庭や畑にできたモグラ塚にお困りではありませんか?この記事では、モグラ駆除にかかる費用相場を、専門業者に依頼する場合と自分で対策する場合で徹底比較します。
それぞれのメリット・デメリット、法律上の注意点、具体的な駆除方法から再発防止策まで網羅的に解説。
結論として、確実性を求めるなら業者、費用を抑えたいなら自分での対策がおすすめです。
あなたに最適な駆除方法が必ず見つかります。
目次
そのモグラ被害は放置しないで!庭や畑に及ぼす影響とは
ある日、庭や家庭菜園に突然現れる、こんもりと盛り上がった土の山。
「モグラ塚」と呼ばれるこのサインを見つけたら、それはモグラがあなたの敷地内で活動を始めた証拠です。
見た目の問題だけだと軽く考えて放置してしまうと、思わぬ被害に発展する可能性があります。
モグラは地中深くに複雑なトンネルを掘り進めるため、その影響は地上の景観だけでなく、植物の生育環境にも及ぶのです。
ここでは、モグラ被害を放置することの具体的なリスクについて詳しく解説します。
庭の景観を損なうモグラ塚(土の山)
モグラ被害で最も分かりやすいのが、芝生や庭のあちこちに作られる「モグラ塚」です。
これは、モグラが餌を探したり巣を作ったりするためにトンネルを掘った際、不要になった土を地上に排出したものです。
一つや二つならまだしも、モグラの活動が活発になると、次々と新しいモグラ塚が作られてしまいます。
丹精込めて手入れした美しい芝生や庭の景観は、ボコボコとした土の山によって台無しにされてしまいます。
また、見た目だけの問題ではありません。
芝刈り機をかける際にモグラ塚が障害となり、刃を傷めたり、均一に刈れなくなったりする原因にもなります。
さらに、モグラ塚やその下のトンネルによって地面が不安定になり、歩行中に足を取られて転倒する危険性も潜んでいます。
モグラは地表近くにもトンネルを掘るため、芝生の根がトンネルによって切断されたり、根の周りに空洞ができたりします。
これにより、芝生が部分的に枯れてしまうことも少なくありません。
畑の作物や家庭菜園への被害
「モグラに野菜の根を食べられた」という話をよく聞きますが、実はこれは誤解であることが多いです。
モグラは主にミミズや昆虫の幼虫などを食べる肉食性であり、植物の根を栄養源として食べることは基本的にありません。
しかし、モグラが畑や家庭菜園に及ぼす被害は深刻です。
その主な原因は、餌となるミミズを探して土中を掘り進む行動にあります。トンネルを掘る過程で、作物の根を意図せず切断してしまったり、根の周りに空洞を作ってしまったりするのです。
根が傷ついたり、土から浮き上がったりすると、植物は水分や養分を十分に吸収できなくなり、生育不良に陥ったり、最悪の場合は枯れてしまったりします。
特に、植えたばかりの苗や、ニンジン、ダイコンといった根菜類は、根の周りの環境が非常に重要であるため、モグラのトンネルによる影響を大きく受けやすいと言えるでしょう。
さらに、モグラが作ったトンネルを、作物を食べるハタネズミなどの他の害獣が利用する「二次被害」が発生することもあります。
この場合、ネズミによる食害が加わり、被害はさらに拡大してしまいます。
モグラとネズミの被害の見分け方
庭や畑の被害が、本当にモグラによるものなのか、それともネズミによるものなのかを正しく見分けることは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。
両者の被害の特徴には明確な違いがあります。
【モグラの被害の特徴】
- モグラ塚:土がこんもりと盛り上がった山が地表にできる。トンネルの出入り口の穴は、通常土で塞がれているか、直接は見えません。
- トンネル跡:地表近くの土が、線状に盛り上がっていることがあります。
- 食害:植物の根や茎にかじられた跡はありません。作物が枯れている場合、根が切断されているか、根の周りが空洞になっています。
【ネズミ(主にハタネズミ)の被害の特徴】
- 巣穴:直径3~5cm程度の穴が、地面に複数開いています。穴の周りに土の盛り上がり(モグラ塚)はありません。
- ラットサイン:巣穴の周辺や作物の間に、ネズミが頻繁に通ることでできる獣道のような跡が見られます。
- 食害:野菜や草花の根、茎の地際部、イモ類などにかじられた跡がはっきりと残っています。鋭い歯形が特徴です。
- フン:巣穴の近くや通路に、黒くて小さな米粒状のフンが落ちていることがあります。
このように、地面に「モグラ塚」があればモグラ、「巣穴」と「かじり跡」があればネズミの仕業である可能性が高いと判断できます。
