猿 駆除

畑や家屋への侵入など、深刻化する猿の被害にお困りではないでしょうか。

猿は鳥獣保護管理法で守られているため、個人による駆除は法律違反のリスクがあり危険です。

この記事では、自分でできる追い払い対策から、専門業者に依頼した際の費用相場、優良な業者の選び方、行政への申請手続きまで徹底解説。

安全かつ確実に猿被害を解決するための、プロの知識と具体的な方法が全て分かります。

目次

深刻化する猿の害獣被害と駆除の必要性

近年、野生の猿(主にニホンザル)による被害は、山間部だけでなく都市近郊の住宅地にまで広がり、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしています。

かつては共存の象徴とされた猿も、生息域の拡大や人馴れによって、今や危険な「害獣」として認識されるケースが増加しています。

この章では、具体的にどのような被害が発生しているのか、そしてなぜ猿の被害を放置してはいけないのか、その理由を詳しく解説します。

農業から生活環境まで 猿がもたらす被害事例

猿による被害は多岐にわたり、丹精込めて育てた農作物から、安全であるべきはずの住環境まで脅かしています。

ここでは、代表的な被害事例をご紹介します。

農業被害

最も深刻な被害の一つが農業への影響です。

猿は非常に賢く、集団で行動するため、一度畑や果樹園が狙われると壊滅的なダメージを受けることがあります。

  • 食害:野菜(トマト、きゅうり、トウモロコシなど)、果物(柿、みかん、桃、ぶどうなど)、米やイモ類まで、収穫間近の作物を好んで食べ尽くしてしまいます。少し食べただけで捨ててしまう「遊び食い」も多く、被害額以上に作物が無駄になります。
  • 農地の破壊:作物を食べるだけでなく、畑を掘り返したり、苗を引き抜いたりして農地そのものを荒らします。また、ビニールハウスを破って侵入するなど、農業設備への被害も少なくありません。

生活環境への被害

人里に現れる猿は、農作物だけでなく私たちの生活空間にも直接的な被害をもたらします。

  • 家屋への侵入・破損:屋根に登り、瓦をずらしたり剥がしたりすることがあります。これにより雨漏りの原因となることも。また、屋根裏や軒下に侵入し、糞尿による悪臭やシミ、断熱材の破壊といった被害も発生しています。
  • ゴミ集積所の散乱:ゴミ袋を破り、生ゴミを漁って周囲に散らかすため、地域の衛生環境が悪化します。
  • 人への威嚇・攻撃:人馴れした猿は、人間を恐れなくなります。特に食べ物を持っていると、それを奪おうとして威嚇したり、飛びかかってきたりすることがあります。小さな子供や高齢者が襲われ、噛みつかれたり引っ掻かれたりして怪我をする事件も全国で報告されています。
  • 精神的苦痛:「いつ猿が現れるかわからない」という恐怖や、「洗濯物や布団を外に干せない」といった日常生活の制約は、住民にとって大きな精神的ストレスとなります。

