
自宅のベランダや屋根裏で黒い粒状の糞を見つけ、「これってもしかしてコウモリ?病気にならないか心配…」と不安に思っていませんか?
結論から言うと、コウモリの糞尿はヒストプラズマ症などの重篤な感染症を引き起こす病原菌の温床であり、非常に危険です。
この記事では、コウモリの糞尿に潜む病気のリスク、ネズミの糞との簡単な見分け方を詳しく解説します。
さらに、自分でできる安全な掃除・消毒方法から、専門業者に依頼すべきケース、二度と寄せ付けないための予防策まで、あなたの不安を解消する情報を網羅的にご紹介します。
正しい知識で、ご自身とご家族を健康被害から守りましょう。
目次
コウモリの糞尿が危険な理由 病原菌とウイルスの温床
家屋の屋根裏やベランダ、換気扇の周辺などで見かける黒くて小さな粒。
もしそれがコウモリの糞だとしたら、決して安易に考えてはいけません。
コウモリの糞尿は、見た目の不潔さ以上に、私たちの健康を脅かす様々な病原菌やウイルスの温床となっているからです。
一見するとただの汚れに見えるかもしれませんが、その中には目に見えない危険が潜んでいます。
この章では、なぜコウモリの糞尿が危険なのか、その具体的な理由を詳しく解説します。
乾燥した糞から感染するヒストプラズマ症
コウモリの糞が引き起こす最も代表的な感染症の一つが「ヒストプラズマ症」です。
これは、ヒストプラズマ・カプスラーツムというカビ(真菌)の一種が原因で発症します。
この真菌は、コウモリの糞が大量に堆積した土壌などで繁殖し、胞子を形成します。
問題となるのは、糞が乾燥して砕け、ホコリやチリと共に空気中に飛散することです。
屋根裏や天井裏、長年放置された倉庫などを掃除しようとした際に、この汚染された粉塵を吸い込んでしまうことで、肺に感染してしまうのです。これを経気道感染と呼びます。
健康な人であれば感染しても無症状か、軽い風邪のような症状で済むことが多いですが、免疫力が低下している高齢者や子ども、持病のある方が感染すると、肺炎や全身に症状が広がる播種性ヒストプラズマ症といった重篤な状態に陥る危険性があり、命に関わることもあります。
そのため、糞の清掃には最大限の注意が必要です。
狂犬病ウイルスを保有している可能性
コウモリは、狂犬病ウイルスを媒介する動物として知られています。
狂犬病は、一度発症すると治療法がなく、致死率がほぼ100%という非常に危険な感染症です。
日本では長らく国内での感染は報告されていませんが、世界的に見ればコウモリは狂犬病の主要な感染源の一つです。
主な感染経路は、ウイルスを保有するコウモリに咬まれることです。
糞尿に直接ウイルスが含まれている可能性は低いとされていますが、糞尿が大量にある場所は、コウモリの巣や休息場所になっている証拠です。
つまり、糞尿がある場所にはコウモリ本体が潜んでいる可能性が極めて高く、弱った個体や死骸に不用意に近づいた際に、咬まれたり引っかかれたりするリスクが常に存在します。
傷口に唾液が付着するだけでも感染の恐れがあるため、絶対に素手で触れたり、安易に近づいたりしてはいけません。
糞尿に集まるダニやノミによる二次被害
コウモリの糞尿がもたらす危険は、病原体だけではありません。
糞尿が溜まった場所は、不衛生で栄養が豊富なため、さまざまな害虫の発生源となります。
これを「二次被害」と呼びます。
特に問題となるのが、コウモリに寄生するダニやノミです。
代表的なものに「コウウモリトコジラミ」や「コウモリマルヒメダニ」などがいます。
これらの害虫は、宿主であるコウモリがいなくなると、新たな吸血対象を求めて室内に侵入し、人を刺すことがあります。刺されると激しいかゆみや赤い発疹を引き起こし、不眠やアレルギー症状の原因にもなります。
さらに、糞尿はゴキブリやハエなどの餌にもなり、これらの害虫を屋内に呼び寄せてしまいます。
これらの害虫は、糞尿にいた病原菌を足や体に付着させたまま室内を徘徊し、食品などを汚染する恐れもあります。
このように、コウモリの糞尿を放置することは、感染症のリスクだけでなく、アレルギーや害虫被害といった複合的な健康被害を引き起こす引き金になるのです。
コウモリの糞尿から感染する可能性のある病気一覧
コウモリの糞尿(フンや尿)は、単に不衛生なだけでなく、人体に深刻な影響を及ぼす可能性のある様々な病原体の温床です。