ただし、前述の通り、モグラのトンネルをネズミが利用しているケースもあるため、両方のサインが見られる場合は複合的な被害を疑う必要があります。
モグラ駆除の前に知るべき法律 鳥獣保護管理法とは
庭や畑を荒らすモグラに頭を悩ませ、「今すぐ駆除したい」とお考えかもしれません。
しかし、モグラの駆除を行う前には、必ず知っておかなければならない重要な法律があります。
それが「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」、通称「鳥獣保護管理法」です。
この法律は、日本の生態系を維持し、生物の多様性を確保するために、野生鳥獣の保護と管理を目的として定められています。
そして、私たちの身近にいるモグラも、この法律によって保護される対象の「哺乳類」に含まれているのです。
そのため、自己判断でむやみに捕獲や駆除を行うと、法律違反に問われる可能性があります。
安全かつ適切にモグラ対策を進めるために、まずは法律に関する正しい知識を身につけましょう。
モグラの捕獲は原則として許可が必要
鳥獣保護管理法では、一部の例外を除き、野生鳥獣の捕獲・殺傷を原則として禁止しています。
モグラを捕獲器などで捕まえようとする行為は、この「捕獲」にあたるため、事前にお住まいの市区町村など、自治体の許可を得る必要があります。
許可を得るには、自治体の担当窓口(農林課、環境課、鳥獣対策課など)に「捕獲許可申請」を行うのが一般的な流れです。
申請には、被害状況を証明する写真や、捕獲方法、捕獲後の措置などを記載した書類の提出が求められます。
手続きの詳細は自治体によって異なるため、まずは電話などで相談してみることをおすすめします。
ただし、例外として「ご自身の農地や管理する畑などにおいて、農業被害を防ぐ目的で捕獲する場合」は、許可が不要となるケースもあります。しかし、これも捕獲数の上限が定められているなど、一定の条件下に限られます。
ご自身の状況が例外に当てはまるかどうかの判断は難しいため、安易に自己判断せず、必ず自治体に確認するようにしてください。
無許可での殺傷を伴う駆除は違法になる可能性
もし、自治体の許可を得ずにモグラを捕獲したり、殺傷を伴う罠などを使用して駆除したりした場合、鳥獣保護管理法違反となります。
この法律に違反すると、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い罰則が科される可能性があります。
ホームセンターなどでは、モグラ用の捕獲器が市販されていますが、これらを使用して許可なくモグラを捕獲・殺傷することも違法行為にあたります。
たとえご自身の敷地内であっても、法律は適用されますので十分な注意が必要です。
一方で、モグラが嫌がる音や匂いを利用して追い払う「忌避(きひ)」という方法は、モグラを直接傷つける行為ではないため、鳥獣保護管理法の規制対象外です。
忌避剤や超音波発生器などを使った対策は、許可なく行うことができます。
このように、モグラ駆除には法律が大きく関わってきます。
確実かつ法的に問題なく対処するためには、法律を遵守している専門業者に相談するか、ご自身で行う場合はまず自治体に問い合わせることが不可欠です。
詳しくは、環境省のウェブサイトもご参照ください。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の概要(環境省)
モグラ駆除を業者に依頼する場合の費用相場とメリット
「自分で対策するのは難しそう」「一刻も早く被害を止めたい」という方は、害獣駆除の専門業者に依頼するのが最も確実な方法です。
ここでは、業者に依頼する場合の費用相場や、プロに任せることのメリット・デメリット、そして信頼できる業者の選び方までを詳しく解説します。
専門業者によるモグラ駆除の費用相場
モグラ駆除を専門業者に依頼した場合の費用相場は、被害状況や敷地の広さ、駆除方法によって大きく変動しますが、一般的には30,000円~100,000円程度が目安となります。
部分的な駆除であれば30,000円前後から、広範囲にわたる場合や年間契約、徹底した再発防止策を含む場合は100,000円を超えることもあります。
多くの業者は、まず現地調査を行った上で正確な見積もりを提示します。
電話やメールだけで安易に料金を提示する業者ではなく、必ず現地の状況を確認してから見積もりを出す業者を選ぶようにしましょう。
費用の内訳と料金が変わる要因
業者に支払う費用には、主に以下のような項目が含まれています。
