部屋や畑にテントウムシが大量発生してお困りではありませんか?実は、部屋にいるのは越冬目的の益虫、畑にいるのは作物を食べる害虫の可能性があります。
この記事では、害虫と益虫の見分け方から、部屋と畑それぞれの場所に応じた駆除方法、二度と寄せ付けないための予防策までを解説します。
掃除機やペットボトルなど身近なものでできる対策も紹介。
正しい知識で、テントウムシの悩みをスッキリ解決しましょう。
目次
そのテントウムシは害虫?益虫?まずは種類を見分けよう
「テントウムシ」と聞くと、アブラムシを食べてくれる益虫という良いイメージを持つ方が多いでしょう。
しかし、テントウムシの中には、大切に育てている野菜の葉や実を食い荒らす「害虫」も存在します。
部屋や畑で大量発生したテントウムシを正しく駆除・対策するためには、まずその種類が益虫なのか害虫なのかを見分けることが非常に重要です。
ここでは、代表的な害虫と益虫のテントウムシの特徴と、簡単な見分け方について詳しく解説します。
畑の野菜を食べる害虫「テントウムシダマシ」
家庭菜園や畑で問題となるのが、「テントウムシダマシ」と呼ばれる種類のテントウムシです。
益虫のテントウムシとは違い、植物を食べる草食性で、特にナス科の植物(ジャガイモ、ナス、トマトなど)やウリ科の植物に大きな被害を与えます。
成虫も幼虫も食害するため、放置すると野菜の生育が著しく悪くなったり、収穫量が減ったりする原因になります。
もし畑で見かけたら、益虫と間違えずに駆除対象として対応する必要があります。
ニジュウヤホシテントウの特徴と見分け方
テントウムシダマシの代表格が「ニジュウヤホシテントウ」です。
その名の通り28個の黒い斑点を持つのが特徴ですが、益虫のナナホシテントウなどと見分けるには、以下のポイントを確認しましょう。
【ニジュウヤホシテントウの見分け方】
- 体の光沢:益虫のテントウムシがツヤツヤと光沢を放つのに対し、ニジュウヤホシテントウの体には光沢がありません。表面がマットな質感に見えます。
- 体毛の有無:最大の特徴は、体全体が短い黄褐色の毛で覆われていることです。肉眼では分かりにくい場合もありますが、益虫には毛が生えていません。
- 色と斑点:全体的に赤褐色や茶褐色で、背中の黒い斑点がぼやけているように見えることがあります。
- 食害の跡:葉の表面(葉肉)を削り取るように食べるため、食べた跡が白い筋状になり、最終的には葉が網目状(レース状)になります。このような食害を見つけたら、近くにテントウムシダマシがいる可能性が高いです。
これらの特徴から、畑で見つけたテントウムシに「光沢がなく、毛深い」という印象を受けたら、それは害虫のテントウムシダマシである可能性が非常に高いと言えます。
アブラムシを食べる益虫のテントウムシ
一方、私たちがよく知るテントウムシの多くは、植物の汁を吸うアブラムシやカイガラムシを食べてくれる益虫です。
成虫1匹が1日に100匹以上のアブラムシを捕食することもあり、農薬を使わない野菜作りやガーデニングにおいて、非常に頼りになる存在です。
益虫のテントウムシは、駆除する必要はありません。
むしろ、畑や庭に住み着いてくれるように環境を整えることが望ましいです。
ナミテントウなど代表的な益虫の種類
日本でよく見かける代表的な益虫のテントウムシには、以下のような種類がいます。
テントウムシダマシとの違いは、共通して「体に光沢があり、毛が生えていない」ことです。
- ナミテントウ:日本で最も普通に見られるテントウムシです。体長は4〜8mmほどで、体の模様に非常に多くのバリエーションがあるのが特徴です。黒地に赤い点が2つの「二紋型」、赤地に黒い点がたくさんある「斑型」など様々ですが、いずれも体がツヤツヤしています。
- ナナホシテントウ:「テントウムシといえばこれ」と多くの人が思い浮かべる、赤い体に7つの黒い斑点を持つ種類です。体長は5〜9mmほどで、こちらも体に光沢があります。
