
庭で大切に育てている柿の木に虫がついてしまい、どう駆除すれば良いかお困りではないでしょうか。
特に家庭菜園では「できるだけ農薬を使わずに安全な柿を収穫したい」と考える方が多いはずです。
この記事を読めば、初心者の方でも簡単にできる、農薬に頼らない柿の木の害虫対策がすべて分かります。
柿によくつくイラガやカミキリムシといった害虫の種類と被害の見分け方から、発生してしまった際の具体的な駆除方法、さらには季節ごとの年間管理スケジュールまでを網羅的に解説します。
実は、柿の木の害虫対策で最も重要なのは、発生後の駆除よりも「日頃の予防」です。
剪定や冬の粗皮削りなどで害虫が寄り付きにくい環境をあらかじめ作っておくことが、農薬を使わずに元気な木を育て、美味しい実を収穫するための最も効果的な方法なのです。
さっそく、今日からできる対策を始めて、大切な柿の木を害虫から守りましょう。
目次
柿の木に発生しやすい害虫の種類と被害のサイン
大切に育てている柿の木に異変を見つけたら、それは害虫の仕業かもしれません。
葉が食べられていたり、幹に穴が開いていたり、実が落ちてしまったりと、被害のサインは様々です。
害虫駆除の第一歩は、まず敵を知ること。
ここでは、柿の木に特に発生しやすい代表的な害虫の種類と、それぞれが見せる特徴的な被害のサインについて詳しく解説します。
早期発見が、農薬を使わない対策を成功させる鍵となります。
葉を食べる害虫 イラガやアメリカシロヒトリ
柿の木の葉がレースのように透けていたり、枝先がクモの巣のようなもので覆われていたりしたら、葉を食害する害虫の発生を疑いましょう。
特に注意したいのが「イラガ」と「アメリカシロヒトリ」です。
イラガの幼虫は、鮮やかな緑色をしたケムシで、体中に毒のあるトゲを持っています。
うっかり触れてしまうと電気が走ったような激しい痛みに襲われるため、「電気虫」とも呼ばれます。
発生初期は葉の裏に集団で潜み、葉脈を残して食べるため、葉が白く透けたレース状になるのが特徴です。
成長すると分散し、葉全体を食い尽くします。
葉の下に黒い小さなフンがたくさん落ちていたら、イラガがいるサインです。
主に6月から9月にかけて発生します。
一方、アメリカシロヒトリは、白い毛に覆われたケムシで、枝先に糸を吐いて巣網を作るのが大きな特徴です。
発生初期は巣の中で集団で葉を食害し、被害が進むと巣を広げながら移動していきます。
放置すると木全体の葉を食べ尽くされ、丸坊主にされてしまうこともあります。
年に2回、6月〜7月と8月〜9月頃に発生のピークを迎えます。
枝先に白いテントのような巣を見つけたら、すぐに対処が必要です。
幹に穴を開ける害虫 カミキリムシ
柿の木の幹の根元におがくずのような木くずが落ちていたら、それは非常に危険なサインです。
幹の内部を食い荒らすカミキリムシの幼虫(テッポウムシ)の仕業である可能性が高いでしょう。
柿の木に被害を与えるのは、主にゴマダラカミキリです。
成虫は初夏から夏にかけて現れ、木の幹や枝の樹皮をかじって産卵します。
孵化した幼虫は幹の内部に侵入し、木質部を食い荒らしながら成長します。
被害のサインは、幹の株元に排出される木くずとフンが混じった「フラス」です。
このフラスを見つけたら、すでに幼虫が内部で活動している証拠です。
被害が進行すると、木の内部が空洞になり、水の吸い上げが妨げられて樹勢が著しく低下します。
最悪の場合、木全体が枯れてしまうこともあるため、早期発見と駆除が不可欠です。
成虫が木の周りを飛んでいるのを見かけた際も注意が必要です。
樹液を吸う害虫 カイガラムシやアブラムシ
葉や枝がベタベタしていたり、黒いすすのようなもので覆われていたりする場合、樹液を吸う害虫が原因です。
代表的なものに「カイガラムシ」と「アブラムシ」がいます。
カイガラムシは、その名の通り貝殻のような硬い殻や白い綿で体を覆い、枝や幹、葉にびっしりと付着して樹液を吸います。
動かないため虫に見えないこともありますが、大量に発生すると木の栄養が奪われ、生育不良を引き起こします。