なぜ猿の被害は放置すると危険なのか

「そのうちいなくなるだろう」と猿の被害を軽視し、放置することは非常に危険です。

放置することで、被害はさらに深刻化・拡大していきます。

被害の常態化とエスカレート

一度でも「ここには簡単に手に入るエサがある」「人間は怖くない」と学習した猿は、味を占めて何度も同じ場所に現れるようになります。

最初は1匹だったものが、やがて群れ全体で出没するようになり、被害は加速度的に拡大します。

追い払おうとしても人馴れが進んでいるため効果が薄れ、猿の行動はより大胆になっていきます。

人身への直接的な危害

放置された猿は人間への警戒心を失い、威嚇行動が実際の攻撃に発展するリスクが高まります。

特に発情期や子育て中の猿は非常に攻撃的になりやすく、予期せぬタイミングで人に襲いかかることがあります。

噛みつきや引っ掻きによる外傷だけでなく、猿が媒介する感染症のリスクもゼロではありません。

特に抵抗力の弱い子供や高齢者がターゲットになりやすく、命に関わる重大な事故につながる可能性も否定できません。

群れの定着と繁殖

被害を放置することは、その地域が猿の群れにとって安全で快適なエサ場であることを認めることと同じです。

餌が豊富で安全な場所だと認識されると、猿はその地域に定着し、繁殖を始めます。

一度群れが定着してしまうと、個体数が増えて被害はさらに深刻化し、追い払いや駆除はより一層困難になります。

手遅れになる前、被害が小さいうちに適切な対策を講じることが極めて重要です。

猿の駆除は法律違反?鳥獣保護管理法について

「庭に猿が現れて作物を荒らしていく。今すぐ駆除したい」とお考えかもしれません。

しかし、猿を許可なく駆除(捕獲・殺傷)する行為は、法律で固く禁じられています

ご自身の身を守り、意図せず法律違反を犯してしまう事態を避けるためにも、まずは猿の駆除に関する法律について正しく理解することが重要です。

猿は鳥獣保護管理法で守られている害獣

日本に生息する野生のニホンザルは、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護管理法)」によって保護されている動物です。

この法律は、生物の多様性を維持し、自然環境を守ることを目的としており、原則として野生鳥獣をむやみに捕獲したり、傷つけたり、殺したりすることを禁止しています。

たとえ農作物や家屋に被害をもたらす「害獣」であっても、猿は法律上「保護すべき鳥獣」に分類されます。

そのため、カラスやドバトなど一部の例外を除き、個人が勝手に罠を仕掛けて捕獲したり、エアガンや棒などで攻撃して傷つけたりする行為は違法となります。

無許可で猿を捕獲・殺傷した場合、鳥獣保護管理法に基づき「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

被害に遭っているからといって、安易な駆除に踏み切るのは絶対にやめましょう。

より詳しい情報については、環境省のウェブサイトをご確認ください。鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)

猿を駆除するには行政の許可が必須

猿による被害が深刻で、追い払いや予防策だけではどうしても解決できない場合に限り、例外的に駆除が認められることがあります。

しかし、そのためにはお住まいの市区町村や都道府県など、行政から「有害鳥獣捕獲許可」を得る必要があります。

この許可を得るためには、まず自治体の担当部署(農林水産課や環境課など)に相談し、申請手続きを行わなければなりません。

申請時には、以下のような情報や書類が求められるのが一般的です。

  • 被害の状況を証明する写真や記録
  • 被害対策の実施状況
  • 捕獲を必要とする理由書
  • 捕獲を行う場所の地図
  • 捕獲方法や使用する猟具(罠など)の詳細
  • 捕獲隊の編成(狩猟免許保持者の有無など)

このように、許可の申請は非常に煩雑で専門的な知識を要します。

被害状況が深刻であると認められて初めて許可が下りるため、個人での申請はハードルが高いのが実情です。

個人による猿の駆除は危険で非現実的な理由

仮に法律の問題をクリアできたとしても、専門家ではない個人が猿の駆除を行うことには、大きな危険と困難が伴います。

法律面だけでなく、安全面からも個人での駆除は絶対に避けるべきです。

その主な理由は3つあります。

1. 猿の攻撃による人身被害のリスク

猿は知能が高いだけでなく、非常に力が強く、鋭い犬歯を持っています。

特に群れで行動している場合、仲間を守るために人間に対して攻撃的になることがあります。

追い詰められたり、恐怖を感じたりした猿が人間に飛びかかり、噛みつかれるなどして大怪我につながる事故も報告されています。

特に、お子様やご高齢の方がいるご家庭では、絶対に近づいてはいけません。

2. 捕獲の専門知識と技術の不足

猿は非常に警戒心が強く、学習能力も高いため、素人が仕掛けた罠にはまずかかりません。

むしろ、中途半端な対策は猿の警戒心を強めるだけで、その後の対策をより困難にしてしまう可能性があります。

効果的な捕獲には、猿の生態や行動パターンを熟知した上で、適切な場所と方法で罠を設置する高度な専門技術が不可欠です。

3. 捕獲後の処理の問題

万が一、個人で猿を捕獲できたとしても、その後の対応が極めて困難です。捕獲した猿の処分は、法律や条例に則って適切に行う必要があり、精神的にも物理的にも大きな負担となります。

