カワウ 駆除

カワウによる漁業被害やフン害にお悩みですか?カワウの駆除は鳥獣保護管理法で規制されており、個人による無許可での捕獲は法律違反となります。

この記事では、駆除に必要な許可申請の具体的な方法から、ご自身でできる追い払い対策、専門業者に依頼する場合の費用相場や選び方まで、プロの視点で徹底解説。

安全かつ効果的にカワウ被害を解決するための全ての情報が分かります。

目次

まず知っておきたいカワウの生態と被害

カワウの駆除や対策を検討する上で、まず相手の正体を知ることが不可欠です。

カワウがどのような鳥で、私たちの生活や環境にどのような影響を与えているのかを正確に理解することが、効果的な対策への第一歩となります。

この章では、カワウの基本的な生態と、それによって引き起こされる深刻な被害について詳しく解説します。

カワウはどんな鳥?その生態と特徴

カワウ(河鵜)は、カツオドリ目ウ科に分類される大型の水鳥です。

かつては個体数が激減し絶滅が危惧された時期もありましたが、近年の保護活動や環境の変化により、今では全国の河川、湖沼、ダム湖、内湾などでその姿を頻繁に見かけるようになりました。

カワウの主な特徴は以下の通りです。

  • 外見全長約80cm、翼を広げると130cmほどになる黒い鳥です。全身が光沢のある黒色で、繁殖期には頭部や腰に白い飾り羽(婚姻色)が現れます。くちばしは長く、先端が鉤(かぎ)状に曲がっているのが特徴です。よく似たウミウとは、くちばしの付け根にある黄色い裸出部(皮膚が露出した部分)の形で見分けることができます。
  • 食性極めて魚食性が強く、アユ、オイカワ、ウグイ、ワカサギなど、様々な魚類を捕食します。成鳥は1日に500g以上、時には1kg近い魚を食べるとも言われています。
  • 潜水能力非常に巧みなハンターで、水中を自在に泳ぎ回り、巧みに魚を捕らえます。水中に1分以上潜ることができる高い潜水能力を持っています。
  • 繁殖とコロニー繁殖力が非常に高く、年に1回、3〜4個の卵を産みます。水辺の樹林などに集団で巣を作り、繁殖やねぐらとして利用します。この集団は「コロニー」と呼ばれ、数百羽から数千羽の大規模なものになることもあります。

カワウが引き起こす深刻な被害とは

カワウの個体数が全国的に増加するにつれて、その活動がもたらす被害も深刻化し、各地で大きな問題となっています。

被害は主に「漁業への被害」と「フン害」の2つに大別されます。

漁業への被害

カワウによる最も直接的で経済的な被害が、漁業への影響です。

特に内水面漁業への打撃は深刻です。

  • 食害アユやアマゴ、ワカサギといった漁業対象魚や放流した稚魚が大量に捕食されてしまいます。養殖場のいけすに侵入し、養殖魚を食べてしまう被害も全国で報告されています。カワウの群れが一つのかわに入るだけで、その区域の漁獲量が激減するケースも少なくありません。
  • 食い傷による品質低下捕食されずに逃げた魚も、カワウの鋭いくちばしによって体に傷を負わされます。傷ついた魚は病気にかかりやすくなるほか、商品価値が著しく低下するため、漁業関係者にとって大きな損失となります。

フン害による樹木の枯死や水質汚染

カワウが形成する「コロニー」は、周辺環境に甚大な被害をもたらします。

主な被害はフンによるものです。

  • 樹木の枯死コロニーが作られた樹木やその周辺は、大量のフンで真っ白になります。カワウのフンは強い酸性を含むため、葉を枯らし、土壌の性質を変化させ、最終的には木そのものを枯死させてしまいます。この現象は「ウのなる木」とも呼ばれ、貴重な森林や景勝地の景観を損なう原因となっています。
  • 水質汚染と悪臭コロニーがダム湖や河川の近くにある場合、フンが水中に流れ込み、水質を悪化させます。フンに含まれるリンや窒素が富栄養化を引き起こし、アオコの発生や悪臭の原因となることがあります。
  • 生活環境への影響コロニー周辺では、フンによる悪臭や、多数のカワウの鳴き声による騒音、景観の悪化などが、地域住民の生活環境を脅かす問題となっています。

