特にワタアブラムシなどが問題となります。
春から秋にかけて長期間発生し、繁殖力が非常に高いため、気づいたときには大群になっていることも少なくありません。
【被害症状と見分け方】
アブラムシは、いちごの新芽や葉の裏、若い茎といった柔らかい部分に集団で寄生し、口針を刺して汁を吸います。
吸汁された新芽や葉は栄養を奪われ、縮れたり変形したりして正常な生育が妨げられます。
また、アブラムシの排泄物である「甘露(かんろ)」によって葉がベタベタになるのも特徴です。
この甘露を放置すると、それを栄養源として黒いカビが発生する「すす病」を誘発し、光合成を阻害してしまいます。
さらに、ウイルス病を媒介する厄介な存在でもあるため、見つけ次第、早急な駆除が必要です。
葉の裏や新芽に小さな虫が密集していたり、葉が光ってベタベタしていたりしたらアブラムシを疑いましょう。
>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策
葉の色が抜けてかすり状になるハダニ
ハダニは体長0.5mm程度と肉眼での確認が難しい、クモの仲間の害虫です。
高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから夏場にかけて被害が拡大しやすくなります。
ベランダのプランター栽培など、雨が当たりにくく乾燥しやすい場所では特に注意が必要です。
【被害症状と見分け方】
主に葉の裏に寄生し、汁を吸います。被害を受けた部分は葉緑素が抜けて、針でつついたような白い小さな斑点が無数に現れます。
被害が進行すると、斑点同士がつながり、葉全体が白っぽく「かすり状」に見えるようになります。
光合成ができなくなった葉は元気を失い、最終的には枯れ落ちてしまいます。
ハダニが大量に発生すると、葉の裏や茎にクモの巣のような細い糸を張り巡らせることもあります。
葉の色が薄くなってきたと感じたら、葉の裏をよく観察してみてください。
白い紙を葉の下に置いて株を揺すると、小さな点が落ちて動くことで存在を確認できます。
実や葉に食害の跡が残るナメクジやヨトウムシ
葉や実に穴が開いていたら、ナメクジやヨトウムシによる食害の可能性が高いです。
どちらも夜行性のため、昼間は姿が見えず、朝になって被害に気づくことが多いのが特徴です。
【被害症状と見分け方】
ナメクジは、湿った環境を好み、日中はプランターの底やマルチの下に隠れています。
夜になると活動を始め、葉や茎、特に熟しかけた柔らかい実を好んで食べます。食害された跡は不規則な形にえぐられ、食べた実に腐敗菌が入りやすくなります。
ナメクジが這った跡には銀色に光る筋が残るため、これが存在の何よりの証拠です。
>>【即効解決】ナメクジ駆除は実績豊富な業者へ!料金プランとサービス内容
一方、ヨトウムシは「夜盗虫」という名の通り、ヨトウガの幼虫です。
日中は土の中に潜み、夜間に地上に出てきて葉や実を猛烈な勢いで食い荒らします。
若い幼虫は葉の裏側から表皮を残して食べるため、葉が白く透けて見えるようになります。
成長すると葉脈を残して食べ尽くすほどの食欲を見せ、株を丸裸にすることもあります。
株元に不審な穴やフンが落ちていたら、近くの土を少し掘り返してみると見つかることがあります。
>>【ヨトウムシ駆除の決定版】知らないと損!プロが教える発生原因から予防法まで
花や実に茶色いシミができるアザミウマ
アザミウマは、体長1〜2mmほどの非常に細長い虫で、スリップスとも呼ばれます。
成虫は飛ぶことができ、どこからともなく飛来して被害を及ぼします。
小さくて動きが素早いため、見つけるのが難しい害虫の一つです。
【被害症状と見分け方】
アザミウマは、主にいちごの花の中に潜み、おしべやめしべ、実になる部分(子房)を吸汁します。