こうした一連のプロセスを安全かつ適切に完遂するのは、専門家でなければ現実的ではありません。

これらの理由から、猿の駆除は必ずプロの専門業者に相談・依頼することが、安全かつ確実な唯一の解決策と言えるでしょう。

プロに頼む前に自分でできる猿の追い払いと被害対策

専門業者に猿の駆除を依頼する前に、ご自身で試せる対策も存在します。

ただし、これらの方法は猿を「追い払う」または「寄せ付けなくする」ための予防策であり、法律で規制されている「捕獲」や「駆除」とは異なります。

個人での対策には限界があり、危険を伴う場合もあるため、正しい知識を持って慎重に行うことが重要です。

ここでは、ご家庭や農地で実施可能な猿の追い払い方法と被害対策について具体的に解説します。

猿を寄せ付けないための環境整備

猿の被害対策で最も重要かつ基本的なことは、猿にとって魅力のない環境を作ることです。

猿が寄り付く理由は、主に「エサがあること」と「安全な隠れ家があること」の2つです。

これらの要因を徹底的に排除することで、被害を未然に防ぐ効果が期待できます。

害獣のエサとなるものを徹底的に管理する

猿は非常に賢く、一度エサ場だと認識した場所には執拗に現れるようになります。

意図しない餌付けにならないよう、エサとなる可能性のあるものを厳重に管理しましょう。

  • 農作物の管理:収穫予定のない野菜や果樹(カキ、クリ、ビワなど)は、放置せずに早めに伐採・処分しましょう。収穫クズも猿のエサになるため、畑に残さず適切に処理してください。
  • 生ゴミの管理:生ゴミは猿にとってご馳走です。蓋がしっかりと閉まるポリバケツやゴミ保管庫に入れ、収集日の朝に出すように徹底しましょう。カラス対策用のネットだけでは、器用な猿には簡単に破られてしまいます。
  • お供え物やペットフード:お墓へのお供え物は、お参りが終わったら必ず持ち帰るようにします。また、屋外で飼っている犬や猫のペットフードも、食べ終わったらすぐに片付け、置きっぱなしにしないでください。
  • 絶対に餌付けをしない:「かわいそうだから」といった安易な気持ちでの餌付けは、猿を人慣れさせ、被害を深刻化させる最大の原因です。地域全体で被害を拡大させないためにも、絶対に餌付けは行わないでください。

猿の隠れ家や侵入経路をなくす

猿は警戒心が強く、身を隠せる場所を好みます。

また、建物への侵入経路を断つことも重要です。見通しを良くし、猿が利用しにくい環境を作りましょう。

  • 藪や雑草の刈り払い:家の周りや畑の周辺にある藪や雑草は、猿の格好の隠れ場所となります。定期的に刈り払いを行い、見通しを良くしておくことで、猿が近づきにくくなります。
  • 庭木の剪定:屋根や2階のベランダに届くような庭木は、猿の侵入経路になります。枝が建物にかからないように剪定しましょう。
  • 侵入経路の遮断:雨どいや配管をよじ登って侵入することもあります。市販されている「忍び返し」などを設置するのも有効な対策です。また、使われていない空き家や倉庫は、戸締まりを徹底し、破損箇所があれば修繕して侵入を防ぎましょう。

猿の追い払いに効果的な対策グッズ

環境整備とあわせて、猿を積極的に追い払うためのグッズを活用するのも一つの手です。

ただし、猿は学習能力が高いため、同じ方法を繰り返していると慣れてしまう可能性があります。

複数の対策を組み合わせ、猿に「この場所は危険だ」と学習させることが重要です。

ロケット花火や爆竹による威嚇

ロケット花火や爆竹の大きな音と光は、猿を驚かせて追い払うのに効果的です。

猿を見かけたら、猿のいる方向の空や地面に向けて使用し、恐怖心を与えます。

ただし、猿に直接当てると怪我をさせ、鳥獣保護管理法に抵触する可能性があるため絶対にやめましょう。

また、火災の危険性や近隣への騒音トラブルにも繋がるため、使用する場所や時間帯には十分な配慮が必要です。

電気柵の設置で物理的に侵入を防ぐ

畑などの農地を猿の被害から守るためには、電気柵の設置が非常に効果的です。

猿は身体能力が高く、ジャンプしたり柵の下をくぐったりするため、正しく設置することが重要です。

  • 設置のポイント:猿対策用の電気柵は、地面から15cm程度の間隔で7段以上設置するのが一般的です。支柱の間隔を狭くし、ワイヤーがたるまないようにしっかりと張ることで、猿がこじ開けて侵入するのを防ぎます。
  • 維持管理:電気柵の効果を維持するためには、定期的な草刈りが不可欠です。ワイヤーに雑草が触れると漏電し、電圧が低下して効果がなくなってしまいます。また、バッテリーやソーラーパネルが正常に作動しているかどうかの点検も怠らないようにしましょう。