- ヒメカメノコテントウ:黒地に大きな赤い紋が2つある模様が特徴的な、少し小型のテントウムシです。ナミテントウと同様にアブラムシをよく食べます。
これらの益虫は、畑や庭の生態系を守る大切な役割を担っています。
見つけた際は、そっと見守ってあげましょう。
部屋に大量発生するテントウムシの正体は越冬目的の益虫
秋から冬、あるいは春先にかけて、家の壁や窓、サッシなどにテントウムシが大量発生して驚いた経験はありませんか。
実は、このように屋内に侵入してくるテントウムシのほとんどは、害虫のテントウムシダマシではなく、益虫である「ナミテントウ」や「カメノコテントウ」です。
彼らは冬の寒さをしのぐ「越冬」のために、暖かくて安全な場所を探して集団で集まる習性があります。
特に、日当たりの良い南向きの建物の壁や、隙間風が入りにくいサッシの溝、カーテンの裏などを好みます。
人間に直接的な害を与えることはありませんが、見た目の不快感や、潰してしまった時に出す黄色い液体(体液)が臭ったり、シミになったりすることが問題となります。
部屋に大量発生しているテントウムシは、基本的には益虫であると覚えておきましょう。
なぜテントウムシが大量発生するの?部屋と畑の主な原因
可愛らしい見た目のテントウムシが、なぜ部屋や畑で大量発生してしまうのでしょうか。
実は、その場所によって原因は大きく異なります。
「気持ち悪い」「作物が心配」と感じる前に、まずはその原因を正しく理解することが、効果的な対策への第一歩です。
部屋の中にテントウムシが大量発生する原因
秋から冬にかけて、家の壁や窓にテントウムシがびっしりと張り付いているのを見かけたことはありませんか。
部屋の中で大量に見つかるテントウムシのほとんどは、アブラムシを食べる「ナミテントウ」などの益虫です。
彼らが家の中に侵入してくる最大の目的は「越冬」です。
テントウムシは成虫の姿で冬を越す昆虫で、寒さや風雨をしのげる暖かい場所を探して集団で冬眠する習性があります。
家屋は彼らにとって絶好の越冬場所。
特に、太陽の光を浴びて暖かくなる白やアイボリーといった明るい色の外壁や、サッシの隙間、換気口、エアコンの配管の隙間などから侵入し、屋根裏や壁の断熱材の中でじっと春を待ちます。
さらに、一匹が快適な場所を見つけると、仲間を呼ぶためのフェロモン(集合フェロモン)を出すと言われています。
このフェロモンの影響で、次から次へと仲間が集まり、結果として一箇所に大量発生してしまうのです。
そして、冬の暖かい日に活動を再開し、部屋の中に迷い込んでしまうことがあります。
畑や庭にテントウムシが大量発生する原因
畑や庭でテントウムシが大量発生している場合、その原因は「エサが豊富にあること」です。
ただし、益虫と害虫のどちらが発生しているかによって、その「エサ」は全く異なります。
益虫であるナナホシテントウやナミテントウが大量にいる場合、その周辺に彼らのエサとなるアブラムシやハダニ、カイガラムシなどが大量発生しているサインです。
テントウムシはエサが豊富な場所に集まって産卵するため、幼虫と成虫が一緒になってエサを食べ尽くそうとします。
これは生態系が機能している証拠とも言えますが、同時に、あなたの育てている植物がアブラムシなどの被害に遭っていることを示しています。
一方、害虫の「テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウなど)」が大量発生している場合は注意が必要です。
彼らのエサはアブラムシではなく、ナスやジャガイモ、ピーマン、トマトといったナス科の植物です。
葉や実の表面を網目状に食害し、作物の生育を妨げ、収穫量を大きく減らしてしまいます。
特に家庭菜園など、農薬の使用を控えている環境では天敵が少なく、一度発生すると爆発的に増えてしまうことがあります。
また、畑の周りに生えている雑草も発生源となることがあります。
特に、イヌホオズキなどのナス科の雑草はテントウムシダマシの温床になりやすいため、こまめな除草管理が重要です。
テントウムシの駆除には害虫駆除業者がオススメ!