花が被害を受けると受粉がうまくいかず、実が奇形になったり、大きくならなかったりします。
また、果実の表面が吸汁されると、その部分の細胞が死んでしまい、茶色くザラザラしたシミや傷(かすり状果)となって現れます。
せっかく実っても見た目が悪くなり、商品価値が大きく損なわれます。被害の有無は、白い紙の上で花をトントンと軽く叩いてみてください。
小さな虫が落ちてくれば、アザミウマがいる証拠です。
>>【決定版】アザミウマの駆除方法まとめ|農薬を使わない自然な対策から予防まで網羅
その他いちご栽培で注意したい害虫
これまで紹介した害虫以外にも、いちごには注意すべき害虫がいます。
被害のサインを見逃さないようにしましょう。
【コナジラミ類】
体長1〜2mm程度の白い小さな虫で、羽があり、植物を揺らすと白い粉のように一斉に飛び立ちます。
葉の裏に寄生して吸汁し、アブラムシと同様にすす病やウイルス病の原因となります。
【コガネムシの幼虫】
土の中に生息し、いちごの根を食害します。地上部に害虫の姿は見えないのに、株全体が急にしおれたり、水やりをしても回復しなくなったりした場合は、根の被害が疑われます。
株元がぐらつくのもサインの一つです。
【テントウムシダマシ】
益虫であるナナホシテントウなどとは異なり、植物を食べる害虫です。
代表的なニジュウヤホシテントウは、成虫も幼虫も葉の表面を網目状に削り取るように食害し、特徴的な食害痕を残します。
なぜ害虫は発生するのか いちご栽培の環境を見直そう
いちごに付く害虫を一生懸命駆除しても、次から次へと発生して困っていませんか?それは、害虫が発生しやすい環境になっているのかもしれません。
害虫の駆除と同時に、いちごの栽培環境を見直すことが、根本的な解決への近道です。
害虫が好む環境は、いちごの生育にとっても悪影響を及ぼし、うどんこ病や灰色かび病といった病気の原因にもなります。
ここでは、害虫を呼び寄せてしまう主な3つの原因と、その改善策を詳しく解説します。
風通しが悪く湿気がたまっている
多くの害虫や病原菌は、ジメジメとした湿気の多い場所を好みます。
特に、アブラムシやハダニ、コナジラミといった小さな害虫は、風通しが悪く空気がよどんだ環境で爆発的に増殖する傾向があります。
葉が密集しすぎている、プランターを壁際にぴったりつけている、といった状況は要注意です。
葉が茂りすぎると株元まで日光が届かず、湿気がこもりやすくなります。
これは、カビが原因で発生する「うどんこ病」や「灰色かび病」の温床にもなります。
対策として、まずは「葉かき」を定期的に行いましょう。
古くなった葉や黄色く変色した葉、内側に向かって生えている葉などを根元から取り除くことで、株全体の風通しと日当たりが格段に改善されます。
また、プランターや鉢植えで栽培している場合は、壁から少し離して置いたり、スタンドを利用して高さを出したりするだけでも空気の流れが良くなります。
水やりは、葉の上からかけるのではなく、株元に静かに与えることを心がけ、土の表面が乾いてから次の水やりをするようにしましょう。
窒素肥料の与えすぎ
植物の成長に欠かせない肥料ですが、与えすぎ、特に「窒素(チッソ)」成分の過剰は害虫を呼び寄せる大きな原因となります。
窒素は葉や茎を大きくする「葉肥(はごえ)」として知られていますが、これが多すぎると、いちごの株が軟弱に育ってしまいます。
これを「軟弱徒長」と呼びます。
軟弱徒長した株は、細胞壁が薄く柔らかくなるため、アブラムシなどの吸汁性害虫にとって格好の餌食となります。
また、植物体内のアミノ酸が過剰になり、これを好むアブラムシがさらに集まりやすくなるという悪循環に陥ります。
肥料を与える際は、製品に記載されている規定量を必ず守りましょう。