さらに、カイガラムシの排泄物を栄養源として「すす病」というカビが発生し、葉や枝が黒いすすで覆われてしまいます。
すす病は光合成を妨げるため、樹勢をさらに弱らせる原因となります。
アブラムシは、新芽や若い葉の裏に群生する小さな虫です。
こちらも樹液を吸うことで新芽の成長を阻害し、葉を縮れさせます。
カイガラムシ同様、排泄物がすす病を誘発するほか、ウイルス病を媒介することもあり、見つけ次第すぐに対処したい害虫です。
柿の実を落とす害虫 カキノヘタムシガ
順調に育っていた柿の実が、熟す前にポロポロと落ちてしまう被害に悩まされたら、「カキノヘタムシガ」の発生を疑いましょう。
この害虫は柿の収穫量に直接的なダメージを与える、最も厄介な害虫の一つです。
カキノヘタムシガの幼虫が、柿のヘタの部分から果実の内部に侵入し、食害します。被害のサインは、ヘタごと実が落ちる「落果」です。
年に2回発生し、1回目のピークは6月頃。この時期に被害にあうと、まだゴルフボールほどの大きさの青い実が大量に落下します。
2回目のピークは7月下旬から8月頃で、大きくなった実が収穫前に落果してしまいます。
落ちた実のヘタの付け根をよく見ると、幼虫が侵入した小さな穴とフンが確認できることがあります。
この害虫への対策は、発生時期を的確に捉えることが重要になります。
柿の木の害虫駆除は予防が最も重要 農薬を使わない基本対策
柿の木を害虫から守る上で、最も効果的で大切なのは「発生させない」ことです。
害虫が一度大量発生してしまうと、駆除には多くの手間と時間がかかり、柿の木自体も弱ってしまいます。
農薬を使わない方法で美味しい柿を育てるためには、害虫が寄り付きにくい環境を日頃から整える「予防」こそが鍵となります。
ここでは、初心者の方でも簡単に取り組める、農薬に頼らない基本的な害虫予防対策を4つご紹介します。
これらの対策を実践することで、柿の木の健康を維持し、害虫の発生リスクを大幅に減らすことができます。
適切な剪定で風通しと日当たりを良くする
柿の木の害虫予防の第一歩は、適切な剪定です。枝が混み合って鬱蒼としていると、風通しが悪くなり湿気がこもりやすくなります。
このような環境は、カイガラムシやうどんこ病などの病害虫が好むため、発生の温床となってしまいます。
また、日光が木の内部まで届かないと、葉や枝が軟弱に育ち、害虫に対する抵抗力が落ちてしまいます。
剪定の最適な時期は、柿の葉がすべて落ちた後の休眠期である12月から2月頃です。
この時期に、内側に向かって伸びる「内向枝」、他の枝と交差している「交差枝」、枯れてしまった「枯れ枝」などを中心に切り落としましょう。
これにより、木全体の風通しと日当たりが劇的に改善されます。
太陽の光が幹や枝の内部までしっかりと当たることで、木が健康になり、害虫が隠れる場所も少なくなります。
さらに、剪定作業中に、枝に付着した害虫の卵や越冬中の幼虫を発見し、枝ごと取り除くこともできるため、春先の大量発生を未然に防ぐ効果も期待できます。
冬の間に粗皮削りを行い越冬害虫を駆除する
冬の間のもう一つの重要な作業が「粗皮削り(そひけずり)」です。
柿の木の幹は、年数が経つにつれて表面の樹皮が古くなり、ゴツゴツとめくれた状態になります。
この古くなった樹皮(粗皮)の隙間は、カイガラムシやカキノヘタムシガの幼虫など、多くの害虫にとって格好の越冬場所となります。春になると、ここで冬を越した害虫たちが一斉に活動を始め、新芽や実に被害を及ぼします。
粗皮削りは、剪定と同じく冬の12月から2月に行うのが効果的です。
ヘラやワイヤーブラシ、タワシなどを使って、幹の表面にある浮き上がった古い樹皮を優しく剥がし落とします。
このとき、力を入れすぎて幹の内部にある緑色の形成層を傷つけないように注意してください。
剥がし落とした樹皮には、害虫の卵や幼虫、蛹が潜んでいる可能性が非常に高いため、木の根元に放置せず、必ず集めてビニール袋に入れてゴミとして処分するか、焼却処分しましょう。
この地道な作業が、春以降の害虫被害を大きく減らすことに繋がります。
