
家庭菜園で大切に育てているズッキーニの葉に、白い斑点や謎の穴ができていませんか?
実が変形したり元気がなくなったりするその症状は、害虫被害の危険なサインかもしれません。
ズッキーニの害虫対策で最も重要なのは、被害が広がり手遅れになる前の「早期発見」と「原因に合わせた適切な対処」です。
放置すると、アブラムシやウリハムシなどの害虫はあっという間に増殖し、株を弱らせて収穫できなくなってしまいます。
この記事では、葉や実のサインから害虫を特定する方法、そして農薬を使わない自然な駆除方法から、どうしても被害が止まらない場合の農薬の使い方まで、あなたの状況に合わせた最適な対策を徹底解説します。
さらに、そもそも害虫を寄せ付けない予防策もご紹介。
この記事を最後まで読めば、害虫の悩みから解放され、美味しいズッキーニを安心して収穫できるようになります。
目次
まずは確認!ズッキーニに発生する害虫のサイン
家庭菜園で人気のズッキーニですが、実はさまざまな害虫の被害に遭いやすい野菜です。
せっかく育てたズッキーニが収穫前にダメになってしまうのは避けたいもの。
手遅れになる前に被害を食い止めるには、害虫が発生した初期のサインを見逃さないことが何よりも重要です。
毎日の水やりの際に、葉や実、花の状態をよく観察する習慣をつけましょう。
ここでは、ズッキーニに現れる症状から、潜んでいる害虫を特定するためのポイントを詳しく解説します。
葉に現れる症状から害虫を特定する
害虫の被害が最も早く、そして顕著に現れるのが「葉」です。
葉の色の変化や傷、不審な付着物など、些細な変化に気づくことが早期発見・早期駆除の第一歩となります。
葉に白い斑点や模様がある
ズッキーニの葉に、白い斑点やかすれたような模様が見られる場合、いくつかの害虫が原因として考えられます。まず疑うべきは「ハダニ」です。
ハダニは0.5mm程度と非常に小さく肉眼では見つけにくいですが、葉の裏に寄生して汁を吸います。
吸われた部分は葉緑素が抜け、針でつついたような白い小斑点が無数に現れ、やがて葉全体が白っぽくかすり状になり、光合成ができなくなって枯れてしまいます。
また、葉を揺らすと白い小さな虫がフワッと飛び立つ場合は「コナジラミ」の仕業です。
コナジラミも吸汁性の害虫で、被害が進むと葉の色が抜けて生育が悪くなります。
これらの害虫被害と間違えやすいのが、カビが原因の「うどんこ病」です。
うどんこ病は白い粉をまぶしたように見えるのが特徴で、斑点状に始まる害虫被害とは見た目が異なります。
葉に穴が開いている
葉に穴が開いている場合、食害性の害虫がいるサインです。
特に目立つのが、オレンジ色の体を持つ「ウリハムシ」による被害です。
ウリハムシの成虫はズッキーニの葉を好み、円形や不定形に食い荒らします。
被害がひどいと、葉脈だけを残して網目状にされてしまうこともあります。
一方、夜の間に葉が食べられて不規則な形の大きな穴が開いていたら、「ヨトウムシ(夜盗虫)」の可能性が高いでしょう。
ヨトウムシは蛾の幼虫で、昼間は株元の土の中に隠れ、夜になると活動して葉や新芽をムシャムシャと食べ進めます。
他にも、ナメクジ(這った跡がキラキラ光る)やバッタ類も葉に穴を開ける原因となります。
葉が縮れたり変形したりする
新芽や若い葉が縮れたり、奇形になったりしている場合は、「アブラムシ」の寄生を疑いましょう。
アブラムシは新芽などの柔らかい部分に集団で取り付き、養分を吸い取ります。
その結果、葉の正常な成長が妨げられ、縮れたりカールしたりするのです。
また、アブラムシは植物のウイルス病を媒介することでも知られています。
吸汁の際にウイルスが侵入すると、葉にモザイク状の濃淡模様が現れる「モザイク病」などを引き起こし、株全体の生育が著しく悪化するため特に注意が必要です。