特に、花が咲き実が成り始める時期には、実の成長を助ける「リン酸」や根を強くする「カリ」が多く含まれた肥料に切り替えるのがおすすめです。
バランスの取れた施肥を心がけることが、丈夫で病害虫に強い株を育てる秘訣です。
雑草を放置している
プランターの隅や株の周りに生えている雑草をそのままにしていませんか?雑草は、害虫にとって絶好の隠れ家や繁殖場所になります。
例えば、アブラムシやハダニ、ナメクジ、ヨトウムシの幼虫などは、まず周囲の雑草に住み着き、そこからいちごの株へと移動してくるケースが非常に多いです。
また、雑草が茂ることで株元の風通しが悪くなり、湿気がたまる原因にもなります。
さらに、いちごが吸収すべき水分や養分を雑草に横取りされてしまい、生育不良につながることもあります。
雑草は小さいうちにこまめに抜き取ることを習慣にしましょう。
雑草対策として非常に有効なのが「マルチング」です。
黒いビニールフィルムや敷きわらで土の表面を覆うことで、雑草の発生を抑制できるだけでなく、雨による泥はねを防いで病気を予防したり、地温を安定させたり、アブラムシの飛来をある程度防いだりする効果も期待できます。
手間を少し加えるだけで、害虫のリスクを大幅に減らすことができます。
いちごの害虫駆除 5つの基本アプローチ
いちごに害虫を見つけても、慌てる必要はありません。
害虫の種類や発生状況、そしてあなたの栽培スタイルに合わせて、駆除方法を選択することが大切です。
ここでは、家庭菜園で実践できる5つの基本的な駆除アプローチをご紹介します。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、最適な方法を組み合わせていきましょう。
手で取る水で流すなどの物理的駆除
最も手軽で安全なのが、道具や薬剤を使わずに直接害虫を取り除く「物理的駆除」です。
特に、栽培している株数が少ないプランター栽培や家庭菜園では、日々の観察と合わせて行うことで、被害の拡大を初期段階で防ぐことができます。
アブラムシやハダニのように小さな害虫が群がっている場合は、粘着テープの粘着面を押し当てて捕獲したり、霧吹きやホースで水を勢いよくかけて洗い流したりするのが効果的です。
特に葉の裏は害虫の隠れ家になりやすいため、葉裏にもしっかりと水をかけるのがポイントです。
ナメクジやヨトウムシといった比較的大きな害虫は、割り箸やピンセットで一匹ずつ捕殺します。
この方法は、薬剤を使わないため、いちごの実への影響を心配する必要がなく、見つけ次第すぐに対処できるのが最大のメリットです。
農薬を使わない自然由来のスプレーでの駆除
「化学農薬は使いたくないけれど、手で取るだけでは追いつかない」という方には、自然由来の成分を使った手作りスプレーや市販のスプレー剤がおすすめです。
化学合成農薬に比べて効果は穏やかですが、環境への負荷が少なく、安心して使用できるのが魅力です。
予防的な効果や、害虫を寄せ付けにくくする忌避効果が期待できます。
牛乳や木酢液スプレーの作り方と使い方
家庭にあるもので簡単に作れる代表的なスプレーが「牛乳スプレー」と「木酢液スプレー」です。
アブラムシやハダニには、牛乳と水を1:1で割ったものをスプレーし、乾かして窒息させる方法があります。
ただし、散布後は牛乳が腐敗して臭いやカビの原因になるため、必ず水で洗い流してください。
一方、木酢液は炭を焼く際に出る煙を冷却して作られる液体で、独特の燻製のような香りが害虫を遠ざける効果(忌避効果)が期待できます。
製品に記載された希釈倍率(通常500〜1000倍)を守って水で薄め、葉の表裏に散布します。
土壌に散布することで、土壌中の有用な微生物を増やす効果も期待できます。
食品成分由来のおすすめスプレー剤