木酢液やニームオイルを散布して害虫を遠ざける
農薬を使わない害虫対策として、自然由来の資材を活用するのも有効な方法です。
特に「木酢液」と「ニームオイル」は、予防的な散布で効果を発揮します。
木酢液は、木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りが特徴です。
この香りを害虫が嫌うため、定期的に散布することでアブラムシなどを寄せ付けにくくする忌避効果が期待できます。
使用する際は、製品の指示に従い500倍から1000倍程度に水で薄め、葉の裏表や幹にまんべんなく散布します。
殺虫効果はありませんが、土壌の微生物を活性化させる効果もあると言われています。
ニームオイルは、「ニーム」というインド原産の樹木の種子から抽出されるオイルです。
害虫の食欲を減退させたり、脱皮や成長を阻害したりする成分「アザディラクチン」を含んでおり、幅広い害虫に対して効果が期待できます。
こちらも水で薄めて使用しますが、油分なので水と混ざりにくいため、少量の石鹸などを展着剤として加えると効果的です。
害虫が発生し始める春先から定期的に散布することで、被害を最小限に抑えることができます。
雑草をこまめに抜き害虫の隠れ家をなくす
見落としがちですが、柿の木の株元の雑草管理も非常に重要です。
雑草が生い茂っていると、アブラムシやヨトウムシ、ナメクジといった多くの害虫の隠れ家や繁殖場所になってしまいます。
また、株元の風通しが悪くなることで湿気が溜まり、病気の原因にもなります。
対策はシンプルで、こまめに雑草を抜くことです。
特に、害虫が活動を始める春から夏にかけては、定期的に株周りをチェックし、雑草が小さいうちに抜き取りましょう。
草抜きの手間を減らしたい場合は、刈り取った草やウッドチップ、腐葉土などで株元を覆う「マルチング」も有効です。
マルチングは雑草の発生を抑えるだけでなく、土の乾燥を防ぎ、地温を安定させる効果もあるため、柿の木の生育にも良い影響を与えます。
【害虫別】発生してしまった場合の具体的な駆除方法
柿の木の害虫対策は予防が基本ですが、それでも害虫が発生してしまうことはあります。
大切なのは、被害が広がる前に早期発見し、迅速に駆除することです。
ここでは、農薬を使わずにできる、代表的な害虫別の具体的な駆除方法を詳しく解説します。
作業の際は、安全のために必ず手袋などを着用しましょう。
イラガやミノムシは枝ごと切り取り駆除
イラガの幼虫(毛虫)やミノムシは、葉を食害する代表的な害虫です。
特にイラガの幼虫は毒針毛を持っており、触れると電気が走ったような激しい痛みに襲われるため、駆除の際は直接触れないよう細心の注意が必要です。
イラガの幼虫は、発生初期には特定の葉に集団で固まっています。
この時期に発見できれば、葉ごと枝を剪定ばさみで切り落とすのが最も安全で効果的な駆除方法です。
切り取った枝葉は、幼虫が広がらないようにすぐにビニール袋に入れて口を縛り、燃えるゴミとして処分してください。
幼虫が木全体に広がってしまった場合は、一匹ずつ割り箸や火ばさみで捕殺しますが、大変な手間と危険が伴います。
作業時は必ず厚手の手袋、長袖長ズボンを着用し、肌の露出を避けてください。
ミノムシ(オオミノガなど)は、その名の通り「蓑(みの)」をまとって葉を食べています。
数が少ないうちは、見つけ次第、手で一つずつ取り除くのが確実です。
取り除いた蓑は、地面に落とすだけでは中の幼虫が再び木に登る可能性があるため、足で踏み潰すか、袋に集めて処分しましょう。
特に冬場に枝に残っている蓑は、越冬中の個体です。この時期に取り除いておくと、翌春の発生を効果的に抑えることができます。
>>イラガ虫の駆除はこれで完璧!発生時期・見つけ方から効果的な駆除方法まで徹底解説
カイガラムシは歯ブラシなどでこすり落とす
カイガラムシは、柿の木の幹や枝にびっしりと付着し、樹液を吸って木を弱らせる害虫です。
成虫になると固い殻で体を覆うため、薬剤が効きにくいのが特徴です。