防獣ネットや金網での防御

家庭菜園や特定の果樹など、限定的な範囲を守りたい場合には、防獣ネットや金網で物理的に囲う方法も有効です。

猿は手先が器用で力も強いため、素材選びと設置方法が重要になります。

  • ネット・金網の選び方:猿の侵入を防ぐには、網目が4cm角以下の丈夫なネットや金網を選びましょう。安価なネットでは簡単に破られてしまう可能性があります。
  • 設置のポイント:ネットを設置する際は、地面や壁との間に隙間ができないように注意が必要です。裾を地面に埋めたり、U字ピンで固定したりして、猿が下から潜り込めないように工夫しましょう。また、たるみがあると足場になってしまうため、ポールを適切に立ててしっかりと張ることが大切です。

猿を追い払う際の注意点

ご自身で猿を追い払おうとする際には、思わぬ反撃を受ける危険性も伴います。

安全を最優先し、以下の点に十分注意してください。

  • 目を直視しない:猿と目が合うと、威嚇されたと認識して攻撃的になることがあります。猿の存在を確認しても、目を合わせないようにしましょう。
  • 背中を見せて逃げない:恐怖から背中を見せて走って逃げると、猿は相手を弱いと判断し、追いかけてくる習性があります。猿から離れる際は、目を合わせずにゆっくりと後ずさりしてください。
  • 食べ物を見せない・与えない:言うまでもありませんが、食べ物を見せたり与えたりする行為は厳禁です。猿を興奮させ、被害を助長します。
  • 過度に刺激しない:石を投げたり、棒で追い回したりといった過度な威嚇は、猿を興奮させて逆上させる原因となり非常に危険です。特に子連れの猿は、子どもを守るために非常に攻撃的になるため、絶対に近づかないでください。
  • 単独での行動は避ける:可能な限り、複数人で対応するようにしましょう。一人で猿の群れに遭遇した場合は、無理に追い払おうとせず、静かにその場を離れることを優先してください。

これらの対策を行っても被害が改善しない場合や、猿が屋根裏に侵入するなど被害が深刻化している場合は、身の安全を確保するためにも、無理をせず速やかに害獣駆除の専門業者や自治体に相談することをおすすめします。

害獣駆除の専門業者に猿の駆除を依頼するメリット

個人での猿対策には限界があり、法律や安全性の観点からも多くのリスクが伴います。

被害が深刻化している場合や、ご自身での対策が難しいと感じる場合は、害獣駆除の専門業者に依頼するのが最も賢明な選択です。

ここでは、プロに依頼することで得られる3つの大きなメリットを詳しく解説します。

安全かつ確実に猿の被害を解決できる

専門業者に依頼する最大のメリットは、その「安全性」と「確実性」にあります。

猿は見た目に反して非常に力が強く、気性も荒い動物です。

特に群れで行動している猿は、人を威嚇したり、襲いかかってきたりすることがあり、個人で対処しようとすると噛みつかれたり引っかかれたりして、深刻な怪我を負う危険性があります。

また、野生動物はどのような病原菌を持っているか分からず、感染症のリスクも無視できません。

その点、プロの駆除業者は猿の生態や習性を熟知した専門家です。

豊富な経験と知識に基づき、猿を刺激せず安全に作業を進めるノウハウを持っています。

専用の防護服や捕獲機材といった装備も万全なため、依頼者自身はもちろん、近隣住民の安全にも配慮した上で、的確な駆除作業を行うことができます。

一時的な追い払いではなく、被害の根本原因となっている群れに対してアプローチするため、個人で行う対策よりもはるかに確実性が高く、被害の連鎖を断ち切ることが可能です。