部屋の中やベランダ、畑などでテントウムシが大量発生してしまい、ご自身での対処が難しいと感じた場合は、プロの害虫駆除業者に依頼するのが最も確実で安心な方法です。
特に、高所での作業が必要な場合や、発生源が特定できないケース、何度対策しても再発してしまう場合には、専門家の知識と技術が大きな力となります。
プロの害虫駆除業者に依頼するメリット
害虫駆除の専門業者に依頼することには、個人で対策する以上の多くのメリットがあります。
時間や手間の節約だけでなく、安全性や確実性の面で大きな違いが生まれます。
メリット1:発生原因を正確に特定し根本から解決
プロの業者は、テントウムシがなぜ大量発生しているのか、その根本原因を徹底的に調査します。
例えば、家の中に侵入している場合、素人では見つけにくい壁のひび割れやサッシの隙間、換気口といった侵入経路を的確に特定します。
その上で、ただ駆除するだけでなく、侵入経路を物理的に塞ぐといった根本的な対策を施してくれるため、再発リスクを大幅に低減できます。
メリット2:安全かつ効果的な専門薬剤を使用
害虫駆除業者は、市販されている殺虫剤とは異なる、より効果の高い専門的な薬剤を使用します。
しかし、ただ強力なだけでなく、状況に応じて薬剤の種類や使用方法を的確に判断します。
小さなお子様やペットがいるご家庭、アレルギーが心配な方がいる場合でも、環境や人体への安全性を最大限に配慮した施工を行ってくれるため、安心して任せることができます。
メリット3:徹底した再発防止策と安心の保証制度
多くの専門業者では、駆除作業後の再発防止策までトータルで提案してくれます。
侵入経路の封鎖工事や、テントウムシが嫌がる忌避剤の散布など、建物の構造や周辺環境に合わせた最適な予防策を実施します。
さらに、作業後に一定期間の保証を設けている業者も多く、万が一保証期間内にテントウムシが再発した場合には、無償で再対応してくれるため、長期的な安心感を得られます。
優良な害虫駆除業者の選び方
いざ業者に依頼しようと思っても、どの業者を選べば良いか迷ってしまうかもしれません。
信頼できる優良な業者を見極めるためのポイントをご紹介します。
ポイント1:無料の現地調査と詳細な見積もり
契約前に、必ず現地調査を無料で行ってくれる業者を選びましょう。
電話やメールだけで料金を確定するのではなく、実際に被害状況や建物の構造を確認した上で、詳細な見積もりを提示してくれるのが優良な業者の証です。
見積書には、作業内容、使用する薬剤、人件費などの内訳が明確に記載されているかを確認し、不明な点があれば遠慮なく質問しましょう。
ポイント2:豊富な実績と信頼できる口コミ
業者の公式サイトで、テントウムシ駆除の施工実績や事例を確認しましょう。
具体的な作業内容や写真が掲載されていれば、技術力を判断する材料になります。
また、公式サイトだけでなく、第三者が投稿する口コミサイトやレビューも参考にすると、より客観的な評判を知ることができます。
ポイント3:保有資格や所属団体を確認する
技術力の高さを判断する指標として、「建築物ねずみ昆虫等防除業」の登録や、「ペストコントロール技術者」といった専門資格を保有しているかどうかも確認しましょう。
また、業界団体である「公益社団法人日本ペストコントロール協会」に加盟している業者は、高い技術力と倫理観を持っていることが期待でき、信頼性の一つの目安となります。
テントウムシ駆除の費用相場
テントウムシ駆除を業者に依頼する場合の費用は、被害の規模や建物の広さ、作業内容によって大きく変動します。
あくまで一般的な目安ですが、戸建て住宅の場合、費用相場は約20,000円~80,000円程度となることが多いです。
料金が変動する主な要因は以下の通りです。
- 発生範囲の広さやテントウムシの数
- 建物の構造や作業の難易度(高所作業の有無など)
- 侵入経路の封鎖といった追加作業の有無
正確な料金を知るためには、1社だけでなく複数の業者から相見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討することが非常に重要です。