手作りする時間がない方や、より手軽に対策したい方には、食品成分を主原料とした市販のスプレー剤が便利です。
これらは食酢やデンプン、水あめ、ヤシ油といった安全性の高い成分で作られており、お子様やペットがいるご家庭でも安心して使用できます。
製品によっては、収穫前日や収穫当日まで使用できるものも多く、いちご栽培には非常に心強い存在です。
代表的な製品には、食酢の力で病害虫を退治・予防するアース製薬の「やさお酢」などがあります。
使用する際は、必ず製品ラベルを確認し、対象害虫や使用方法を守って散布してください。
天敵を利用した生物的防除
害虫をその天敵となる昆虫(益虫)に食べてもらうことで数を減らす方法を「生物的防除」と呼びます。
例えば、アブラムシの天敵であるテントウムシやヒラタアブ、ハダニの天敵であるカブリダニなどを活用します。
農家向けにはこれらの天敵が製剤として販売されていますが、家庭菜園では、天敵が好む環境を作ることで自然に呼び込むのが現実的です。
コンパニオンプランツとしてキク科やセリ科の植物(カモミール、マリーゴールド、パセリなど)をいちごの近くに植えると、益虫が集まりやすくなります。
化学農薬の使用を控えることで、これらの益虫が活動しやすい環境を維持することも重要です。
即効性が高い市販薬を使った化学的駆除
害虫が大量に発生し、物理的駆除や自然由来のスプレーでは手に負えなくなった場合の最終手段が、市販の農薬(殺虫剤)を使った「化学的駆除」です。
化学農薬は効果が高く即効性に優れていますが、使用には十分な注意が必要です。
まず、購入する際は必ずパッケージを確認し、「いちご」に使用できる登録がある農薬を選びましょう。
農薬には、薬剤が直接かかった害虫に効く「接触剤」や、植物が成分を吸収し、その汁を吸った害虫を駆除する「浸透移行性剤」など様々なタイプがあります。
使用する際は、ラベルに記載された希釈倍率、使用時期、使用回数、そして特に「収穫前日数(散布してから収穫できるまでの日数)」を厳守してください。
散布作業をするときは、マスクや手袋、保護メガネを着用し、風のない早朝や夕方に行うのが基本です。
【目的別】いちごの害虫駆除におすすめの市販薬7選
自然由来のスプレーや天敵利用でも害虫の勢いが止まらない場合は、市販の薬剤(農薬)の使用を検討しましょう。
市販薬は即効性が高く、広範囲に発生した害虫を効率的に駆除できるのが最大のメリットです。
ここでは、家庭菜園でのいちご栽培で使いやすく、効果の高い薬剤を目的別に7種類厳選してご紹介します。
使用する際は、必ず製品のラベルに記載されている使用方法、希釈倍率、使用時期、総使用回数を守ってください。
初心者でも使いやすいスプレータイプの殺虫剤
家庭菜園が初めての方や、手軽に害虫対策をしたい方には、希釈の手間がなくそのまま使えるスプレータイプの殺虫剤がおすすめです。
病気の予防もできるタイプを選べば、1本でいちごの健康管理ができます。
住友化学園芸「ベニカXネクストスプレー」
幅広い害虫に効果がある殺虫成分と、病気に効く殺菌成分を配合したオールインワンタイプのスプレーです。
アブラムシやハダニ、アザミウマなど、いちごに発生しやすい多くの害虫をまとめて駆除できます。
さらに、いちごがかかりやすい「うどんこ病」や「灰色かび病」の予防と治療効果も期待できるため、病害虫対策をこれ1本で始めたい初心者の方に最適です。
アース製薬「アースガーデン やさお酢」
化学合成された農薬に抵抗がある方におすすめなのが、食酢100%で作られたこのスプレーです。
有効成分である酢がアブラムシやハダニを包み込んで窒息させ、病気の原因菌も抑制します。
食品成分由来なので、収穫前日まで何度でも使用できるのが嬉しいポイント。