葉の裏に黒や緑の粒がびっしりついている
ズッキーニの葉をめくってみて、裏側に緑色や黒色の小さな粒がびっしりと付着していたら、それはほぼ「アブラムシ」の群れです。
体長2~4mmほどの小さな虫で、繁殖力が非常に高く、あっという間に増殖します。
アブラムシは甘い排泄物(甘露)を出すため、それを目当てにアリが集まってきたり、甘露にカビが生えて葉が黒くなる「すす病」を併発したりすることもあります。
葉の裏は害虫の隠れ家になりやすいため、定期的なチェックを怠らないようにしましょう。
実や花に現れる症状
葉だけでなく、収穫の対象となる実や、実になる前の花にも害虫のサインは現れます。
収穫量を左右する重要なサインなので、見逃さないようにしましょう。
実が変形したり傷がついたりする
順調に育っているように見えたズッキーニの実の表面に、かじられたような傷やデコボコした変形が見られることがあります。
これは「ウリハムシ」や「ヨトウムシ」が若い実を食害した跡かもしれません。
特にウリハムシは実の表面を浅くかじるため、独特の傷が残ります。
また、カメムシ類が口針を刺して吸汁すると、その部分の成長が阻害されて実が奇形になることもあります。
傷口から病原菌が侵入し、実が腐ってしまう原因にもなるため注意が必要です。
花や幼果が落ちてしまう
ズッキーニの花が咲いても実にならずに落ちてしまったり、小さな実(幼果)が黄色くなってポロリと取れてしまったりする現象が続く場合、受粉不良や栄養不足も考えられますが、「アザミウマ(スリップス)」という害虫が原因の可能性もあります。
アザミウマは体長1~2mmと非常に細長く小さな虫で、花の内部に潜り込んで吸汁します。
その結果、受粉がうまくいかなかったり、雌しべが傷つけられたりして、正常に実が育たずに落果してしまうのです。
うまく実が育ったとしても、表面がザラザラになったり傷がついたりすることがあります。
症状別に見るズッキーニの害虫とその駆除方法
ズッキーニの葉や実に現れた症状から、原因となっている害虫を特定し、それぞれに合った正しい方法で駆除することが大切です。
ここでは、ズッキーニに発生しやすい代表的な害虫5種類について、その特徴と効果的な駆除方法を詳しく解説します。
【アブラムシ】新芽や葉裏に群がる小さな害虫
アブラムシの特定方法
体長1~4mmほどの小さな虫で、緑色や黒色、茶色など様々な色をしています。
ズッキーニの新芽や成長点の近く、葉の裏などにびっしりと群生するのが特徴です。
アブラムシは植物の汁を吸って株を弱らせるだけでなく、排泄物である「甘露(かんろ)」が原因で、葉が黒いすすで覆われたようになる「すす病」を誘発します。
また、ウイルス病を媒介することもあるため、早期発見・早期駆除が重要です。
アリが特定の場所に集まっている場合、その先にアブラムシが発生している可能性が高いでしょう。
アブラムシの駆除方法
発生初期で数が少ない場合は、粘着テープに貼り付けて取る、あるいは古い歯ブラシなどでこすり落とすのが手軽です。
勢いの良いシャワーなどの水流で洗い流すのも効果的です。
農薬を使いたくない場合は、牛乳を水で薄めたスプレーや、木酢液の希釈液を散布する方法もあります。
数が多く、広範囲に広がってしまった場合は、ズッキーニに登録のある家庭園芸用の殺虫剤を使用しましょう。
薬剤を使用する際は、必ずラベルの指示に従い、使用時期や回数を守ってください。
>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策
【ウリハムシ】葉や花を食い荒らすオレンジ色の害虫
ウリハムシの特定方法
体長7~8mm程度のオレンジ色をした甲虫で、名前の通りウリ科の植物を好みます。
成虫はズッキーニの葉や花、若い実を円形にかじるように食害します。