その際、料金の安さだけで決めるのではなく、作業内容や保証の手厚さなどを総合的に判断して、納得できる業者を選びましょう。
【部屋編】家の中にいるテントウムシの駆除方法
部屋の中で大量発生したテントウムシを見つけたら、不快感はもちろん、潰したときの臭いやシミが気になりますよね。
家の中にいるテントウムシは、越冬目的で侵入してきた益虫であることがほとんどですが、数が多いと衛生的にも問題です。
ここでは、ご家庭の状況に合わせて選べる、室内でのテントウムシ駆除方法を具体的に解説します。
薬剤を使わない簡単な駆除方法
小さなお子様やペットがいるご家庭では、できるだけ殺虫成分を使いたくないものです。
ここでは、身近な道具を使って安全にテントウムシを駆除する方法を3つご紹介します。
薬剤を使わないため、キッチン周りや寝室でも安心して実践できます。
掃除機で吸い取る方法と注意点
壁や天井、カーテンレールの上など、広範囲に散らばったテントウムシを一度に駆除するのに最も効率的なのが掃除機です。
手の届かない場所にいるテントウムシも、ノズルを伸ばせば簡単に吸い取ることができます。
ただし、いくつか注意点があります。
テントウムシは危険を感じると、脚の関節から黄色くて臭い液体(体液)を出します。
この液体が掃除機の内部に付着すると、排気から悪臭が漂う原因になります。
また、吸い込んだ後も掃除機の中で生きている可能性があります。
この問題を避けるため、以下の対策をおすすめします。
- 紙パック式掃除機の場合:吸い取り終わったら、すぐに紙パックを取り出し、ビニール袋などに入れて口をしっかりと縛ってから捨てましょう。
- サイクロン式掃除機の場合:ダストカップに溜まったゴミを、すぐにビニール袋に移して密封し、処分してください。その後、可能であればダストカップを水洗いするとより衛生的です。
- 掃除機を汚さない裏ワザ:掃除機のノズルの先端に、使い古しのストッキングや排水溝ネットをかぶせ、輪ゴムでしっかりと固定します。この状態でテントウムシを吸い込むと、ゴミはストッキングの中に溜まるため、掃除機本体を汚さずに済みます。吸い終わったら、ストッキングごとそっと外してビニール袋に入れて捨ててください。
ガムテープや粘着クリーナーで捕獲する方法
数がそれほど多くない場合や、壁や窓にポツポツと付いているテントウムシには、ガムテープや粘着カーペットクリーナー(通称コロコロ)が手軽で便利です。
粘着面にそっと押し当てて、くっつけて捕獲します。
この方法のメリットは、テントウムシを潰さずに捕獲できるため、臭いや体液で壁や家具を汚す心配が少ない点です。
捕獲した後は、ガムテープなら粘着面同士を貼り合わせてから、粘着クリーナーならシートを1枚めくって丸めてから、ビニール袋に入れて捨てましょう。
そのままゴミ箱に捨てると、這い出してくる可能性があるので注意してください。
ただし、デリケートな壁紙や塗装が剥がれやすい場所では、粘着力によって傷つけてしまう恐れがあります。
事前に目立たない場所で試してから使用することをおすすめします。
ペットボトルを使った捕獲器の作り方
「虫に触りたくない」「生きたまま捕まえて外に逃がしてあげたい」という方には、ペットボトルを使った手作り捕獲器がおすすめです。
作り方は非常に簡単です。
- 500mlの空のペットボトルを用意します。
- カッターやハサミで、ペットボトルの上から3分の1くらいの部分(肩口のあたり)を切り離します。
- 切り離した上部を逆さまにして、下半分のパーツに漏斗(じょうご)のように差し込みます。
これで完成です。テントウムシがいる壁や窓の下にこの捕獲器をそっとあてがい、下から指や紙などで優しく刺激すると、テントウムシは危険を感じてポロリと下に落ち、捕獲器の中に入ります。
一度入ると、漏斗状の入り口からは簡単には出られません。
ある程度捕獲できたら、フタをして処分するか、屋外の離れた場所で逃がしてあげましょう。