これらの被害は、カワウが特定の場所に集中して生息する習性を持つために発生します。

そのため、駆除や対策を考える際には、個々のカワウを追い払うだけでなく、コロニーそのものへの対策が重要となります。

カワウの駆除は法律で規制されている?鳥獣保護管理法を解説

カワウによる被害に悩まされていると、すぐにでも駆除したいと考えるかもしれません。

しかし、カワウを含む多くの野生鳥獣は法律によって保護されており、個人が勝手に駆除や捕獲を行うことは固く禁じられています。

この章では、カワウの駆除に関わる重要な法律「鳥獣保護管理法」について、その概要と注意点を詳しく解説します。

無許可での駆除は法律違反

日本国内に生息するカワウは、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通称:鳥獣保護管理法)によって保護されている野生鳥獣です。

この法律は、生物の多様性を確保し、生活環境を保全することを目的としており、原則として野生鳥獣の捕獲や殺傷を禁止しています。

したがって、都道府県知事などの許可を得ずにカワウを捕獲したり、傷つけたり、殺したりする行為はすべて法律違反となります。

これには、成鳥だけでなく、卵やヒナを採取したり、巣を撤去したりする行為も含まれます。

もし無許可でカワウの捕獲や殺傷を行った場合、鳥獣保護管理法に基づき「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い罰則が科される可能性があります。

被害に困っているからといって、安易な自己判断で駆除を行うことは絶対に避けてください。

カワウの駆除や捕獲には許可申請が必須

鳥獣保護管理法は野生鳥獣の保護を目的としていますが、一方で、農林水産業への被害や生活環境への被害が深刻な場合には、例外的に捕獲が認められています。

これが「有害鳥獣捕獲」の許可制度です。

カワウによる漁業被害や、フン害による樹木の枯死、水質汚染などが深刻で、他の対策では被害を防ぐことが困難な場合に限り、所定の手続きを経て許可を得ることで、カワウの捕獲(駆除)が可能になります。

つまり、合法的にカワウを駆除するためには、必ず行政からの「捕獲許可」が必要不可欠なのです。

この許可は、誰でも簡単に得られるわけではありません。

被害の状況や捕獲の必要性、捕獲方法の安全性などを厳しく審査された上で交付されます。

次の章では、この捕獲許可を得るための具体的な申請方法や流れについて詳しく解説していきます。

カワウ駆除の許可申請その具体的な方法と流れ

カワウによる被害にお困りの方が駆除を検討する際、最も重要なのが法律に基づいた手続きです。

前章で解説した通り、カワウは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」によって保護されており、無許可での捕獲や駆除は固く禁じられています。

ここでは、正規の許可を得てカワウの駆除を行うための具体的な申請方法と一連の流れを、ステップバイステップで詳しく解説します。

許可申請の窓口はどこ?

カワウの捕獲許可を申請する窓口は、原則として被害が発生している場所を管轄する市町村の役所・役場となります。

担当する課の名称は自治体によって異なりますが、一般的には「農林水産課」「林務課」「環境政策課」「鳥獣対策担当課」などが窓口となっています。

まずは、ご自身がお住まいの、あるいは被害が発生している地域の市町村役場のウェブサイトを確認するか、代表電話に連絡して「カワウの有害鳥獣捕獲の許可申請をしたい」と伝え、担当部署を教えてもらうのが最も確実な方法です。