見積もりを確認する際は、これらの内訳が明確に記載されているかチェックしましょう。
- 基本料金・出張費:作業員の派遣にかかる基本的な費用です。
- 調査費:モグラの活動範囲やトンネルの経路(特に本道)を特定するための調査費用です。
- 施工費(作業費):捕獲器の設置や忌避剤の散布など、実際の駆除作業にかかる費用です。作業員の人数や作業時間によって変動します。
- 薬剤・資材費:使用する忌避剤や捕獲器などの費用です。
また、最終的な料金は以下の要因によって変わってきます。
- 被害範囲の広さ:庭や畑の面積が広いほど、調査範囲が広がり、設置する罠や使用する薬剤の量も増えるため、費用は高くなります。
- 被害の深刻度:モグラ塚の数が多い、トンネルが広範囲に張り巡らされているなど、被害が深刻なほど作業が複雑になり、料金が上がります。
- 駆除方法:捕獲器を多数設置するのか、忌避剤を中心に追い払うのかなど、選択する駆除プランによって料金は異なります。
- 保証の有無と期間:駆除後の再発保証が付いているプランは、保証なしのプランに比べて高額になる傾向があります。保証期間が長いほど料金も高くなります。
プロの業者にモグラ駆除を頼む4つのメリット
費用はかかりますが、プロの業者に依頼することには大きなメリットがあります。
自分での対策に限界を感じている方は、ぜひ検討してみてください。
- 確実性と即効性が高い
プロはモグラの生態や習性を熟知しています。モグラが日常的に使用する「本道」と、餌を探すための一時的な「支道」を的確に見分け、最も効果的な場所に捕獲器や忌避剤を設置します。素人がやみくもに罠を仕掛けても失敗しがちですが、プロの経験と知識に基づいた施工は成功率が格段に高く、迅速な問題解決が期待できます。 - 面倒な手間と時間がかからない
自分で対策する場合、モグラの生態を学び、適切な対策グッズを選んで購入し、効果的な場所に設置・管理するなど、多くの時間と手間がかかります。業者に依頼すれば、電話一本で現地調査から駆除、後片付けまで全て任せることができ、忙しい方や駆除作業に時間を割けない方にとっては大きなメリットです。 - 法律を遵守した安全な駆除
前の章で解説した通り、モグラは鳥獣保護管理法の対象動物です。無許可で捕獲・殺傷することは法律で禁じられており、違反すると罰則の対象となる可能性があります。正規の駆除業者は、法律を遵守し、必要な場合は行政への許可申請なども含めて適切に対応してくれます。法的なリスクを心配することなく、安心して任せることができます。 - 再発防止策やアフターフォローが充実
優良な業者は、駆除して終わりではありません。なぜモグラが侵入してきたのか原因を分析し、侵入経路を塞ぐ、餌となるミミズが増えにくい土壌環境を提案するなど、専門的な視点から再発防止策をアドバイスしてくれます。また、多くの業者では「再発保証」を設けており、保証期間内に再びモグラの被害が発生した場合は、無料で対応してくれます。
業者に依頼するデメリットや注意点
業者への依頼はメリットが多い一方、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
最大のデメリットは、やはり費用が高額になることです。
自分で対策グッズを購入する場合に比べて数万円以上の出費となるため、予算との兼ね合いを考える必要があります。
また、残念ながら悪質な業者が存在することも事実です。
法外な追加料金を請求されたり、効果のないずさんな作業で済まされたりするケースも報告されています。
トラブルを避けるためにも、業者選びは慎重に行わなければなりません。契約前には、作業内容や料金、保証の範囲などを書面でしっかり確認することが重要です。
失敗しない優良なモグラ駆除業者の選び方
数ある業者の中から、信頼できる優良な業者を見つけるためのポイントを5つご紹介します。
- ポイント1:複数の業者から相見積もりを取る
必ず2~3社から見積もりを取り、料金や作業内容、保証内容を比較検討しましょう。1社の見積もりだけですぐに契約するのは避けるべきです。料金が安すぎたり高すぎたりする業者には注意が必要です。 - ポイント2:見積もりの内容が明確で丁寧か
「駆除作業一式」といった曖昧な記載ではなく、「調査費」「作業費」「薬剤費」など、費用の内訳が具体的に記載されているかを確認します。また、こちらの質問に対して専門用語を使わず、分かりやすく丁寧に説明してくれるかどうかも、信頼できる業者を見極める重要なポイントです。 - ポイント3:現地調査を無料で行ってくれるか