お子様やペットがいるご家庭でも安心して使いやすく、有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用が認められています。
アブラムシやハダニに効果的な薬剤
いちご栽培で特に被害が広がりやすいのが、アブラムシとハダニです。
これらの害虫は繁殖力が非常に高いため、発生を確認したら専用の薬剤で迅速に対応することが大切です。
住友化学園芸「ダニ太郎」
その名の通り、ハダニ類の駆除に特化した殺ダニ剤です。
ハダニは世代交代が早く、同じ薬剤を使い続けると抵抗性を持つ個体が出現しやすい厄介な害虫ですが、「ダニ太郎」は卵、幼虫、成虫のすべてのステージに効果を発揮するため、効率的に駆除できます。
ハダニの被害が目立ち始めたら、葉の裏までしっかり散布しましょう。
OATアグリオ「サンクリスタル乳剤」
有効成分の調合油が、害虫の体を物理的にコーティングして気門を塞ぎ、窒息させて駆除するタイプの薬剤です。
物理的に作用するため、薬剤抵抗性がついたハダニやアブラムシにも効果が期待できます。
収穫前日まで使用できる安全性の高さも魅力です。
ナメクジやヨトウムシには誘引殺虫剤
夜間に活動し、実や葉を食い荒らすナメクジやヨトウムシには、食べさせて駆除する「誘引殺虫剤(ベイト剤)」が効果的です。
株元やプランターの周りに撒くだけなので、手間がかかりません。
ハイポネックスジャパン「ナメトール」
ナメクジやカタツムリが好む成分で誘引し、食べさせて駆除する粒状の薬剤です。
有効成分は天然の土壌中にも存在するリン酸鉄で、有機JAS規格にも適合しています。
雨や湿気に強い製剤なので効果が持続しやすく、犬や猫などのペットがいる環境でも比較的安心して使用できるのが特徴です。
住友化学園芸「サンヨール」
ヨトウムシ(夜盗虫)をはじめとするチョウやガの幼虫に高い効果を発揮する薬剤です。
株元に散布することで、夜間に土の中から出てきて新芽や葉を食害するヨトウムシを効果的に駆除します。
いちごだけでなく、キャベツやハクサイなどの野菜にも幅広く使えます。
収穫期にも使える安全性の高い薬剤
「もうすぐ収穫なのに害虫が発生してしまった」という場面で頼りになるのが、収穫の直前まで使える安全性の高い薬剤です。
成分や使用可能時期をよく確認して選びましょう。
アース製薬「アースガーデン ロハピ」
なたね油やでんぷんといった食品由来の成分で作られた殺虫殺菌剤です。
アブラムシやハダニを物理的に窒息させる効果があり、収穫前日まで回数制限なく使用できます。
化学農薬を使いたくない方や、収穫期間中の害虫対策に最適です。
臭いが少なく、使用後すぐにいちごを収穫できる手軽さも魅力です。
もう悩まない 害虫を寄せ付けないための予防策
いちご栽培で最も重要なのは、害虫が発生してから駆除することではなく、そもそも害虫を寄せ付けない環境を作ることです。
事前の予防策を徹底することで、農薬の使用を最小限に抑え、安全で美味しいいちごを収穫することにつながります。
ここでは、誰でも簡単に取り組める効果的な予防策を3つご紹介します。
防虫ネットやマルチングを徹底活用する
物理的に害虫の侵入経路を断つことは、最も基本的で効果の高い予防策です。
特に家庭菜園やプランター栽培では必須の対策と言えるでしょう。
まず、アブラムシやアザミウマ、コナジラミといった飛来してくる害虫には「防虫ネット」が有効です。
支柱を立ててトンネル状に覆い、裾に隙間ができないように土や重しでしっかりと固定します。
ネットの目は1mm以下の細かいものを選ぶと、より小さな害虫の侵入も防ぐことができます。
ただし、いちごの開花期には受粉を助けるミツバチなどが入れるよう、日中だけネットを外すか、筆などを使って人工授粉を行う必要があります。