特に屋根裏や天井裏など、密閉された空間に溜まった糞は乾燥して粉末状になりやすく、空気中に飛散した病原体を吸い込んでしまう危険性が高まります。
ここでは、コウモリの糞尿が原因で引き起こされる可能性のある代表的な病気について、その危険性と症状を詳しく解説します。
【カビ】ヒストプラズマ症の症状と危険性
ヒストプラズマ症は、ヒストプラズマ・カプスラーツムというカビ(真菌)の一種が原因で起こる感染症です。
この真菌は、コウモリや鳥の糞が大量に堆積した土壌中に多く存在します。
感染は、乾燥したコウモリの糞に含まれる真菌の胞子を吸い込むことで発生します。
特に、屋根裏や物置、洞窟などの清掃を行う際に、糞の粉塵を吸い込んでしまうケースが多く報告されています。
感染しても無症状か、軽い風邪のような症状で済むことがほとんどですが、油断は禁物です。
主な症状は、発熱、咳、胸の痛み、全身の倦怠感など、インフルエンザによく似ています。
しかし、免疫力が低下している高齢者、乳幼児、抗がん剤治療中の方、HIV感染者などが感染すると、重い肺炎や播種性ヒストプラズマ症に進行することがあります。
播種性ヒストプラズマ症は、病原体が血流に乗って全身に広がり、様々な臓器に深刻なダメージを与えるため、命に関わる非常に危険な状態です。
【ウイルス】狂犬病やニパウイルス感染症
コウモリは、致死率が極めて高い人獣共通感染症のウイルスを保有している可能性があります。
糞尿から直接感染するリスクは低いとされていますが、コウモリ自体が身近にいるという事実が大きな脅威となります。
代表的なウイルスが狂犬病ウイルスです。狂犬病は、発症すると治療法がなく、ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。
日本では長らく国内感染の発生はありませんが、世界的に見ればコウモリは犬と並ぶ主要な感染源とされています。
主に噛まれることで唾液を介して感染しますが、糞尿にウイルスが含まれている可能性もゼロではありません。
また、ニパウイルス感染症やヘンドラウイルス感染症など、コウモリが自然宿主とされる新興感染症も存在します。
これらは主に東南アジアやオーストラリアで発生が報告されており、重篤な脳炎や呼吸器症状を引き起こします。
海外からの物流や人の移動が活発な現代において、日本国内でも警戒が必要です。
【細菌】サルモネラ症などの食中毒
コウモリの糞尿には、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの食中毒を引き起こす細菌が含まれていることがあります。
感染経路として考えられるのは、ベランダや換気扇の近くにコウモリの糞が落下し、それが乾燥して粉末状になるケースです。
その粉塵が風で室内に舞い込み、キッチンにある食品や食器、調理器具に付着し、それを知らずに口にすることで経口感染するリスクがあります。
サルモネラ症に感染すると、激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱といった症状が現れます。
特に抵抗力の弱い子どもや高齢者は重症化しやすいため、注意が必要です。
コウモリの糞を見つけたら、食品を扱う場所の近くではないかを確認し、慎重に対処することが求められます。
【害虫】アレルギー性鼻炎や皮膚炎
コウモリの糞尿が引き起こす健康被害は、病原体による直接的な感染だけではありません。
糞尿が溜まった場所は、害虫にとって格好の繁殖場所となります。
コウモリの糞尿を栄養源として、ダニ、ノミ、シラミ、ゴキブリなどの害虫が大量に発生します。
これらの害虫の死骸やフンがアレルゲンとなり、吸い込むことで気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などを引き起こしたり、症状を悪化させたりする原因になります。
また、コウモリの巣に潜んでいたダニやノミが、宿主であるコウモリがいなくなった後、新たな吸血対象を求めて室内に侵入してくることもあります。
その結果、人に寄生して吸血し、激しいかゆみや赤い発疹を伴う皮膚炎(刺咬症)を引き起こす二次被害も深刻な問題です。
これってコウモリの糞?ネズミの糞との見分け方
家のベランダや窓際、換気口の下、あるいは屋根裏で黒くて細長い糞のようなものを見つけ、「これは一体何の糞だろう?」と不安に思ったことはありませんか?