複雑な行政への申請手続きを代行

前の章でも触れた通り、猿は「鳥獣保護管理法」によって保護されている動物です。

そのため、たとえ害獣として被害をもたらしている場合でも、許可なく捕獲や駆除を行うことは法律で固く禁じられています。

正式に駆除を行うには、お住まいの市町村などの行政機関に対して、「有害鳥獣捕獲」の許可を申請し、認められる必要があります。

この申請手続きには、被害状況を証明する写真や報告書、詳細な捕獲計画書の提出など、専門的な知識が求められる複雑なプロセスが伴います。

一般の方がこれらの書類を不備なく準備し、手続きを進めるのは非常に手間と時間がかかります。

多くの害獣駆除業者は、こうした煩雑な行政への申請手続きを代行するサービスを提供しています。

行政とのやり取りに慣れているプロが代行することで、手続きがスムーズに進み、迅速に駆除作業を開始できるのです。

依頼者は面倒な手続きから解放され、安心して任せることができます。

再発防止策まで徹底サポート

猿の駆除は、その場にいる個体を追い払ったり捕獲したりするだけで終わりではありません。

猿は非常に執着心が強く、一度エサ場や安全なすみかと認識した場所には、何度も繰り返し現れる習性があります。

そのため、駆除作業後の「再発防止策」が極めて重要になります。

専門業者は、駆除作業と並行して、なぜ猿がその場所に寄り付くのか、根本的な原因を徹底的に調査します。

現地調査の結果をもとに、猿の侵入経路となりうる建物の隙間や屋根裏、壁の穴などを特定し、金網や防獣ネットなどを用いて物理的に封鎖します。

また、敷地内にあるエサとなりうる果樹の管理方法や、ゴミの出し方といった周辺環境の改善についても、プロの視点から具体的なアドバイスを提供してくれます。

さらに、優良な業者であれば、作業完了後に一定期間の保証やアフターフォローを設けている場合がほとんどです。

万が一、保証期間内に猿が再侵入するようなことがあっても、無償で対応してもらえるため、長期的な安心感を得ることができます。

猿の駆除にかかる費用相場を解説

猿の駆除を専門業者に依頼する際、最も気になるのが費用ではないでしょうか。

猿の駆除費用は、被害の状況や作業内容、建物の構造など様々な要因によって変動するため、一概に「いくら」とは言えません。

しかし、おおよその費用相場を知っておくことで、業者から提示された見積もりが適正かどうかを判断する基準になります。

この章では、猿の駆除にかかる費用の内訳や状況別の相場、そして費用を少しでも安く抑えるためのコツを詳しく解説します。

害獣駆除の料金が決まる仕組みと内訳

害獣駆除業者の料金は、主に以下の項目を組み合わせて算出されます。

見積もりを受け取った際には、どの作業にどれくらいの費用がかかっているのか、内訳をしっかり確認することが重要です。

基本的な料金の内訳は次の通りです。

  • 基本料金(出張費・調査費):作業員が現地へ向かうための出張費や、被害状況を詳しく調査するための費用です。業者によっては無料の場合もありますが、3,000円~15,000円程度が相場です。
  • 作業費(追い払い・捕獲・駆除):猿を追い払ったり、罠を設置して捕獲したりする作業そのものにかかる人件費です。作業の難易度や日数、作業員の人数によって変動します。
  • 資材費:忌避剤、捕獲用の罠(箱罠など)、追い払いに使う道具(ロケット花火など)、侵入経路を塞ぐための金網やパンチングメタル、シーリング材などの費用です。
  • 処分費:捕獲した猿を法律に則って適切に処分するための費用です。
  • オプション料金:屋根裏や天井裏に溜まった糞尿の清掃・消毒・消臭作業、高所での作業が必要な場合の足場設置費用などが含まれます。被害が深刻なほど、これらの付帯作業が必要になり、総額が高くなる傾向があります。