特に葉に円形の食害痕がいくつも見られる場合は、ウリハムシの仕業である可能性が高いです。
非常に食欲旺盛で、放置すると葉が穴だらけにされてしまいます。
また、土の中に産み付けられた卵から孵化した幼虫は、根を食害して株の生育を妨げるため、成虫を見つけたらすぐに対処が必要です。
ウリハムシの駆除方法
成虫は動きが素早いですが、気温が低い早朝は動きが鈍いため、見つけ次第、手で捕殺するのが最も確実です。
株元にキラキラと光るアルミホイルやシルバーマルチを敷いておくと、光の反射を嫌って成虫が寄り付きにくくなる効果が期待できます。
大量発生してしまった場合は、ウリハムシに適用のある殺虫剤を散布します。
幼虫対策も兼ねて、株元を中心に散布するとより効果的です。
【ハダニ】葉の色を悪くする非常に小さい害虫
ハダニの特定方法
体長0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。
葉の裏に寄生して汁を吸います。
被害の初期症状として、葉に針で刺したような白い小さな斑点が現れ、次第に葉全体の色が抜けて白っぽくカスリ状になります。
被害が進行すると、葉の裏にクモの巣のような細かい網を張ることもあります。
ハダニは高温で乾燥した環境を好むため、梅雨明けから夏にかけて特に発生しやすくなります。
ハダニの駆除方法
ハダニは乾燥を嫌うため、定期的に葉の裏に霧吹きで水をかける「葉水」が有効な予防・駆除方法になります。
発生してしまった場合は、勢いのある水で洗い流しましょう。
牛乳スプレーも窒息させる効果が期待できます。
これらの方法で改善しない場合は、ハダニ専用の殺ダニ剤や、気門を塞いで窒息させるマシン油乳剤などが有効です。
ハダニは薬剤への抵抗性を持ちやすいため、同じ薬剤を連続して使用するのは避け、異なる系統の薬剤をローテーションで使用するのがポイントです。
【コナジラミ】触ると飛び立つ白い害虫
コナジラミの特定方法
体長1~2mmほどの白い羽を持つ小さな虫で、見た目は小さな蛾のようです。
ズッキーニの株に触れたり、葉を揺らしたりすると、白い粉のような虫が一斉に飛び立つのが特徴です。
葉の裏に寄生して汁を吸い、アブラムシと同様にすす病の原因となる甘露を排泄します。
また、トマト黄化葉巻病などのウイルスを媒介することもあり、注意が必要です。
繁殖力が非常に高く、あっという間に増えてしまいます。
コナジラミの駆除方法
コナジラミは黄色に誘引される習性があるため、市販の黄色い粘着シートを株の近くに設置して捕獲するのが効果的です。
物理的な駆除としては、水で洗い流す方法もあります。
大量に発生した場合は、コナジラミに適用のある殺虫剤を散布します。
葉の裏に潜んでいることが多いため、薬剤を散布する際は葉の裏までしっかりと薬液がかかるようにしましょう。
【ヨトウムシ】夜間に葉や実を食べる芋虫
ヨトウムシの特定方法
ヨトウガ(夜盗蛾)の幼虫で、いわゆる芋虫です。
その名の通り、昼間は土の中や株元の葉の陰に隠れていて、夜になると活動を始めます。
夜の間に葉や新芽、時には柔らかい実までムシャムシャと食い荒らします。
食欲が非常に旺盛で、一晩で葉がボロボロにされたり、若い実が大きくえぐられたりといった大きな食害痕が特徴です。
株の周りに黒いフンが落ちている場合も、ヨトウムシがいるサインです。
ヨトウムシの駆除方法
最も効果的なのは、夜間に懐中電灯を持って株を観察し、食事中のヨトウムシを捕殺することです。
昼間に探す場合は、株元の土を軽く掘り返してみると見つかることがあります。
農薬を使用する場合は、ヨトウムシに効果のある殺虫剤を散布します。
特に、天然成分由来で環境への影響が少ないBT剤(生物農薬)は、効果的で安心して使いやすい選択肢の一つです。
薬剤は、活動時間である夕方から夜にかけて散布すると効果が高まります。