特に家屋に侵入しやすいコウモリやネズミの糞は見た目が似ているため、見分けるのが難しい場合があります。
しかし、それぞれには明確な特徴があり、正しく見分けることが適切な対処と健康被害を防ぐための第一歩となります。
病原菌の温床となる糞を特定するため、その違いを詳しく見ていきましょう。
形状と大きさの違い
まず、最も分かりやすい違いは糞の「形状」と「大きさ」です。
それぞれの特徴を比較してみましょう。
コウモリの糞の特徴
日本家屋の周辺でよく見られるアブラコウモリ(イエコウモリ)の糞は、おおよそ5mm~10mmほどの大きさです。
形状は細長く、一本一本がバラバラに散らばって落ちていることが多いのが特徴です。
コウモリは昆虫を主食としているため、糞には消化しきれなかった昆虫の羽や脚、硬い外骨格などが混じっています。
そのため、糞を光に当ててよく観察すると、キラキラと光って見えることがあります。これがネズミの糞との最大の違いと言えるでしょう。
色は黒色から茶褐色です。
ネズミの糞との比較
一方、ネズミの糞は種類によって形状や大きさが異なりますが、コウモリの糞との共通の違いがあります。
- クマネズミの糞:大きさは6mm~10mmほどで、不揃いな形をしています。移動しながら糞をする習性があるため、広範囲に散らばっていることが多いです。
- ドブネズミの糞:10mm~20mmと比較的大きく、太くて丸みを帯びた形状です。一箇所にまとまって落ちている傾向があります。
- ハツカネズミの糞:米粒ほどの4mm~7mm程度で、両端が尖っているのが特徴です。
ネズミは雑食性で、糞には水分や油分が含まれているため、コウモリの糞のようにキラキラと光ることはなく、全体的にパサついた感じがありません。
この光沢の有無は、見分ける上で非常に重要なポイントです。
糞の脆さで判断する
糞の「脆(もろ)さ」も、コウモリとネズミを見分けるための決定的な手がかりとなります。
ただし、糞を確認する際は、病原体を吸い込む危険性があるため、必ずマスクとゴム手袋を着用し、直接手で触れず、木の枝や割り箸などを使ってください。
コウモリの糞は崩れやすい
コウモリの糞は、主成分が昆虫の外骨格(キチン質)であるため、非常に乾燥しており脆いのが特徴です。
手袋をした指や木の枝などで軽く力を加えるだけで、いとも簡単にホロホロと崩れ、砂のような粉末状になります。
この性質こそが、乾燥した糞の粒子を吸い込んでしまうことで起こる「ヒストプラズマ症」などの感染症リスクを高める原因にもなっています。
ネズミの糞は硬く崩れにくい
対照的に、ネズミの糞は水分や油分を含んでいるため、簡単には崩れません。
同じように力を加えても形が崩れにくく、粘土のように固まっている感触があります。
時間が経って乾燥したものであっても、コウモリの糞のように粉々になることはほとんどありません。
もし糞が硬く、突いても形状を保っているようであれば、ネズミのものである可能性が非常に高いと言えます。
自分でできる安全なコウモリの糞尿の掃除と消毒方法
ベランダや屋根裏、換気扇の周りなどでコウモリの糞尿を発見した場合、少量であればご自身で清掃することも可能です。
しかし、コウモリの糞尿にはヒストプラズマ症の原因となるカビの胞子や、その他の病原体が含まれている可能性があり、作業には細心の注意が必要です。
必ずこれから解説する正しい手順と装備を守り、安全を最優先してください。
少しでも不安を感じたり、糞の量が多かったりする場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。
掃除の前に揃えるべき防護具と道具
コウモリの糞尿に含まれる病原体から身を守るため、掃除を始める前に以下の防護具と道具を必ず準備してください。
これらはホームセンターやドラッグストア、インターネット通販などで入手できます。
【必須の防護具】