殺虫スプレーで駆除する方法
とにかく手早く、確実に駆除したいという場合には、殺虫スプレーの使用が効果的です。
ただし、室内で使用する際は、成分や使用方法に十分注意する必要があります。
おすすめなのは、殺虫成分を含まない「冷却(凍結)タイプ」のスプレーです。
これはマイナスの冷却ガスを噴射して害虫を瞬間的に凍らせて動きを止めるもので、薬剤を使用していないため、食品があるキッチンや寝室、お子様やペットのいる部屋でも比較的安心して使えます。
ベタつきや跡が残りにくい製品も多く、壁や家具を汚す心配も少ないです。
ただし、効果を発揮させるには、テントウムシに直接スプレーを噴射し続ける必要があります。
一般的なピレスロイド系の殺虫成分を含むスプレー(ハエ・蚊用など)も有効ですが、使用する際は以下の点に必ず注意してください。
- 使用前に必ず製品の注意書きを読む。
- 人体やペット、観葉植物、食品、食器、おもちゃなどに直接かからないようにする。
- 使用中および使用後は、窓を開けるなどして十分に換気を行う。
- ガス警報器が作動することがあるため、注意する。
- 壁や家具、床などにスプレーがかかるとシミになる可能性があるので、目立たない場所で試してから使用するか、ティッシュなどにスプレーを吹き付けてからテントウムシを覆うようにして駆除する方法もあります。
状況に応じて適切な方法を選び、不快なテントウムシを安全に駆除しましょう。
【畑編】家庭菜園や庭のテントウムシダマシ駆除方法
畑や家庭菜園で大量発生するテントウムシは、そのほとんどが「テントウムシダマシ」という害虫です。
特にナス科の植物(ジャガイモ、ナス、ピーマン、トマトなど)やマメ科のインゲンなどを好み、葉や果実を食害します。
被害の特徴は、葉の裏側から表皮を残すように食べるため、葉が網目状やレース状になることです。
放置すると株全体が弱り、収穫量に大きく影響するため、見つけ次第すぐに対処することが重要です。
駆除方法には、農薬を使わない安全な方法と、農薬を使った確実な方法があります。
ご自身の栽培スタイルや発生状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
農薬を使わない安全な駆除方法
小さなお子様やペットがいるご家庭、あるいはオーガニック栽培や無農薬栽培を目指している方には、農薬を使わない駆除方法がおすすめです。
化学薬品に頼らないため環境への負荷が少なく、安心して野菜を育てることができます。
ただし、効果が穏やかであったり、手間がかかったりする場合があるため、こまめな作業が必要になります。
手で捕まえて駆除する方法
最も原始的ですが、確実性が高く、コストもかからないのが手で捕まえる方法です。
テントウムシダマシは動きが比較的遅いため、見つけさえすれば簡単に捕獲できます。
駆除の手順は非常にシンプルです。
まず、軍手やゴム手袋を着用します。テントウムシダマシは葉の裏にいることが多いので、一枚一枚めくりながら丁寧にチェックしましょう。
成虫だけでなく、葉の裏に産み付けられた黄色い卵の塊や、トゲの生えた黄色い幼虫も一緒に取り除いてください。
幼虫や卵も放置すればすぐに増えてしまうため、すべて駆除することが大切です。
捕まえた成虫や幼虫は、石鹸水や中性洗剤を数滴入れた水を入れたバケツやペットボトルに入れると、逃げられずに処理できます。
見つけ次第、根気強く続けることが大量発生を防ぐ一番の近道です。
牛乳スプレーなどを活用する方法
食品や自然由来のものを利用して、害虫の活動を抑える方法もあります。代表的なものが牛乳スプレーです。
牛乳を水で1:1の割合で薄めたものをスプレーボトルに入れ、テントウムシダマシの成虫や幼虫がいる葉の裏表にまんべんなく散布します。
散布する際は、よく晴れた日の午前中が効果的です。
牛乳が乾く過程でできる膜が、体の小さい幼虫やアブラムシなどの気門を塞ぎ、窒息させる効果が期待できます。