>>【ヨトウムシ駆除の決定版】知らないと損!プロが教える発生原因から予防法まで
農薬を使いたくない人向けのズッキーニ害虫駆除
「家族が食べるものだから、できるだけ農薬は使いたくない」と考える方は多いでしょう。
ズッキーニの家庭菜園では、化学農薬に頼らなくても害虫をコントロールする方法がいくつもあります。
ここでは、環境にも優しく、安心して実践できる自然派の害虫駆除方法を具体的にご紹介します。
早期発見とこまめな手入れが、無農薬栽培成功の鍵です。
手で取る・水で流すなど物理的な駆除
最もシンプルで直接的な方法が、物理的な駆除です。害虫の数がまだ少ない初期段階では、この方法が非常に効果的です。
毎日の観察を習慣にし、害虫を見つけ次第すぐに対処しましょう。
手での捕殺
ウリハムシやヨトウムシの成虫・幼虫など、目に見える大きさの害虫は、見つけ次第手で捕まえて駆除するのが確実です。
虫に直接触れるのに抵抗がある場合は、割り箸やピンセットを使ったり、古い歯ブラシでこすり落としたりするとよいでしょう。
特にヨトウムシは夜行性のため、早朝や日没後に葉の裏や株元を探すと見つけやすいです。
粘着テープを利用する
アブラムシやコナジラミのように、小さな害虫が葉の裏にびっしりと群がっている場合に有効です。
ガムテープや養生テープといった粘着テープの粘着面を、害虫がいる部分に軽く押し当てて剥がすことで、一気に捕獲できます。
ただし、強く押し付けすぎると葉を傷つけてしまう可能性があるため、力加減には注意してください。
水で洗い流す
アブラムシやハダニは、強い水流で洗い流すことができます。
ホースのシャワー機能を使い、葉の表だけでなく、害虫が多く潜んでいる葉の裏側にもしっかりと水をかけましょう。
霧吹きでも代用できますが、ある程度の水圧が必要です。
この方法は、泥はねによる病気の発生を防ぐため、晴れた日の午前中に行い、日中に株全体が乾くようにするのがおすすめです。
牛乳スプレーや木酢液を使った自然派の駆除
ご家庭にあるものや、ホームセンターで手軽に入手できる自然由来の資材を使って、害虫対策用のスプレーを手作りすることができます。
化学農薬と比べて効果は穏やかですが、定期的に使用することで害虫の発生を抑制できます。
牛乳スプレー(アブラムシ・ハダニ向け)
牛乳を水で1:1の割合で薄めたものをスプレーボトルに入れ、アブラムシやハダニに直接吹きかけます。
牛乳が乾燥する過程で膜を作り、害虫を窒息させる効果が期待できます。
散布は、よく晴れた日の午前中が最適です。
ただし、散布した牛乳をそのまま放置すると、腐敗して悪臭やカビの原因となるため、スプレーが乾いた後(数時間後)に水で軽く洗い流す作業を忘れないようにしましょう。
木酢液・竹酢液スプレー(忌避効果)
木酢液や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたものです。
これには殺虫効果はありませんが、独特の燻製のような香りを害虫が嫌うため、忌避剤として効果を発揮します。
製品に記載された希釈倍率(一般的には500〜1000倍)を守って水で薄め、葉の表裏や株全体に散布します。
土壌の微生物を活性化させる効果も期待できるため、株元の土に散布するのも良いでしょう。
効果を持続させるためには、1〜2週間に1回など、定期的な散布が重要です。濃度が濃すぎると葉が傷む「薬害」の原因になるため、必ず規定の倍率を守ってください。
天敵を利用して害虫を減らす
害虫を食べてくれる「天敵(益虫)」が住みやすい環境を作ることで、害虫の異常発生を抑える「生物的防除」という考え方があります。
殺虫剤を使わないことで、これらの益虫を畑に呼び込むことができます。
代表的な天敵とそのターゲット
- テントウムシ(成虫・幼虫):アブラムシを大量に捕食します。