これらの項目がすべて含まれた総額での見積もりを提示する業者もいれば、項目ごとに細かく記載する業者もいます。

後から「追加料金」として請求されるトラブルを避けるためにも、契約前に見積もりの内訳を詳細に確認し、不明な点は必ず質問するようにしましょう。

被害状況別の猿駆除費用

猿の駆除費用は、具体的にどのような作業を依頼するかによって大きく異なります。

ここでは、代表的な被害状況別の費用相場をご紹介します。

追い払い作業のみの費用相場

庭や畑に時々現れる猿を、一時的に追い払うことを目的とした作業です。

専門家が猿の嫌がる音や臭い、光などを使って敷地から追い出します。

ロケット花火や爆竹、強力な忌避剤の散布などが主な作業内容です。

費用相場は30,000円~100,000円程度ですが、これはあくまで一時的な対策です。

根本的な解決にはならず、猿が再び現れる可能性が高い点に注意が必要です。

捕獲・駆除作業の費用相場

敷地内に頻繁に出没したり、住み着こうとしたりする猿を、行政の許可を得た上で捕獲・駆除する作業です。

鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可申請の代行手続きから、箱罠などの設置、定期的な見回り、捕獲後の処分までを含みます。

費用相場は100,000円~300,000円以上となることが一般的です。

捕獲する猿の頭数や、罠の設置期間、捕獲の難易度によって費用は大きく変動します。

清掃や消毒・侵入経路封鎖を含む場合の費用

家屋の屋根裏や倉庫などに猿が侵入し、糞尿被害や建物の破損が発生している場合の作業です。

追い払いや捕獲作業に加えて、再発防止のための侵入経路の封鎖、糞尿の清掃、病原菌対策のための消毒・消臭作業までを一貫して行います。

これは最も包括的な駆除プランであり、費用相場は200,000円~500,000円以上と高額になる傾向があります。

被害範囲の広さ、建物の構造の複雑さ、高所作業の有無などによって料金は大きく変わります。

しかし、被害を根本から解決し、安全で衛生的な環境を取り戻すためには不可欠な作業です。

猿の駆除費用を安く抑えるコツ

専門業者への依頼は決して安くありませんが、いくつかのポイントを押さえることで費用を抑えられる可能性があります。

  • 複数の業者から相見積もりを取る:これは最も重要です。1社だけの見積もりで決めず、必ず2~3社から見積もりを取りましょう。料金だけでなく、作業内容、保証の有無、担当者の対応などを総合的に比較検討することで、適正価格で信頼できる業者を見つけやすくなります。
  • 被害が拡大する前に相談する:「最近、庭で猿を見かけるようになった」という初期段階で相談すれば、追い払いや簡単な侵入対策だけで済む可能性があります。被害が深刻化し、糞尿の清掃や大規模な修繕が必要になると、費用は一気に跳ね上がります。早期発見・早期相談が、結果的に費用を抑えることに繋がります。
  • 自治体の補助金制度を確認する:お住まいの自治体によっては、有害鳥獣の駆除に対して補助金や助成金制度を設けている場合があります。例えば、捕獲用の罠の購入費用の一部を補助したり、業者への駆除依頼費用を一部負担したりする制度です。まずは、お住まいの市役所や町村役場の農林担当課や環境保全課などの窓口、または公式ウェブサイトで確認してみましょう。
  • 近隣住民と協力して依頼する:もし近隣の家でも同様の猿被害が発生している場合、共同で業者に依頼することで費用を分担し、一軒あたりの負担を軽減できる可能性があります。地域全体で対策を講じることで、より広範囲での追い払い効果や再発防止効果も期待できます。

失敗しない優良な猿駆除業者の選び方

猿の駆除を業者に依頼する際、最も重要なのが「業者選び」です。

残念ながら、害獣駆除業者の中には高額な費用を請求したり、ずさんな作業で被害が再発したりする悪質な業者も存在します。

大切な家や農地を守るため、そして無用なトラブルを避けるために、信頼できる優良業者を見極めるための4つのポイントを詳しく解説します。

行政の許可や狩猟免許を保有しているか

優良業者を見分ける上で、まず確認すべき最も重要な項目が、法的な許可や資格の有無です。

猿は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」によって保護されているため、誰でも自由に捕獲・駆除できるわけではありません。