ただし、牛乳が腐敗すると悪臭やカビの原因となるため、散布から数時間後には必ず水で洗い流すようにしてください。
また、成虫に対しては効果が薄い点も覚えておきましょう。
その他、木酢液や竹酢液を規定の倍率に薄めて散布する方法もあります。
これらは殺虫効果よりも、植物を健康にしたり、害虫が嫌う匂いで寄せ付けにくくしたりする忌避効果が主な目的です。
農薬を使った駆除方法
テントウムシダマシが大量に発生してしまい、手作業での駆除では追いつかない場合は、農薬の使用を検討しましょう。
農薬は効果が高く、広範囲にわたる害虫を一度に駆除できるメリットがあります。
家庭菜園で使用できる、人や環境への安全性が配慮された製品も多く販売されています。
使用する際は、必ず製品ラベルの指示を守り、正しく使うことが大前提です。
テントウムシダマシに効く農薬の選び方
農薬を選ぶ際は、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。
間違った農薬を使うと効果がないばかりか、作物に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意しましょう。
1. 適用作物と対象害虫を確認する
農薬のラベルには、使用できる「作物名」と、効果のある「適用病害虫名」が必ず記載されています。
ご自身が育てている作物(ジャガイモ、ナスなど)に登録があり、かつ対象害虫に「ニジュウヤホシテントウ」や「テントウムシダマシ類」と書かれていることを必ず確認してください。
これは農薬取締法で定められたルールです。
2. 成分で選ぶ
家庭菜園向けの農薬には、天然成分由来のものと化学合成されたものがあります。
・天然成分由来の農薬:有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用が認められているものが多く、環境への負荷が少ないのが特徴です。
例えば、微生物が作る成分を利用した「スピノサド」を含む農薬(ベニカスピノサドスプレーなど)は、テントウムシダマシにも効果があります。
・化学合成農薬:速効性や持続性に優れているものが多くあります。
「ジノテフラン」や「クロチアニジン」といったネオニコチノイド系の成分を含む農薬(ベニカXファインスプレー、スタークル顆粒水溶剤など)は、浸透移行性(植物が成分を吸収し、葉や茎に行き渡る性質)があり、葉の裏に隠れた害虫にも効果を発揮します。
3. 農薬の剤形で選ぶ
農薬には、そのまま使えるスプレータイプや、水で薄めて使う希釈タイプ(乳剤、顆粒水和剤など)があります。
初心者の方や、狭い範囲で手軽に使いたい場合はスプレータイプが便利です。
広い畑で使う場合やコストを抑えたい場合は、希釈タイプが適しています。
農薬を使用する際は、散布時間(早朝や夕方の風のない日)、保護具(マスク、手袋、ゴーグル)の着用、使用回数や収穫前日数(散布後、収穫できるまでの日数)の厳守など、ラベルに記載された注意事項を必ず守って安全に使用してください。
テントウムシの大量発生を防ぐ二度とさせない予防策
一度テントウムシを駆除しても、原因がそのままだと再び発生してしまう可能性があります。
特に、越冬のために集まる習性のあるテントウムシは、毎年同じ場所にやってくることも少なくありません。
ここでは、テントウムシを二度と寄せ付けないための予防策を「部屋」と「畑」に分けて具体的に解説します。
少しの手間で大きな効果が期待できるので、ぜひ実践してみてください。
部屋への侵入を防ぐ予防方法
家の中に大量発生するテントウムシは、そのほとんどが越冬目的の益虫です。
外の寒さから逃れるために、暖かく安全な家の中へ入ってこようとします。
最も効果的な予防策は、物理的に侵入経路を断つことです。
窓やサッシの隙間をテープで塞ぐ
テントウムシは、人間が気づかないような本当にわずかな隙間からでも侵入してきます。
特に、秋から冬にかけて気温が下がり始めると、暖かい場所を求めて家屋の隙間を探し始めます。
主な侵入経路としては、以下のような場所が挙げられます。