正確な状況を把握せずに料金を提示することはできません。電話口だけで安易に契約を迫ったりせず、無料で現地調査を行った上で、状況に合わせた最適なプランと見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。 - ポイント4:実績や口コミを確認する
業者の公式ウェブサイトで、これまでの駆除実績(施工事例)を確認しましょう。また、Googleマップの口コミや害獣駆除の比較サイトなど、第三者からの客観的な評価も非常に参考になります。 - ポイント5:保証やアフターフォローの内容が明確か
「保証付き」という言葉だけでなく、保証の期間(例:1年間)、保証が適用される条件、再発時にどのような対応をしてくれるのかなど、具体的な内容を書面で確認しましょう。口約束だけでなく、契約書に明記されていることが大切です。
自分でできるモグラ駆除対策と費用
専門業者に依頼するよりも費用を抑えたい場合、自分でモグラ対策を行うという選択肢があります。
ホームセンターやインターネット通販では、様々なモグラ対策グッズが販売されており、手軽に始めることが可能です。
ただし、自分で対策を行うにはメリットだけでなく、効果の不確実性や手間といったデメリットも存在します。
ここでは、自分でできるモグラ対策の具体的な方法と費用、それぞれの長所と短所を詳しく解説します。
自分でモグラ対策を行うメリットとデメリット
ご自身でモグラ対策に取り組む前に、メリットとデメリットをしっかり理解しておくことが重要です。
安易に始めて時間と費用を無駄にしないためにも、以下の点を比較検討してみましょう。
【メリット】
-
- 費用を大幅に抑えられる:最大のメリットは費用です。業者に依頼すると数万円以上かかることが多いですが、自分で行う場合は数千円程度のグッズ購入費から対策を始めることができます。
- 手軽に始められる:対策グッズは身近な店舗やオンラインで簡単に入手でき、業者とのスケジュール調整も不要なため、被害に気づいたらすぐに行動を起こせます。
- プライバシーを守れる:業者を敷地内に入れる必要がないため、プライバシーを気にする方でも安心です。
【デメリット】
- 効果が不確実:モグラの習性や土壌の状況、トンネルの構造を正確に把握しないと、対策グッズを設置しても効果が出ないことがあります。効果が一時的で、すぐにモグラが戻ってきてしまうケースも少なくありません。
- 手間と時間がかかる:グッズの設置や定期的なメンテナンス、効果の確認など、すべて自分で行う必要があります。効果が出るまで根気強く続ける忍耐力も求められます。
- 専門知識が必要な場合がある:特に捕獲器を使用する場合、モグラが頻繁に通る「本道」と呼ばれるトンネルを見極める知識が不可欠です。本道を見つけられないと、捕獲の成功率は著しく低下します。
- 法律に関する注意が必要:前述の通り、モグラは鳥獣保護管理法の対象です。許可なく殺傷を伴う捕獲を行うと法律違反になる可能性があるため、正しい知識を持って対策を行う必要があります。
【追い払う】モグラが嫌がる音や匂いを利用した対策方法
モグラは地中で生活しているため視力は退化していますが、その分、聴覚や嗅覚が非常に発達しています。
この習性を利用し、モグラが嫌がる音や匂いを発生させて、敷地内から追い出す方法が最も手軽で初心者にもおすすめです。
殺傷を伴わないため、法律的なハードルも低いのが特徴です。
音や振動で対策するグッズ(超音波発生器・風車など)
モグラは地中でのわずかな振動や音に非常に敏感です。
この性質を利用して、継続的に不快な刺激を与えることで、居心地の悪い環境を作り出し、追い払う効果が期待できます。
超音波・振動発生器
地中に突き刺して使用するタイプの対策グッズです。モグラが嫌がる周波数の超音波や振動を定期的に発生させます。ソーラー充電式や電池式のものが主流で、一度設置すれば自動で稼働し続けるため手間がかかりません。
費用相場は1本あたり2,000円~5,000円程度。製品によって効果範囲が異なるため、庭や畑の広さに応じて複数本設置するとより効果的です。設置する際は、モグラ塚の周辺やトンネルの近くに、できるだけ深く差し込むのがポイントです。
モグラよけ風車
風の力で羽根車が回転し、その振動と音を支柱を通じて地中に伝える仕組みです。ペットボトルなどで自作することも可能ですが、市販品はより効率的に振動を伝えられるように設計されています。
費用相場は数百円~数千円と安価ですが、風が吹かないと効果がないという欠点があります。また、カラカラという回転音が気になる場合や、庭の景観に合わない可能性も考慮しましょう。