被害が複数の市町村にまたがるような広範囲なものである場合は、都道府県が申請窓口となることもありますので、その場合もまずは最寄りの市町村に相談してみましょう。

国(環境省)は許可制度の概要を示しており、各自治体はこれに基づいて具体的な運用を行っています。

詳細は環境省のウェブサイトでも確認できます。

参考:鳥獣の捕獲許可制度について|環境省

申請に必要な書類と手続きの手順

カワウの捕獲許可申請は、一般的に以下の手順で進められます。

自治体によって細かな違いがあるため、必ず事前に担当窓口へ確認してください。

Step1:担当窓口への事前相談

書類を準備する前に、まずは担当窓口へ電話や訪問で相談することをおすすめします。

被害の状況(いつから、どのような被害が出ているかなど)を具体的に伝えることで、必要な手続きや書類について的確なアドバイスをもらえます。

この段階で、申請書の様式や記入例を入手しておくとスムーズです。

Step2:必要書類の準備と作成

事前相談で確認した内容に基づき、以下の書類を準備・作成します。

様式は各自治体のウェブサイトからダウンロードできる場合がほとんどです。

  • 鳥獣捕獲等許可申請書:申請者の氏名・住所、捕獲の目的、期間、区域、鳥獣の種類、捕獲方法などを記入する基本的な書類です。
  • 被害状況がわかる資料:被害場所を明記した地図、フン害で枯れた樹木や漁業被害の状況がわかる写真、被害額の概算など、被害の深刻さを客観的に示す資料を添付します。説得力のある資料は、審査をスムーズに進める上で非常に重要です。
  • 実施計画書:捕獲をどのように行うかの具体的な計画書です。使用する猟具(銃、わな等)、捕獲体制(何人で実施するか)、捕獲個体の処理方法などを詳細に記載します。
  • 捕獲従事者名簿:実際に捕獲作業を行う人の氏名、住所、連絡先を記載した名簿です。銃器を使用する場合は狩猟免許の写し、わな猟の場合もわな猟免許の写しが必要となります。
  • その他:他人の土地で捕獲を行う場合は、その土地の所有者や管理者からの同意書が必要になることがあります。