また、その排泄物は「すす病」という黒いカビを誘発する原因にもなります。
農薬を使わない最も確実な駆除方法は、物理的にこすり落とすことです。
使い古しの歯ブラシや、幹が太ければ亀の子たわし、ヘラなどを使って、一つひとつ丁寧に削ぎ落としていきます。
このとき、木の樹皮を傷つけないように力加減に注意してください。
作業の適期は、幼虫が活発に動き回る5月下旬から7月頃ですが、冬の休眠期に作業を行うと、葉がなくて見つけやすく、作業がはかどります。こすり落としたカイガラムシは、地面に放置せず、集めて処分することが大切です。
>>放置は危険!カイガラムシの駆除業者、費用を安く抑えるコツと探し方
カミキリムシの幼虫は針金で掻き出す
カミキリムシの成虫も木の皮を食害しますが、より深刻な被害をもたらすのは、幹の内部に侵入する幼虫(テッポウムシ)です。
幼虫が幹の内部を食い荒らすと、水の通り道である道管が破壊され、木が急に弱ったり、最悪の場合は枯れてしまったりすることもあります。
カミキリムシの幼虫がいるサインは、幹の根元や枝の分岐部に落ちている「木くず」や「フン」です。
これらを見つけたら、その真上あたりに幼虫が侵入した小さな穴があるはずです。
駆除するには、その穴に硬い針金や細いドライバーを差し込み、中の幼虫を刺し殺すか、掻き出します。
針金を動かしてみて、手ごたえがなくなったり、体液が出てきたりすれば駆除できています。
駆除後は、穴から雨水や雑菌が入るのを防ぐため、市販の癒合剤(ゆごうざい)を塗って穴を塞いでおくと安心です。
>>カミキリムシ駆除【業者完全ガイド】費用・時期・依頼の流れを徹底解説
アブラムシは牛乳スプレーや粘着テープで駆除
アブラムシは、春先に柿の木の新芽や若葉の裏にびっしりと群生し、樹液を吸います。
繁殖力が非常に高く、あっという間に増殖し、葉の変形や生育不良を引き起こします。
また、カイガラムシ同様、排泄物がすす病の原因となります。
発生がごく一部であれば、ガムテープなどの粘着テープをペタペタと貼り付けて取り除くのが手軽で簡単です。
広範囲に発生してしまった場合は、牛乳を使ったスプレーが有効です。
牛乳と水を1:1の割合で混ぜたものをスプレーボトルに入れ、アブラムシ全体が濡れるように吹きかけます。
牛乳が乾く際に膜が張り、アブラムシの気門を塞いで窒息させる効果があります。
ただし、スプレーした後は牛乳が腐敗して臭いやカビの原因になるため、数時間後に必ず水でしっかりと洗い流してください。
また、ホースの水で勢いよく洗い流すだけでも、ある程度の数を駆除することができます。
>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策
【季節別】柿の木の年間害虫対策スケジュール
柿の木の害虫対策を成功させる鍵は、年間を通じた計画的な管理にあります。
害虫の活動は季節によって変化するため、それぞれの時期に合わせた適切な予防と駆除を行うことが、農薬に頼らずに美味しい柿を育てるための重要なポイントです。
ここでは、初心者の方でも実践しやすいように、季節ごとの作業内容を具体的に解説します。
この年間スケジュールを参考に、あなたの柿の木を害虫から守りましょう。
冬の作業(12月~2月) 越冬害虫の駆除と予防
冬は多くの害虫が卵や幼虫の姿で越冬する時期です。
この時期に害虫の発生源を徹底的に叩いておくことで、春以降の被害を大幅に減らすことができます。
一見、木が休んでいるように見える冬こそ、来シーズンに向けた最も重要な準備期間なのです。
主な作業は「粗皮削り(そひけずり)」です。
ゴツゴツとした古い樹皮(粗皮)の隙間には、カイガラムシやカキノヘタムシガの幼虫などが隠れて冬を越しています。
ヘラやタワシなどを使って、この古い樹皮を優しく剥がし落としましょう。
ただし、生きている形成層を傷つけないよう、力加減には注意が必要です。
削り取った樹皮は、そのままにせず必ず集めて処分してください。