- 窓や網戸のサッシの隙間
- 換気扇や通気口の周り
- エアコンの配管を通す壁の穴
- ドアの郵便受け
- 古くなった建物の壁のひび割れ
これらの隙間を塞ぐには、ホームセンターや100円ショップで手に入る「隙間テープ」が非常に有効です。
サッシのレールや窓枠に貼り付けるだけで、簡単に侵入を防ぐことができます。
テープを貼る前には、ホコリや汚れをきれいに拭き取っておくと、粘着力が高まり効果が長持ちします。
洗濯物を取り込む際に確認する
天気の良い日に外に干した洗濯物、特に白や黄色など明るい色のシーツやシャツは、テントウムシにとって格好の休憩場所になります。
暖かくて心地よいため、知らず知らずのうちに付着し、そのまま家の中に持ち込んでしまうケースが後を絶ちません。
洗濯物を取り込む際は、家に入れる前に一枚一枚、手でパンパンと軽くはたいて、テントウムシが付いていないかを確認する習慣をつけましょう。
特に、越冬場所を探し始める10月〜11月の晴れた日は要注意です。
この一手間が、室内での大量発生を防ぐ重要なポイントになります。
ハッカ油などテントウムシが嫌う匂いで対策する
テントウムシは、ミントやハッカに含まれる「メントール」のスーッとした強い香りを嫌う習性があります。
この性質を利用して、天然成分でテントウムシを遠ざける方法も効果的です。
ご家庭で簡単に作れる「ハッカ油スプレー」がおすすめです。
【ハッカ油スプレーの作り方】
- スプレーボトルに無水エタノールを10ml入れます。
- ハッカ油を10〜20滴ほど加えてよく混ぜ合わせます。
- 精製水(または水道水)90mlを加えて、さらによく振って混ぜれば完成です。
完成したスプレーを、テントウムシの侵入経路となりやすい網戸や窓枠、玄関周りなどに吹きかけておきましょう。
香りが続く間、テントウムシが寄り付きにくくなります。
ただし、香りは数時間で薄れるため、こまめにスプレーする必要があります。
また、プラスチックや塗装された家具などに直接吹きかけると、シミや変質の原因になる可能性があるので注意してください。
畑や庭での発生を予防する方法
畑や家庭菜園で問題となるのは、作物を食害する害虫「テントウムシダマシ」です。
益虫のテントウムシを守りつつ、害虫だけを増やさないための環境づくりが重要になります。
防虫ネットの設置
テントウムシダマシによる被害を防ぐ最も確実で安全な方法は、物理的に成虫の飛来と産卵を防ぐことです。
特に、ナスやジャガイモ、ピーマン、キュウリといったテントウムシダマシの被害に遭いやすい作物を育てている場合は、防虫ネットの設置を強くおすすめします。
ネットを選ぶ際は、目合いが1mm以下のものを選びましょう。
細かい目合いのネットは、テントウムシダマシだけでなく、コナガやアオムシといった他の害虫の侵入も同時に防ぐことができ、一石二鳥です。
設置する際は、支柱を使ってトンネル状に張り、ネットの裾を土に埋めたり、専用のピンで固定したりして、隙間ができないようにしっかりと覆うことが大切です。
雑草をこまめに処理する
畑やプランターの周りに生えている雑草は、テントウムシダマシにとって絶好の隠れ家や産卵場所になります。
特に、ナス科の植物(ワルナスビなど)は好んで集まるため、放置しておくとそこが発生源となり、大切な野菜に被害が広がってしまいます。
作物のお手入れと合わせて、畑や庭の雑草をこまめに抜き、風通しの良い環境を保つことを心がけましょう。
JA(農業協同組合)の営農指導などでも、害虫の発生源となる圃場周辺の雑草を除去することは、基本的な防除対策として推奨されています。
風通しが良くなることで、病気の予防にも繋がります。
テントウムシの駆除に関するよくある質問
テントウムシの駆除や生態について、多くの方が抱く疑問や不安を解消します。
業者に依頼する場合の費用相場から、テントウムシの安全性、大量発生しやすい時期まで、よくある質問にQ&A形式で詳しくお答えします。
テントウムシの駆除を業者に依頼するときの費用は?