匂いで対策するグッズ(忌避剤・木酢液・ニンニクなど)
発達した嗅覚を持つモグラは、強い刺激臭や不慣れな匂いを嫌います。
これらの匂いを利用してモグラを遠ざける方法は、古くから行われてきました。
市販のモグラ忌避剤
ナフタレンや木タール、トウガラシ・ワサビといった植物由来の辛み成分など、モグラが嫌う匂いを凝縮した製品です。固形タイプ、液体タイプ、粉末タイプなどがあり、モグラのトンネル(穴)に直接投入したり、出入り口周辺に撒いたりして使用します。費用相場は1,000円~3,000円程度です。
効果の持続期間は製品によって異なり、特に雨が降ると成分が流れて効果が薄れやすいため、定期的な使用が必要です。ペットや小さなお子様がいるご家庭では、製品の成分を確認し、安全なものを選びましょう。
木酢液・竹酢液
木炭や竹炭を焼く際に出る煙を冷却して液体にしたもので、燻製のような独特の強い匂いが特徴です。この匂いをモグラが嫌うため、忌避効果が期待できます。原液または希釈したものを布や綿に染み込ませ、丸めてトンネルの中に複数個投入します。
費用は500mlあたり500円~2,000円程度と比較的安価ですが、匂いが非常に強いため、住宅が密集している場所では近隣への配慮が必要です。
ニンニクやハーブ類
ご家庭にあるものでも対策が可能です。潰したニンニクやトウガラシ、ミントやローズマリーといった香りの強いハーブを布袋に入れ、トンネルの出入り口に置く方法です。手軽に試せますが、効果は一時的で範囲も狭いため、広範囲の被害には向きません。あくまで補助的な対策と考えるのが良いでしょう。
【捕獲する】モグラ捕獲器を使った駆除方法と注意点
音や匂いで追い払う対策を試しても効果が見られない場合、捕獲器を使って直接モグラを捕獲する方法があります。
しかし、この方法は法律が関わるため、実行する前に必ず以下の注意点を理解してください。
【最重要】捕獲には原則として許可が必要です
モグラは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)によって保護されている動物です。
そのため、許可なくモグラを捕獲(殺傷を伴う場合はもちろん、生け捕りも含む)することは法律で禁止されています。
もし捕獲を行う場合は、必ず事前にお住まいの市区町村の担当部署(農林課や環境課など)に相談し、必要な手続きと許可を得る必要があります。無許可での捕獲は罰則の対象となるため、絶対にやめましょう。
詳しくは環境省のウェブサイトもご確認ください。
許可を得た上で捕獲を行う場合、主に以下のような捕獲器が使用されます。
モグラ捕獲器の種類と設置方法
- 筒型捕獲器(生け捕り用):トンネルと同じくらいの太さの筒状の捕獲器で、両端に入り口があります。モグラが中に入ると内部の弁(返し)によって外に出られなくなる仕組みです。費用は1個1,000円~3,000円程度です。
- ハサミ型捕獲器(致死用):トンネル内に設置し、モグラがトリガーに触れると強力なバネの力でハサミが作動し、挟み込んで捕殺するタイプです。殺傷を伴うため、使用にはより一層の注意と厳格な許可が必要です。費用は1個2,000円~4,000円程度です。
効果的な設置のポイント
捕獲の成否は、モグラが日常的に使用する「本道」に設置できるかどうかにかかっています。
餌を探すためだけの一時的な「支道」に設置しても効果はありません。
- 本道を見つける:複数のモグラ塚を直線的に結ぶルートや、毎日新しい土が盛り上がっている活発なトンネルが本道の可能性が高いです。地面を軽く踏んでみて、へこむ部分を探すのも有効です。
- 捕獲器を設置する:本道を見つけたら、トンネルを壊さないように上部の土をスコップで慎重に取り除きます。トンネルの進行方向と捕獲器の向きを合わせて設置します。この際、人間の匂いを付けないよう、必ず手袋を着用してください。
- 光を遮断する:設置後、掘り起こした土や板、植木鉢などで上から蓋をして、外部の光がトンネル内に入らないようにします。光が入るとモグラが警戒して寄り付かなくなります。
- 定期的に確認する:設置後は毎日確認し、捕獲できていた場合は自治体の指示に従って適切に処理してください。
捕獲器による駆除は、追い払う方法に比べて確実性が高い反面、法律の遵守や本道の見極め、設置の手間など、専門的な知識と技術が求められる上級者向けの対策と言えます。
【費用・効果で比較】モグラ駆除は業者と自分でやるのはどっちがおすすめ?