専門業者であっても、行政からの「有害鳥獣捕獲許可」がなければ、猿を捕獲・駆除することは違法行為となります。

また、実際に作業を行うスタッフが「わな猟免許」などの狩猟免許を所持していることも必須です。

さらに、法人として事業を行う場合は、環境省が定める「鳥獣捕獲等事業」の認定を受けているかどうかも、信頼性を測る大きな指標となります。

これらの許可や資格については、通常、優良業者のウェブサイトに明記されています。

もし記載がない場合は、問い合わせの際に必ず確認し、明確な回答が得られない業者は避けるべきです。

安心して依頼するためにも、許可証の提示を求めてみるのも一つの方法です。詳しくは環境省のウェブサイトもご参照ください。

猿の駆除実績と口コミを確認する

次に確認したいのが、猿の駆除に特化した実績が豊富にあるかどうかです。

害獣駆除と一括りにいっても、ネズミやハクビシン、イタチなど対象動物によって生態や習性は大きく異なります。

特に猿は非常に知能が高く、群れで行動するため、駆除には高度な専門知識と経験が求められます。

業者のウェブサイトで「施工事例」や「お客様の声」を確認し、どのような被害状況で、具体的にどのような対策を行ったのかをチェックしましょう。

写真付きで詳細な事例が紹介されていれば、より信頼性が高いと判断できます。

また、ご自身がお住まいの地域での駆除実績があるかどうかもポイントです。地域の猿の行動パターンを熟知している業者は、より効果的な対策を期待できます。

あわせて、Googleマップのレビューや専門の口コミサイトなど、第三者による客観的な評価も参考にしましょう。

良い評価だけでなく、「追加料金を請求された」「作業後に連絡が取れなくなった」といったネガティブな口コミの内容にも目を通し、総合的に判断することが大切です。

見積もりの内容が明確で分かりやすいか

料金に関するトラブルを防ぐため、見積もりの内容は隅々までしっかり確認しましょう。

優良な業者であれば、現地調査を行った上で、詳細な見積書を無料で提示してくれます。

チェックすべきポイントは、料金の内訳が明確であることです。

「作業一式 〇〇円」といった曖昧な表記ではなく、「追い払い作業費」「捕獲器設置・回収費」「侵入経路封鎖工事費(材料費・施工費)」「糞尿清掃・消毒費」「出張費」など、項目ごとに料金が細かく記載されているかを確認してください。

それぞれの作業で「何をするのか」が具体的に書かれている見積書は信頼できます。

また、「見積もり以外の追加料金は発生しないか」を事前に必ず確認しましょう。

可能であれば、その旨を書面に一筆添えてもらうとより安心です。

少しでも疑問に思う点があれば、契約前に担当者へ質問し、納得できる説明を受けることが重要です。

最低でも2〜3社から相見積もりを取り、料金体系や作業内容、担当者の対応などを比較検討することをおすすめします。

保証やアフターフォローは充実しているか

猿の駆除は、一度作業をすれば完全に終わりとは限りません。猿は執着心が強く、学習能力も高いため、一度追い払っても別のルートから再び侵入を試みることがあります。

そのため、駆除後の保証やアフターフォローの有無は、業者選びにおいて非常に重要な要素となります。

契約前に、再発防止策に関する保証の有無と、その内容を必ず確認してください。具体的には、以下のような点を確認します。

  • 保証期間はどのくらいか(例:1年、3年、5年など)
  • 保証が適用されるのはどのようなケースか(施工箇所からの再侵入のみか、など)
  • 保証書は書面で発行されるか

保証期間が長い業者は、それだけ自社の施工技術に自信がある証拠ともいえます。

また、万が一被害が再発した際に迅速に対応してくれるか、定期的な点検を実施してくれるかなど、アフターフォロー体制が整っている業者を選ぶことで、長期的な安心を得ることができます。

害獣駆除業者に猿の駆除を依頼する流れ

専門の害獣駆除業者に猿の駆除を依頼するのが初めてで、どのような手順で進むのか不安に感じる方も多いでしょう。

ここでは、問い合わせから作業完了後のアフターフォローまで、一般的な依頼の流れを4つのステップに分けて具体的に解説します。

流れを事前に把握しておくことで、安心してスムーズに依頼を進めることができます。

ステップ1 無料相談と問い合わせ

猿の被害に気づいたら、まずは専門の駆除業者に相談することから始まります。

多くの業者は、電話や公式ウェブサイトの問い合わせフォームで無料相談を受け付けています。

この段階で、できるだけ詳しく状況を伝えることが、その後のスムーズな対応につながります。

問い合わせの際に伝えるべき主な情報は以下の通りです。

  • 被害の具体的な内容(例:畑の作物が食べられた、屋根裏から物音がする、庭に糞をされた等)
  • 猿の出没頻度や目撃した頭数
  • 被害が発生している場所(例:一戸建ての庭、農地、集合住宅のベランダ等)
  • 建物の構造(木造、鉄骨など)や築年数
  • ご自身の連絡先と、現地調査を希望する日時