また、この時期に行う剪定も、不要な枝を減らして越冬場所をなくし、春以降の風通しを良くする効果的な害虫予防策となります。
春の作業(3月~5月) 新芽の保護と発生初期の駆除
暖かくなり新芽が芽吹く春は、害虫たちも活動を再開する季節です。
特に、柔らかい新芽や若葉はアブラムシの格好の標的となります。
この時期は、柿の木をこまめに観察し、害虫の発生をいち早く察知することが大切です。
まずは、新芽や葉の裏を定期的にチェックしましょう。
アブラムシが数匹いる程度なら、粘着テープに貼り付けたり、手で取り除いたりするのが最も手軽です。
数が増えてきた場合は、牛乳と水を1:1で混ぜたスプレーや、木酢液の希釈液を散布するのが効果的です。
また、5月下旬頃からは、柿の実が落ちる最大の原因であるカキノヘタムシガの第一世代が活動を始めます。
この時期に実に袋かけを行うことで、産卵を防ぐことができます。
アメリカシロヒトリもこの時期から発生し始めるため、葉にクモの巣状の巣を見つけたら、葉ごと切り取って速やかに処分しましょう。
夏の作業(6月~8月) 害虫の最盛期への対策
夏は気温の上昇とともに、多くの害虫の活動が最も活発になる時期です。
葉を食い荒らすイラガやアメリカシロヒトリ、幹に侵入するカミキリムシ、そしてカキノヘタムシガの第二世代など、様々な害虫が発生し、被害が拡大しやすいため、油断は禁物です。
葉の食害跡を見つけたら、イラガやアメリカシロヒトリの幼虫を探してください。
特にイラガは毒針毛を持つため、絶対に素手で触らず、ゴム手袋などを着用し、幼虫が集まっている枝ごと切り落として駆除します。
幹の根元に木くず(フラス)が落ちていたら、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が中にいるサインです。
穴に針金を差し込んで掻き出すか、専用のノズルが付いた殺虫スプレーで対処します。
また、7月下旬から8月にかけてはカキノヘタムシガの被害が最も多くなります。
ヘタの部分が黒ずんだり、不自然に早く色づいたりした実は被害果の可能性が高いので、早めに摘み取って処分し、被害の拡大を防ぎましょう。
秋の作業(9月~11月) 収穫と来年に向けた準備
待ちに待った収穫の秋。美味しい実を味わうと同時に、来年に向けた大切な準備を始める時期でもあります。
この時期の作業が、翌年の害虫発生を抑えるための土台となります。
収穫時には、実にカイガラムシなどが付着していないかを確認しましょう。
収穫が終わったら、病害虫の温床となる落ち葉や地面に落ちたままの実をきれいに掃除します。
これらを放置すると、害虫たちが格好の越冬場所を見つけてしまいます。集めた落ち葉や実は、土に埋めるか、ゴミとして適切に処分してください。
そして、収穫で体力を消耗した柿の木には、「お礼肥(おれいごえ)」として油かすや鶏糞などの有機質肥料を与えましょう。
樹勢を回復させ、木を健康に保つことが、病害虫に対する抵抗力を高める上で最も基本的な予防策となります。
まとめ
美味しい柿を安全に収穫するためには、害虫対策が不可欠です。
この記事では、農薬を使わずにできる柿の木の害虫駆除と予防法について解説しました。
最も重要な結論は、害虫が発生してから慌てて対処するのではなく、「発生させないための予防」こそが最善の策であるということです。
日当たりと風通しを良くする「適切な剪定」や、越冬する害虫の卵を物理的に取り除く冬の「粗皮削り」は、害虫の発生を大幅に抑える効果があります。
また、木酢液やニームオイルといった自然由来の資材を活用することで、害虫を寄せ付けにくい環境を作ることができます。これらの予防策を徹底することが、農薬に頼らない栽培への第一歩です。
万が一、イラガやカミキリムシ、カイガラムシといった害虫が発生してしまった場合でも、それぞれに応じた物理的な駆除方法があります。
年間スケジュールを参考に、季節ごとの変化に注意しながら柿の木を観察し、早期発見・早期駆除を心がけましょう。
本記事で紹介した方法を実践し、ご家庭で安心・安全な美味しい柿の収穫を目指してください。