ここまで、モグラ駆除を専門業者に依頼する方法と、自分で対策する方法をそれぞれ解説してきました。
しかし、結局のところ「自分の場合はどちらを選べば良いのか?」と悩む方も多いでしょう。
この章では、「費用」と「効果」という2つの重要な観点から、どちらの方法があなたの状況に適しているかを比較し、最適な選択ができるよう解説します。
結論から言うと、どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。
被害の状況、かけられる予算、時間、そして求める結果によって、おすすめの方法は異なります。
それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、後悔のない選択をしましょう。
費用を安く抑えたいなら自分で対策
モグラ駆除にかかる費用を可能な限り低く抑えたいのであれば、まずは自分で対策してみるのが選択肢となります。
専門業者に依頼すると数万円以上の費用がかかるのが一般的ですが、自分で対策グッズを用意する場合、数千円から1万円程度の初期投資で始めることが可能です。
例えば、モグラが嫌う匂いを放つ忌避剤や、振動を発生させる風車、超音波発生器などは、比較的安価に手に入ります。
被害がまだ限定的で、「とりあえず一度試してみたい」という方にとっては、手軽に始められる点が最大のメリットです。
ただし、自分で対策を行う場合は注意点もあります。
モグラの習性やトンネルの構造を理解していないと、対策グッズを設置しても効果が出ないことがあります。効果がないからと次々に別のグッズを試しているうちに、結果的に費用がかさんでしまい、「最初から業者に頼めばよかった」というケースも少なくありません。
また、効果が出るまでに時間がかかったり、根本的な解決には至らずに一時しのぎで終わってしまったりする可能性も考慮しておく必要があります。
【自分で対策するのがおすすめな人】
- 被害が庭の一部など限定的で、まだ深刻ではない方
- 駆除に時間をかける余裕があり、試行錯誤を楽しめる方
- とにかく初期費用を安く済ませたい方
- 家庭菜園やガーデニングの知識が多少あり、土の状態を観察するのが苦ではない方
確実性と即効性を求めるなら専門業者への依頼
「費用がかかってもいいから、一刻も早く、そして確実にモグラ被害を終わらせたい」と考えるなら、迷わず専門業者への依頼をおすすめします。
プロの業者は、モグラの生態に関する深い知識と、豊富な駆除経験を持っています。
業者はまず、被害状況を詳細に調査し、モグラが日常的に使用する主要なトンネル(本道)を的確に見つけ出します。
そして、その本道に的を絞って効率的な駆除を行うため、自分でやみくもに対策するよりもはるかに高い効果と即効性が期待できます。
多くの場合、数日から1週間程度で被害の拡大を食い止めることが可能です。
また、最大のメリットは、法律を遵守した安全な駆除を行ってくれる点です。
前述の通り、モグラは鳥獣保護管理法の対象であり、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
専門業者であれば、法的な手続きを適切に行った上で駆除を進めるため、知らずに法律を犯してしまうリスクを回避できます。
さらに、作業後の再発防止策の提案や、一定期間の保証を設けている業者も多く、長期的な安心感を得られるのも大きな利点です。
【専門業者への依頼がおすすめな人】
- 畑の作物への被害など、経済的な損失が出ており、緊急性が高い方
- 被害が広範囲に及んでいたり、長期間続いていたりする方
- 自分で対策してみたが、効果がなかった、または状況が悪化した方
- 忙しくて自分で対策する時間や手間をかけられない方
- 確実な再発防止策まで含めて、根本的に問題を解決したい方
モグラ被害の再発を防ぐための予防策
一度モグラの駆除に成功しても、根本的な原因が解決されていなければ、新たなモグラが侵入し被害が再発する可能性があります。