- 高性能な防塵マスク:通常の家庭用マスクでは不十分です。カビの胞子(約2~5ミクロン)の吸入を防ぐため、N95規格やDS2規格以上の粒子捕集効率を持つ防塵マスクを必ず着用してください。
- ゴーグル(保護メガネ):糞の粉塵や消毒液の飛沫が目に入るのを防ぎます。隙間のないタイプがより安全です。
- ゴム手袋または使い捨てのビニール手袋:病原体に直接触れないために必須です。破れにくい厚手のものを選び、二重に着用するとさらに安全性が高まります。
- 長袖・長ズボン:肌の露出をなくし、糞や病原体の付着を防ぎます。汚れても良い服装を選びましょう。可能であれば、使い捨ての防護服(タイベックなど)を着用するのが最も理想的です。
- 帽子またはフード付きの服:髪の毛に糞の粉塵が付着するのを防ぎます。
【掃除と消毒に必要な道具】
- 霧吹き(水を入れたもの):乾燥した糞を湿らせ、粉塵の飛散を防ぐために非常に重要です。
- ヘラやスクレーパー:床や壁にこびりついた糞を剥がし取る際に使用します。
- ほうき、ちりとり:湿らせた糞を集めるために使います。使い捨てできるものが便利です。
- 厚手のビニール袋:集めた糞や使用済みの防護具を捨てるために使います。必ず二重にして使用しましょう。
- ペーパータオルまたは使い捨ての雑巾:消毒液での拭き掃除に使用します。
- 消毒液:次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)や消毒用エタノールなどを用意します。
病原体を吸い込まないための掃除手順
準備が整ったら、以下の手順で慎重に作業を進めてください。
特に、粉塵を吸い込まないための工夫が重要です。
- 換気の確保:掃除を始める前に、作業場所の窓を2か所以上開けて空気の通り道を作り、十分に換気します。ただし、強風で粉塵が室内に舞い込まないよう注意してください。
- 防護具の完全着用:マスク、ゴーグル、手袋、長袖・長ズボンなど、準備した防護具を隙間なく完全に着用します。
- 糞を湿らせる:これが最も重要な工程です。乾燥した糞をいきなり掃くと、病原菌の胞子が空気中に舞い上がり、吸い込んでしまう危険性が非常に高まります。必ず霧吹きに入れた水で、糞全体がしっとりと湿るまでスプレーしてください。
- 糞の除去:湿らせて飛散しなくなった糞を、ヘラやスクレーパーで剥がしながら、ちりとりで静かに集めます。
- 密閉して処分:集めた糞はビニール袋に入れ、空気を抜いてから口を固く縛ります。さらにその袋をもう一枚のビニール袋に入れ、二重に密閉します。処分方法は自治体のルールに従い、「燃えるゴミ」として出してください。
- 汚染箇所の清掃と消毒:糞を取り除いた後、尿のシミや汚れが残っている場所をペーパータオルなどで拭き取ります。その後、次の項目で説明する消毒液を使って殺菌処理を行います。
- 道具・防護具の処分:掃除に使用したペーパータオル、手袋、マスク、防護服などはすべて糞と同様にビニール袋に入れて二重に密閉し、可燃ごみとして処分します。ゴーグルや衣服など再利用するものは、消毒液で拭くか、他の洗濯物とは別に洗濯してください。
使用するべき消毒液と正しい使い方
糞を取り除いただけでは、目に見えない病原菌が残っています。
仕上げに必ず消毒作業を行いましょう。
使用する消毒液によって特徴が異なるため、場所や状況に応じて使い分けてください。
【推奨される消毒液】
- 次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤):カビやウイルス、細菌に対して非常に高い殺菌効果があります。市販の「ハイター」や「ブリーチ」などを水で薄めて使用します。製品の表示に従い、0.05%~0.1%程度の濃度(例:水1Lに対し、塩素濃度6%の漂白剤を約10~20ml)に希釈してください。ただし、金属を腐食させる作用や、酸性タイプの製品と混ざると有毒ガスが発生する危険があるため、取り扱いには十分注意が必要です。