- ヒラタアブ(幼虫):アブラムシを食べます。成虫は花から花へ飛び回ります。
- クサカゲロウ(幼虫):アブラムシやハダニなど、多くの害虫を捕食する「アブラムシのライオン」とも呼ばれます。
- カマキリ:大小さまざまな虫を捕食します。
これらの天敵を畑に呼び込むためには、彼らの餌となる花粉や蜜、そして隠れ家となる多様な植物をズッキーニの近くに植えることが有効です。
例えば、キク科(カモミール、マリーゴールド)やセリ科(ディル、フェンネル)の植物は、多くの益虫を引き寄せます。
多様な生物が共存する環境を作ることで、特定の害虫だけが大発生するのを防ぎ、バランスの取れた菜園を目指しましょう。
どうしても害虫被害が止まらない場合の農薬の使い方
手作業での駆除や自然由来のスプレーを試しても、どうしても害虫の勢いが止まらない…。
そんな時は、最終手段として農薬の使用を検討しましょう。
農薬と聞くと不安に感じる方もいるかもしれませんが、用法・用量を守って正しく使えば、大切なズッキーニを害虫被害から守る非常に有効な手段です。
ここでは、農薬を安全かつ効果的に使うための選び方と注意点を詳しく解説します。
ズッキーニに使える農薬の選び方
農薬を選ぶ際に最も重要なのは、その農薬が「ズッキーニ」に登録されているかどうかです。
農薬取締法により、作物ごとに使用できる農薬が定められています。
登録のない農薬を使用すると、作物に薬害が出たり、収穫したズッキーニに農薬成分が残留してしまったりする危険性があります。
必ず商品のラベルを確認し、「ズッキーニ」または「かぼちゃ」(ズッキーニはかぼちゃの仲間として扱われることが多い)の記載があるものを選びましょう。
どの農薬が登録されているか分からない場合は、農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認することができます。
その上で、発生している害虫の種類に合わせて有効な成分が含まれた農薬を選びます。
- アブラムシ・コナジラミ類:ベニカ水溶剤(有効成分:アセタミプリド)などの浸透移行性を持つ殺虫剤が効果的です。浸透移行性の薬剤は、植物が成分を吸収し、植物全体に行き渡るため、葉の裏などに隠れている害虫にも効果を発揮します。
- ウリハムシ:成虫は見つけ次第捕殺するのが基本ですが、被害が広がる場合はマラソン乳剤(有効成分:マラチオン)などが有効です。
- ハダニ類:コロマイト乳剤(有効成分:ミルベメクチン)やダニ太郎(有効成分:ビフェナゼート)など、殺ダニ剤として登録のあるものを選びます。ハダニは世代交代が早く、同じ薬剤を使い続けると抵抗性を持つことがあるため、異なる系統の薬剤を交互に使う「ローテーション散布」が効果的です。
- ヨトウムシなどのイモムシ類:BT剤(バチルス・チューリンゲンシス菌)を含むゼンターリ顆粒水和剤などがおすすめです。BT剤はチョウ目幼虫の消化器官にのみ作用する天然由来の成分で、環境への影響が少なく、有機JAS栽培でも使用が認められています。
農薬を選ぶ際は、これらの害虫名と作物名がラベルに明記されていることを必ず確認してください。
農薬を安全に散布する時期と注意点
農薬の効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、散布するタイミングと方法が非常に重要です。
以下の点を必ず守りましょう。
散布の時間帯と天候
農薬散布は、風のない穏やかな日の早朝か夕方に行うのが基本です。
日中の気温が高い時間帯は、薬液がすぐに蒸発して効果が薄れるだけでなく、薬害(植物がダメージを受けること)の原因にもなります。
また、雨が降ると薬液が流されてしまうため、散布後数時間は雨が降らない予報の日を選びましょう。
散布時の服装と準備