次に、地面を覆う「マルチング」も欠かせません。黒やシルバーのポリフィルム、あるいはワラやもみ殻などで株元の土を覆うことで、多くのメリットが得られます。
土の泥はねを防いで、灰色かび病などの病気のリスクを低減させるほか、土壌の急激な乾燥を防ぎ、乾燥を好むハダニの発生を抑制します。
また、雑草が生えるのを防ぐことで、害虫の隠れ家をなくす効果もあります。
特にシルバーマルチは光を反射するため、アブラムシを寄せ付けにくくする忌避効果も期待できます。
コンパニオンプランツを一緒に植える
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。
特定の野菜やハーブをいちごの近くに植えることで、害虫を遠ざけたり、天敵を呼び寄せたりする効果が期待できます。
いちごのコンパニオンプランツとして代表的なのは、ニンニクやチャイブ、ラッキョウといったネギ科の植物です。
これらが持つ特有の強い香りは、アブラムシなどの害虫を遠ざける効果(忌避効果)があると言われています。
また、土中の病原菌を抑える働きも期待でき、いちごを病気から守ってくれます。
いちごの株間やプランターの空いたスペースに一緒に植えるだけで、手軽に病害虫に強い環境を作ることができます。
ただし、あまり密集させすぎると風通しが悪くなるため、適度な間隔をあけて植えるようにしましょう。
日々の観察と葉水で早期発見を心がける
どんなに予防策を講じても、害虫の発生を100%防ぐことは困難です。
そこで重要になるのが、毎日の観察を習慣にし、害虫を初期段階で発見して対処することです。
害虫は数が少ないうちなら、手で取り除いたり、薬剤を使わずに駆除したりすることが容易です。
観察する際は、特にアブラムシやハダニが潜みやすい「葉の裏側」を重点的にチェックしましょう。
新芽が縮れていないか、葉の色がかすり状に抜けていないか、フンや卵がついていないかなど、日々の小さな変化を見逃さないことが大切です。
観察とあわせて行いたいのが「葉水(はみず)」です。霧吹きやシャワーを使い、葉の裏側を中心に水をかけることで、乾燥を嫌うハダニの発生を効果的に予防できます。
また、葉についたホコリを洗い流して光合成を助けたり、小さなアブラムシを物理的に吹き飛ばしたりする効果も期待できます。葉水は、葉が乾きやすい晴れた日の午前中に行うのが最適です。
夕方以降に行うと、水分が乾ききらずに残り、うどんこ病などの病気の原因になる可能性があるため注意しましょう。
日々のこまめな観察とケアが、いちごを健やかに育てる一番の近道です。
まとめ
本記事では、いちご栽培における害虫の見分け方から、発生原因、具体的な駆除方法、そして効果的な予防策までを網羅的に解説しました。
美味しいいちごを育てるためには、まずアブラムシやハダニといった害虫を被害症状から正しく特定することが、適切な対策への第一歩となります。
害虫が発生する根本的な原因は、風通しの悪さや窒素肥料の与えすぎなど、栽培環境にある場合がほとんどです。
そのため、害虫を駆除するだけでなく、日頃から株が健康に育つ環境を整えることが最も重要です。
防虫ネットの設置やコンパニオンプランツの活用といった予防策を徹底することが、結果的に農薬の使用を減らし、安定した収穫へと繋がります。
万が一害虫が発生した場合は、初期段階であれば物理的な駆除や自然由来のスプレーで対応し、被害の拡大に応じて目的別の市販薬を適切に利用しましょう。
本記事で紹介した方法を参考に、ご自身の栽培スタイルや状況に合わせた最適なアプローチを選択してください。
日々の観察を怠らず、早期発見と予防を心がけること。
これこそが、害虫の悩みから解放され、甘くて美味しいいちごを収穫するための最大の秘訣です。