- 消毒用エタノール(アルコール濃度70%以上):ウイルスや細菌に効果的で、スプレータイプも市販されており手軽に使用できます。金属への影響が少ないため、ドアノブや金属部分の消毒に適しています。ただし、ヒストプラズマ菌のようなカビの胞子に対しては、次亜塩素酸ナトリウムほどの効果は期待できない場合があります。
【消毒の正しい手順】
- 消毒液を準備する:次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、換気をしながら正しく希釈します。スプレーボトルに入れると作業がしやすくなります。
- 消毒液を塗布する:糞があった場所を中心に、その周辺も含めて広範囲に消毒液をスプレーするか、消毒液を染み込ませたペーパータオルで拭き上げます。壁や天井に糞があった場合は、液だれに注意してください。
- 時間を置いて浸透させる:消毒効果を最大限に発揮させるため、消毒液を塗布してからすぐに拭き取らず、5分から10分程度放置します。
- 拭き取りと乾燥:放置した後、きれいな水で濡らしたペーパータオルで清拭し、消毒液の成分を拭き取ります。特に金属部分や、ペットや子供が触れる可能性のある場所は念入りに拭き上げましょう。最後に、しっかりと乾燥させれば完了です。
専門業者に駆除を依頼した方が良いケース
コウモリの糞尿の清掃は、ご自身で行うことも不可能ではありません。
しかし、特定の状況下では健康被害のリスクが格段に高まり、個人での対処が非常に危険かつ困難になります。
コウモリは「鳥獣保護管理法」によって保護されており、許可なく捕獲や殺傷ができないため、法律の知識を持った専門業者に依頼するのが最も安全で確実な方法です。
以下のようなケースに当てはまる場合は、迷わずプロの駆除業者に相談しましょう。
糞の量が1kg以上ある場合
コウモリの糞が1kg以上も堆積している状況は、極めて危険なサインです。
これは長期間にわたってコウモリが住み着き、繁殖している証拠に他なりません。
具体的には、天井裏や屋根裏の一角に黒い山ができていたり、広範囲にわたって糞が散らばっていたりする状態を指します。
糞の量が多いほど、病気の原因となるヒストプラズマ菌の胞子濃度も高くなります。
清掃時に大量の乾燥した糞の粉塵が舞い上がり、それを吸い込んでしまうと重篤な肺炎を引き起こすヒストプラズマ症に感染するリスクが飛躍的に増大します。
また、大量の糞尿は建材を腐食させ、悪臭の原因となるだけでなく、建物の資産価値を大きく損なうことにも繋がります。
ご自身の健康と住まいを守るためにも、糞が大量にある場合は絶対に個人で対処しようとせず、専門業者に任せるべきです。
屋根裏や高所など危険な場所の清掃
コウモリは、屋根裏、天井裏、壁の内部、換気口、戸袋といった、暗く狭く、人の目が届きにくい場所を好んで巣にします。
こうした高所や閉鎖的な空間での作業は、専門的な知識や装備がないと重大な事故につながる恐れがあります。
不安定な足場での作業による転落事故や、頭をぶつけるなどの怪我のリスクはもちろん、狭い空間では身動きが取りづらく、適切な防護服を着用していても作業は困難を極めます。
さらに、閉鎖空間は空気の流れが悪いため、舞い上がった糞の粉塵が充満しやすく、大量の病原体を吸い込んでしまう危険性が高まります。
専門業者は、安全を確保するための装備と技術、そして危険な場所での作業経験が豊富です。
安全かつ徹底的に清掃・消毒を行うためにも、作業場所が危険を伴う場合はプロに依頼することが賢明な判断です。
業者選びのポイントと費用相場
いざ専門業者に依頼しようと思っても、どの業者を選べば良いか迷ってしまうかもしれません。
悪質な業者を避け、安心して任せられる優良な業者を選ぶためのポイントと、費用の相場について解説します。
信頼できる業者の見分け方
業者選びで失敗しないためには、いくつかのポイントを確認することが重要です。特に以下の点に注意して、慎重に業者を選定しましょう。