農薬を吸い込んだり皮膚に付着したりするのを防ぐため、必ず長袖・長ズボン、農薬用マスク、保護メガネ、ゴム手袋を着用してください。
肌の露出はできるだけ避け、風下から風上に向かって散布するなど、自分に薬液がかからないように注意します。
希釈倍率と散布方法
農薬は、ラベルに記載されている希釈倍率を必ず守ってください。
「濃い方がよく効くはず」と自己判断で濃くすると、薬害を引き起こす原因になります。
計量カップや計量スプーンを使い、正確に水で薄めましょう。
散布する際は、病害虫が発生している場所を中心に、葉の裏表や茎にまんべんなくかかるように丁寧に散布します。
特にアブラムシやハダニは葉の裏に潜んでいることが多いので、念入りに散布することが駆除成功の鍵です。
「展着剤」を混ぜて使用すると、薬液が葉に広がりやすくなり、効果を高めることができます。
収穫前日数の遵守
最も重要なのが「収穫前日数」の確認です。これは「農薬を散布してから収穫するまでに空けなければならない最低日数」のことで、農薬ごとに定められています。
例えば「収穫前日まで」とあれば散布の翌日から収穫できますが、「収穫7日前まで」とあれば、散布後7日間は収穫できません。
この日数を守ることで、収穫したズッキーニに残留する農薬が安全な基準値以下になります。
安全でおいしいズッキーニを食べるために、必ずラベルを確認し、収穫計画を立ててから散布しましょう。
そもそも害虫を発生させないための予防策
ズッキーニの害虫対策で最も重要なのは、被害が拡大してから駆除することではなく、そもそも害虫を寄せ付けない環境を整えることです。
日々の少しの工夫で、害虫の発生リスクを大幅に減らすことができます。
農薬に頼らず、安心して美味しいズッキーニを収穫するために、植え付け時からできる予防策を徹底しましょう。
ここでは「物理的な侵入防止」「他の植物との組み合わせ」「健康な株の育成」という3つの観点から、効果的な予防策を具体的に解説します。
防虫ネットで害虫の侵入を防ぐ
害虫予防の基本中の基本であり、最も効果的なのが防虫ネットを使った物理的な防御です。
特に、ズッキーニの栽培初期や、アブラムシ、ウリハムシ、コナジラミといった飛来してくる害虫に対して絶大な効果を発揮します。
防虫ネットを選ぶ際は「目合い」の大きさが重要です。
アブラムシやコナジラミ、アザミウマなどの非常に小さな害虫の侵入まで防ぎたい場合は、目合いが1mm以下のものを選びましょう。
特に、ウイルス病を媒介する害虫対策としては、0.6mmや0.8mmといった細かい目合いのネットが推奨されます。
ネットの色は白が一般的ですが、銀色のテープが入った「シルバーライン入り」のネットは、光の反射を嫌うアブラムシなどに対する忌避効果も期待できるため、より効果的です。
設置方法は、支柱をアーチ状に立ててトンネル掛けにするのが一般的です。
このとき、ネットがズッキーニの葉に直接触れないように注意してください。
葉にネットが触れていると、ウリハムシなどがネットの上から葉を食害したり、産卵したりする可能性があります。
また、ネットの裾に隙間ができないよう、土をしっかり被せるか、専用の固定ピンで地面に留めることが侵入を防ぐための重要なポイントです。
ただし、ズッキーニは虫が花粉を運ぶことで受粉する「虫媒花」です。
ネットをかけっぱなしにしていると受粉できず実がならないため、雌花が咲き始めたら、虫が活動する午前中に一時的にネットを外すか、筆などを使って人工授粉を行う必要があります。
コンパニオンプランツを一緒に植える
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで互いに良い影響を与え合う植物のことです。
特定の香りで害虫を遠ざけたり、天敵となる益虫を呼び寄せたりする効果が期待でき、ズッキーニの害虫対策に役立ちます。