テントウムシの駆除を専門の害虫駆除業者に依頼する場合の費用は、被害状況や作業範囲によって大きく変動しますが、おおよその目安として15,000円~50,000円程度が相場となります。
ただし、これはあくまで一般的な戸建て住宅での作業を想定した料金です。
費用が変動する主な要因には、以下のようなものがあります。
- 発生場所と範囲:部屋の一室だけなのか、家全体に広がっているのか、あるいは広大な畑なのかによって作業規模が変わり、料金に影響します。
- テントウムシの量:大量発生の規模が大きければ大きいほど、駆除にかかる手間と時間が増えるため費用は高くなる傾向があります。
- 建物の構造:侵入経路となっている隙間を特定し、封鎖する作業が必要な場合、建物の構造が複雑だと追加料金がかかることがあります。
- 追加作業の有無:駆除後の清掃や、再発防止のための忌避剤散布、侵入経路の修繕などを依頼すると、別途費用が発生します。
正確な料金を知るためには、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。
その際、料金の内訳(基本料金、出張費、薬剤費、作業費など)や、追加料金が発生するケースについてもしっかりと確認することが、後々のトラブルを防ぐポイントです。
テントウムシに毒はある?触っても大丈夫?
テントウムシには、人体に深刻な影響を及ぼすような強い毒はありません。
そのため、毒虫のように刺したり咬んだりすることもなく、基本的には無害な昆虫です。
しかし、テントウムシは外敵から身を守るために、危険を感じると脚の関節から黄色くて臭い液体(体液)を出すことがあります。
この液体には「アルカロイド」という物質が含まれており、独特の強い臭いを放ちます。
この液体が皮膚に付着すると、体質によってはかぶれやアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
また、衣服などに付くとシミになって取れにくいことがあるため注意が必要です。
したがって、テントウムシを駆除したり捕まえたりする際は、直接素手で触ることは避け、ティッシュペーパーや割り箸、ビニール手袋などを使うことをおすすめします。
万が一、液体が皮膚についてしまった場合は、すぐに石鹸でよく洗い流してください。
テントウムシが大量発生しやすい時期はいつ?
テントウムシが大量発生する時期は、目的や場所によって異なります。
主に「春」と「秋」の2つのシーズンに活動が活発化します。
春(4月~6月頃)
越冬を終えたテントウムシが活動を始める時期です。
畑や庭では、エサとなるアブラムシが繁殖するのに合わせてテントウムシの数も増えていきます。
特にテントウムシダマシは、ジャガイモやナスなどのナス科植物の新芽が出るこの時期に産卵・繁殖し、幼虫・成虫ともに畑で大量発生することがあります。
秋(9月~11月頃)
この時期は、テントウムシが集団で越冬場所を探し始める季節です。
特にナミテントウやカメノコテントウといった益虫のテントウムシは、暖かく安全な場所を求めて家屋に侵入してくることがあります。
日当たりの良い建物の壁、特に白や明るい色の外壁に集まり、窓のサッシや換気口などのわずかな隙間から部屋の中に侵入し、大量発生の原因となります。
部屋の中で大量のテントウムシを見かけるのは、この越冬目的の集団行動によるものがほとんどです。
まとめ
本記事では、テントウムシが大量発生する原因と駆除・予防策を解説しました。
テントウムシには益虫と、ジャガイモなどを食害する害虫「テントウムシダマシ」がおり、見極めが重要です。部屋での発生は越冬が原因のため、掃除機などで物理的に駆除し隙間を塞いで侵入を防ぎましょう。
畑の害虫は手で捕殺するか適切な農薬で対処します。
原因に合わせた対策で、大量発生を防ぎましょう。