- 見積もりが明確か: 作業内容の内訳(追い出し、糞の清掃、殺菌・消毒、侵入経路の封鎖など)が項目ごとに記載され、料金が明瞭であるかを確認しましょう。「一式」としか書かれていない見積もりや、内訳の説明を渋る業者は避けるべきです。
- 現地調査をしっかり行うか: 電話だけで安易に金額を提示するのではなく、実際に被害状況や建物の構造を現地で確認した上で、詳細な見積もりを出してくれる業者は信頼できます。
- 実績と専門知識: ホームページなどでコウモリ駆除の施工実績が豊富に掲載されているかを確認しましょう。また、鳥獣保護管理法に関する知識を持ち、法律を遵守した方法で駆除を行うことを明言しているかも重要なポイントです。
- 再発保証の有無: 駆除作業後にコウモリが再侵入した場合に備え、アフターフォローや保証制度が整っているかを確認しておくと安心です。保証期間や内容もしっかりと書面で確認しましょう。
- 複数の業者から相見積もりを取る: 最も重要なのは、1社だけでなく必ず2〜3社から相見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することです。これにより、地域の費用相場を把握できるだけでなく、各社の対応の質を見極めることができます。
駆除費用の内訳と相場
コウモリ駆除の費用は、被害の規模、建物の構造、作業の難易度、糞の量などによって大きく変動します。
あくまで一般的な目安として、費用の内訳と相場を把握しておきましょう。
- 追い出し・侵入経路封鎖作業: 20,000円〜100,000円程度。侵入経路の数や封鎖工事の難易度によって変動します。
- 糞の清掃・消毒作業: 30,000円〜150,000円程度。糞の量や清掃範囲の広さによって大きく変わります。
- 高所作業車などの特殊機材費: 別途20,000円〜50,000円程度かかる場合があります。
総額としては、被害が軽微な場合で50,000円前後から、屋根裏全体に被害が及んでいるようなケースでは200,000円〜500,000円以上になることもあります。
極端に安い料金を提示する業者には注意が必要です。
必要な清掃や消毒が省略されていたり、不十分な侵入経路封鎖で再発したりするトラブルが後を絶ちません。
料金だけでなく、作業内容と保証をしっかりと確認し、総合的に信頼できる業者を選びましょう。
コウモリを二度と寄せ付けないための予防策
コウモリの糞尿をきれいに掃除しても、根本的な原因であるコウモリの侵入を防がなければ、再び巣を作られ、同じ問題が繰り返されてしまいます。
清掃と消毒が完了したら、次は再発防止策を徹底することが非常に重要です。
ここでは、ご自身でできる効果的な予防策を詳しく解説します。
コウモリの侵入経路を特定し封鎖する
コウモリは、アブラコウモリ(イエコウモリ)など家屋に侵入する種類の場合、わずか1~2cm程度の非常に小さな隙間からでも出入りが可能です。
そのため、家全体をくまなくチェックし、侵入経路となりうる全ての隙間を塞ぐ必要があります。
主な侵入経路となりやすい場所
コウモリは暗くて狭い、雨風をしのげる場所を好みます。ご自宅の以下のような場所に隙間がないか、重点的に確認しましょう。
- 屋根の隙間(瓦のズレや欠け、棟板金と屋根材の隙間など)
- 換気口、通気口、ガラリ
- 壁のひび割れ、サイディングの継ぎ目やコーキングの劣化部分
- エアコンの配管導入部や室外機周辺の壁の穴
- シャッターボックスや雨戸の戸袋の内部
- 軒下と壁の取り合い部分
- 使われていない煙突
侵入経路の特定方法
侵入経路を効率よく見つけるには、いくつかの方法があります。
まず、糞が多く落ちている場所の真上や周辺を注意深く観察してください。
そこが出入り口になっている可能性が高いです。
また、コウモリが活動を始める夕暮れ時に、建物の外からコウモリがどこから出てくるかを観察するのも非常に有効な方法です。