この初期相談の段階で、業者からおおよその対応方針や概算の費用について説明を受けられる場合があります。

複数の業者に相談し、対応の丁寧さや専門知識の豊富さを比較検討するのも良いでしょう。

ステップ2 現地調査と見積もり

無料相談の後、業者の専門スタッフが実際に被害現場を訪れて詳細な調査を行います。

現地調査は、正確な見積もりと最適な駆除計画を立てるために不可欠なステップです。

現地調査では、主に以下の点を確認します。

  • 被害の範囲と深刻度(食害、糞尿、建物の破損状況など)
  • 猿の侵入経路や巣、ねぐらの特定
  • 被害現場の周辺環境(餌場になりそうな場所、隠れ家など)
  • 駆除作業を行う上での注意点(近隣住宅との距離、作業スペースの確保など)

調査結果に基づき、業者は詳細な見積書を作成します。

見積書を受け取ったら、合計金額だけでなく、以下の項目が明記されているかを必ず確認しましょう。

  • 作業内容の内訳(追い払い、捕獲、清掃・消毒、侵入経路の封鎖など)
  • それぞれの作業の単価と数量
  • 出張費や薬剤費などの諸経費
  • 作業後の保証やアフターフォローの内容と期間

見積もりの内容に不明な点があれば、遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めることが重要です。

この時点で複数の業者から見積もりを取り、内容と料金を比較することで、より信頼できる業者を選ぶことができます。

ステップ3 契約と駆除作業の開始

見積もりの内容に納得したら、正式に契約を交わします。

契約書には、作業内容、料金、支払い方法、保証期間などが明記されているため、隅々まで目を通し、内容を再度確認してください。

トラブルを避けるためにも、口約束だけでなく、必ず書面で契約を交わしましょう。

契約が完了すると、事前に調整した日時に駆除作業が開始されます。

猿の駆除は、鳥獣保護管理法に基づき、原則として行政の許可が必要です。

信頼できる業者であれば、こうした複雑な捕獲許可の申請手続きも代行してくれます。

作業当日は、業者の指示に従い、安全確保にご協力ください。

追い払いや捕獲器の設置、侵入経路の封鎖など、被害状況に応じた専門的な作業が実施されます。

作業内容によっては騒音が発生する場合もあるため、必要に応じて業者が近隣への挨拶回りを行うこともあります。

ステップ4 作業完了報告とアフターフォロー

すべての駆除作業が完了すると、業者から作業内容についての詳細な報告があります。

多くの業者では、作業前後の写真を提示しながら、どのような作業を行い、どう改善されたのかを具体的に説明してくれます。

報告を受ける際には、以下の点をご自身の目で確認しましょう。

  • 依頼した作業がすべて実施されているか
  • 侵入経路が確実に封鎖されているか
  • 清掃や消毒が適切に行われているか

すべての確認が終わり、問題がなければ料金を支払います。

最後に、保証書や作業報告書を受け取り、大切に保管してください。

多くの優良業者は、作業後のアフターフォローや再発保証制度を設けています。

保証期間内に万が一猿の被害が再発した場合、どのような対応(無償での再調査や追加作業など)をしてもらえるのかを改めて確認しておくと、後々の安心につながります。

まとめ

猿による農作物や生活環境への被害は深刻で、放置は危険です。

しかし、猿は鳥獣保護管理法で保護されており、個人による許可のない駆除は法律違反となるうえ、襲われるリスクも伴います。

安全かつ根本的に被害を解決するためには、行政から許可を得た専門の駆除業者への依頼が最善の選択です。

本記事で解説した費用相場や優良業者の選び方を参考に、まずは信頼できる業者へ無料相談から始めてみましょう。


駆除ザウルス