モグラにとって快適な環境がそのままでは、再び巣を作られてしまうのは時間の問題です。
ここでは、長期的に庭や畑をモグラから守るための、効果的な再発防止策を2つの側面から詳しく解説します。
モグラの侵入経路を物理的に塞ぐ
最も確実で効果的な再発防止策は、モグラが敷地内に侵入できないように物理的な壁を作ることです。
モグラは地中を移動するため、地面の下に障壁を設置する必要があります。
代表的な方法が「防モグラネット」や「トタン板」、「金網」などを地面に埋設する方法です。
庭や畑、花壇など、守りたいエリアの周囲を囲うように設置します。
効果を最大限に発揮するためのポイントは「深さ」です。
モグラは通常、地表から10cm~30cmの深さでトンネルを掘りますが、障害物があるとさらに深く潜ることがあります。
そのため、最低でも30cm~50cm、可能であればそれ以上の深さまで埋設するのが理想的です。
地上部分にも10cmほど出しておくと、地表を移動してきたモグラの侵入も防げます。
防モグラネットはポリエチレン製で比較的安価ですが、設置には広範囲を掘り起こす手間がかかります。
トタン板や金網はより頑丈で耐久性が高いものの、コストが高くなり、設置作業の難易度も上がります。
守りたい範囲や予算、かけられる労力を考慮して最適な資材を選びましょう。
ブロックやコンクリートで花壇の縁を深く囲うのも、恒久的な対策として非常に有効です。
モグラの餌となるミミズなどが少ない環境を作る
モグラがあなたの庭や畑に住み着くのは、そこに豊富な餌があるからです。
モグラの主食はミミズで、その他にコガネムシの幼虫(根切り虫)なども好んで食べます。
この餌を減らすことで、モグラにとって魅力の少ない環境を作り、定着を防ぐことができます。
ただし、ミミズは土壌を豊かにしてくれる益虫としての側面も持っています。
土の水はけや通気性を良くし、植物の成長を助ける重要な役割を担っているため、完全に駆除してしまうのは得策ではありません。
あくまで「過剰に増えすぎないように管理する」という視点が大切です。
ミミズやコガネムシの幼虫を減らすための具体的な土壌管理方法は以下の通りです。
- 水はけを良くする:ミミズは湿った土壌を好みます。水はけが悪い場所は、砂やパーライトを混ぜ込んだり、暗渠排水(あんきょはいすい)を設けたりして土壌改良を行いましょう。水たまりができやすい環境は、モグラにとっても餌場になりやすいです。
- 有機物の管理:ミミズは落ち葉や未熟な堆肥などの有機物を餌とします。堆肥を使用する際は、しっかりと発酵・完熟したものを選びましょう。また、芝生の刈りカス(サッチ)が厚く溜まっていると、ミミズやコガネムシの温床になるため、定期的にサッチング(熊手などで掻き出す作業)を行うのが効果的です。
- 薬剤を使用する:コガネムシの幼虫対策として、ダイアジノン粒剤などの土壌用殺虫剤を散布する方法もあります。ただし、薬剤の使用はミミズをはじめとする他の土壌生物にも影響を与える可能性があるため、使用方法や時期、対象植物などをよく確認し、必要最小限に留めるようにしてください。
モグラの餌を完全に無くすことは困難であり、土壌環境への影響も考慮する必要があります。
そのため、餌を減らす対策は、前述した物理的な侵入防止策と組み合わせることで、より高い再発防止効果が期待できます。
まとめ
モグラによる庭や畑の被害は、放置すると景観の悪化や作物の不作につながるため、早期の対策が重要です。
モグラの駆除は鳥獣保護管理法が関わるため、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
費用を抑えたい場合は忌避剤などを使った自力での対策も可能ですが、確実性や即効性を求めるなら専門業者への依頼が最善の選択肢と言えるでしょう。
ご自身の状況に合わせて最適な方法を選び、被害の再発を防ぎましょう。