懐中電灯を使い、屋根裏や軒下から光が漏れる場所がないかチェックするのも良いでしょう。
効果的な封鎖方法と注意点
侵入経路を特定したら、適切な材料を使って隙間を塞ぎます。
ただし、最も重要な注意点として、必ずコウモリが巣から出て行った後(夜間)に封鎖作業を行ってください。
中にコウモリを閉じ込めてしまうと、中で死んでしまい、死骸から悪臭やウジ虫が発生する二次被害につながります。
- 金網やパンチングメタル:換気口など、空気の流れを確保しつつ塞ぎたい場所には、ステンレス製など錆びにくい金属製の網が最適です。網目が細かいものを選び、ビスやコーキングでしっかりと固定します。
- シーリング材や補修用パテ:壁のひび割れや配管周りの小さな隙間には、耐候性の高い屋外用のシーリング材やパテを充填します。
- 漆喰やモルタル:瓦の隙間など、より強固な封鎖が必要な箇所に使用します。専門的な技術が必要な場合もあります。
封鎖作業は、一箇所だけでなく、侵入される可能性のある全ての隙間に対して行うことが、再発防止の鍵となります。
市販の忌避剤の正しい使い方と効果
侵入経路の封鎖と並行して、忌避剤を使用することでコウモリを追い出し、寄り付きにくくする効果が期待できます。
ただし、忌避剤はあくまで追い払うための補助的な手段であり、侵入経路が塞がれていなければ効果は一時的です。
日本に生息するコウモリは「鳥獣保護管理法」により保護されているため、殺傷や捕獲は法律で禁止されています。
忌避剤は、あくまでコウモリに危害を加えず、嫌な臭いや刺激で追い出す目的で使用してください。
忌避剤の種類と特徴
- スプレータイプ(エアゾール式):即効性が高く、コウモリが潜んでいる屋根裏や天井裏に直接噴射して追い出すのに適しています。ハッカ油などの天然成分を含むものから、より強力な薬剤を使用したものまで様々です。持続性は低いものが多いため、追い出し用として使用します。
- ジェルタイプ:持続性が高く、コウモリの出入り口や休憩場所に塗布することで、その場所を嫌がらせて寄り付かなくさせます。壁や梁に直接塗るため、跡が残らないか目立たない場所で試してから使用しましょう。
- 固形・顆粒タイプ:屋根裏や床下などに設置するだけで、長期間にわたり忌避成分を発散させます。閉鎖された空間で効果を発揮しやすいですが、風通しの良い場所では効果が薄れることがあります。
- 超音波発生装置:コウモリが嫌う周波数の超音波を発生させ、縄張りから追い出すことを目的とした装置です。しかし、コウモリが音に慣れてしまったり、障害物によって効果が遮られたりするケースも報告されており、その効果は限定的な場合があります。他のペットに影響がないかも確認が必要です。
忌避剤を使用する際の重要ポイント
忌避剤の効果を最大限に引き出すためには、使い方にコツがあります。
まず、使用するタイミングは、コウモリが餌を探しに巣から出ていく夕方から夜間が最適です。
昼間に使用すると、パニックを起こしたコウモリが建物のさらに奥深くへ逃げ込んでしまう恐れがあります。
また、スプレータイプの薬剤を使用する際は、屋根裏などの閉鎖空間で作業するため、必ず長袖・長ズボン、ゴーグル、防護マスクを着用し、薬剤を吸い込んだり皮膚に付着したりしないよう、安全に十分配慮してください。
作業後はしっかりと換気を行いましょう。
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まとめ
コウモリの糞尿は、ヒストプラズマ症や狂犬病といった深刻な病気の感染源となるため、絶対に素手で触れてはいけません。
もし糞尿を発見した場合は、マスクや手袋で厳重に防護した上で、正しい手順で掃除・消毒を行いましょう。
糞の量が多い、高所であるなど自力での対応が困難な場合は、無理をせず専門の駆除業者に依頼することが最も安全で確実です。
清掃後は侵入経路を封鎖し、再発防止策を徹底することで、あなたと家族の健康を守りましょう。