化学薬品を使わない自然な方法として、家庭菜園にぜひ取り入れてみましょう。
ズッキーニと相性の良い代表的なコンパニオンプランツには、以下のようなものがあります。
- ネギ類(長ネギ、タマネギ、ニラなど)
ネギ類が持つ特有の強い香りは、ウリ科の植物を好むウリハムシを遠ざける効果があると言われています。また、根に共生する微生物が土壌中の病原菌を抑える働きも期待でき、一石二鳥です。ズッキーニの株間や畝の肩に植えると良いでしょう。 - マリーゴールド
マリーゴールドの根には、土の中のネコブセンチュウという害虫を殺す成分が含まれており、土壌環境を改善してくれます。また、その独特な香りにはコナジラミなどの害虫を寄せ付けにくくする効果も期待できます。 - ナスタチウム(キンレンカ)
ナスタチウムは、アブラムシが好んで集まる性質があるため「おとり植物(バンカープランツ)」として利用できます。ズッキーニの近くに植えることで、アブラムシをナスタチウムに引き寄せ、ズッキーニ本体への被害を減らすことができます。集まってきたアブラムシは、その部分ごと切り取って処分しましょう。
これらのコンパニオンプランツを植える際は、主役であるズッキーニの生育を妨げないよう、日当たりや風通しを考慮して配置することが大切です。
風通しを良くして健康な株を育てる
病害虫は、弱った植物や、葉が密集して湿気がこもるような環境を好みます。
つまり、ズッキーニの株自体を健康に育て、風通しの良い状態を保つことが、何よりの病害虫予防になります。
まず、植え付けの際には、株と株の間隔(株間)を80cm〜1m程度と十分に確保しましょう。
株間が狭いと、成長した葉が重なり合って風通しが悪くなり、病気や害虫の温床となってしまいます。
生育が進んで葉が茂ってきたら、定期的な「整枝・剪定」が欠かせません。
株元の古い葉や黄色くなった下葉、地面に接している葉は、病気の発生源になりやすいため、こまめに取り除きます。
また、株の中心に向かって伸びる葉や、他の葉と重なり合っている葉を付け根から切り取り、株全体に風と光が通るようにしましょう。
これにより、湿気を嫌うハダニの発生や、代表的な病気であるうどんこ病の予防につながります。
適切な肥料管理も重要です。
特に、肥料の三要素の一つである「窒素」が過剰になると、葉ばかりが茂る軟弱な株になり、アブラムシなどの害虫を呼び寄せやすくなります。肥料は規定量を守り、バランスの取れたものを与えるように心がけましょう。
さらに、株元を敷きわらや刈草、黒マルチなどで覆う「マルチング」も効果的です。
土の乾燥を防ぐだけでなく、雨による泥はねを防ぎ、土の中に潜む病原菌が葉に付着するのを防いでくれます。
まとめ
ズッキーニを害虫から守り、美味しい実を収穫するためには、何よりも「早期発見」と「適切な対処」が重要です。
葉に現れる白い斑点や穴、実の変形といった小さなサインを見逃さず、原因となっている害虫を正しく特定することから始めましょう。
本記事で紹介したように、ズッキーニにはアブラムシやウリハムシ、ハダニなど様々な害虫が発生します。
それぞれの害虫の特性に合わせ、手で取り除いたり、牛乳スプレーや木酢液を活用したりと、まずは農薬を使わない方法から試すのがおすすめです。
被害が拡大してしまった場合には、ズッキーニに適用できる農薬を正しく使用することも有効な手段です。
しかし、最も効果的で手間が少ない対策は、害虫を寄せ付けない「予防」にあります。
防虫ネットで物理的に侵入を防いだり、コンパニオンプランツを一緒に植えたり、風通しを良くして株を健康に育てたりすることで、害虫の発生リスクそのものを大幅に減らすことができます。
日々の観察と予防を心がけ、大切なズッキーニを害虫被害から守り抜きましょう。