Step3:申請書の提出と審査

すべての書類が揃ったら、担当窓口に提出します。提出された書類に基づき、自治体は被害の状況、捕獲の必要性、計画の妥当性などを審査します。

審査の過程で、現地確認や追加資料の提出を求められることもあります。

Step4:許可証・従事者証の交付

審査の結果、捕獲の必要性が認められると「鳥獣捕獲等許可証」が交付されます。

同時に、捕獲作業を行う各員には「従事者証」が交付されます。

捕獲活動を行う際は、これらの許可証と従事者証を必ず携帯しなければなりません。

Step5:捕獲後の報告

許可期間が終了したら、定められた期日までに捕獲結果を報告する義務があります。

「鳥獣捕獲等報告書」などの様式に、捕獲したカワウの羽数、日時、場所などを記録して提出します。

この報告は、今後の鳥獣保護管理計画を立てるための重要なデータとなるため、正確に報告しましょう。

捕獲許可が下りるまでの期間

捕獲許可が下りるまでの期間は、申請内容や自治体の審査体制によって異なりますが、一般的には申請書を提出してから2週間から1ヶ月程度が目安とされています。

ただし、書類に不備があった場合や、審査が混み合っている時期はさらに時間がかかる可能性があります。

カワウの被害は季節によって深刻化することがあります。

特に繁殖期や集団で飛来する時期に合わせて対策を打ちたい場合は、被害が拡大する前に、できるだけ早くから準備を始めることが重要です。

余裕を持ったスケジュールで、まずは担当窓口への相談から始めてください。

自分でカワウの駆除は難しい?専門業者に依頼する選択肢

カワウの駆除は、鳥獣保護管理法による規制や、作業に伴う危険性、専門的な知識が必要なことから、個人で行うには非常にハードルが高いのが実情です。

被害の拡大を防ぎ、根本的な解決を目指すためには、カワウ駆除の専門業者に依頼することが最も確実で安全な選択肢と言えるでしょう。

この章では、プロの業者に依頼するメリットや費用相場、信頼できる業者の選び方について詳しく解説します。

カワウ駆除をプロの業者に依頼するメリット

専門業者にカワウ駆除を依頼することには、個人で対策するのとは比較にならないほどの大きなメリットがあります。

主なメリットを4つのポイントに分けて見ていきましょう。

メリット1:法律を遵守した適正な手続きと駆除

カワウ駆除における最大の障壁は、鳥獣保護管理法です。

専門業者はこの法律を熟知しており、駆除や捕獲に必要な行政への許可申請手続きを代行してくれます。

複雑な書類作成や自治体とのやり取りをすべて任せられるため、依頼者は法を犯すリスクを心配することなく、安心して駆除を進めることができます。

メリット2:専門知識と経験に基づく確実な効果

プロの業者は、カワウの生態や習性を深く理解しています。

被害状況や周辺環境を的確に分析し、追い払い、捕獲、侵入防止策など、最も効果的で効率的な方法を組み合わせて提案・実行します。

長年の経験で培われたノウハウにより、個人では難しい根本的な解決が期待できます。

メリット3:安全性と時間・手間の大幅な削減

カワウの駆除には、銃器やわなの使用、高所での防鳥ネット設置など、危険を伴う作業が多く含まれます。

専門業者は安全管理を徹底した上で作業を行うため、事故のリスクがありません。

また、現地調査から駆除作業、死骸の処理、再発防止策の施工までを一貫して行ってくれるため、依頼者自身の貴重な時間や労力を費やす必要がなくなります。

メリット4:徹底した再発防止策と安心のアフターフォロー

優れた専門業者は、カワウを駆除して終わりにはしません。

カワウが再び寄り付かないように、物理的な侵入防止策(防鳥ネットやテグスの設置など)を徹底して行います。

さらに、施工後の保証期間を設け、万が一再発した場合に対応してくれるアフターフォローが充実している業者も多く、長期的な安心感を得ることができます。

カワウ駆除にかかる費用の相場

カワウ駆除を業者に依頼する際の費用は、被害の状況や作業内容によって大きく変動します。

あくまで目安ですが、費用の相場観を把握しておきましょう。

費用の内訳は、主に「現地調査費」「駆除作業費」「資材費」「出張費・諸経費」などで構成されます。

特に費用を左右する要因は以下の通りです。

  • 被害の規模:カワウの数、営巣地の広さ、フン害の範囲など
  • 作業内容:追い払い対策のみか、捕獲許可を得て駆除まで行うか
  • 建物の構造や立地:作業場所の高さ、足場の必要性の有無、作業のしやすさ
  • 再発防止策の内容:防鳥ネットを設置する面積や使用する資材の種類

具体的な費用相場としては、音や光、忌避剤などを使った追い払い対策であれば5万円~20万円程度が目安です。

防鳥ネットの設置など物理的な対策を行う場合は、規模にもよりますが10万円~50万円以上になることもあります。

捕獲許可を取得して銃器やわなによる駆除を行う場合は、手続きの複雑さや作業の危険度から、さらに高額になる傾向があります。

正確な費用を知るためには、必ず複数の業者から見積もりを取り、作業内容と料金を比較検討することが重要です。

その際、見積もりが無料かどうかも事前に確認しましょう。

信頼できる駆除業者の選び方とポイント

大切な資産や環境を守るためにも、業者選びは慎重に行う必要があります。

信頼できるカワウ駆除業者を選ぶための5つのチェックポイントをご紹介します。

ポイント1:行政の許可や資格を保有しているか

カワウの捕獲を行うためには、国や自治体の許可が不可欠です。

まず確認すべきは、業者が「鳥獣捕獲等事業」の認定を受けているか、あるいは狩猟免許(わな猟・第一種銃猟など)を持つスタッフが在籍しているかです。

これらの許可や資格は、法律を遵守し、安全かつ適正に事業を行うことができる証明となります。

環境省のウェブサイトでも関連情報を確認できます。

ポイント2:カワウ駆除の実績が豊富か

業者のウェブサイトなどで、過去のカワウ駆除の施工事例を確認しましょう。

写真付きで具体的な作業内容が紹介されていれば、より信頼できます。

害獣駆除業者の中でも、特に鳥類の駆除を専門としているか、カワウに関する実績が豊富であるかどうかが重要な判断基準となります。

ポイント3:現地調査に基づいた明確な見積もりを提示するか

電話やメールだけで安易に金額を提示する業者には注意が必要です。

優良な業者は、必ず現地調査を行った上で、被害状況を正確に把握し、作業内容の内訳が明記された詳細な見積書を提出します。

追加料金が発生する可能性の有無や、その条件についても事前にしっかりと説明してくれる業者を選びましょう。

ポイント4:担当者の対応が丁寧で説明が分かりやすいか

こちらの不安や疑問に対し、専門用語を多用せず、親身になって分かりやすく説明してくれるかも大切なポイントです。

駆除計画や再発防止策について、納得できるまで丁寧に説明してくれる誠実な対応の業者であれば、安心して作業を任せることができます。

ポイント5:再発防止策の提案とアフターフォローが充実しているか

駆除後の再発防止策について、具体的で効果的な提案をしてくれるかを確認しましょう。

また、「施工後〇年保証」といった保証制度や、定期的な点検などのアフターフォローが整っている業者を選ぶことで、長期的な安心につながります。

【状況別】プロが実践するカワウの駆除と対策方法

カワウへの対処法は、状況や目的によって大きく異なります。

法律で定められた許可が不要な「追い払い対策」と、許可を得て行う本格的な「駆除」の2つに大別されます。

ここでは、それぞれの具体的な方法と注意点をプロの視点から詳しく解説します。

ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選択してください。

許可が不要なカワウの追い払い対策方法

カワウによる被害がまだ深刻化していない初期段階や、法的な許可申請の手間をかけずにすぐに対策を始めたい場合には、「追い払い」が有効な手段となります。

追い払いの目的は、カワウにとってその場所が「居心地の悪い場所」だと学習させ、寄り付かなくさせることです。

ただし、カワウは学習能力が高く、同じ対策を続けていると効果が薄れる「馴化(じゅんか)」が起こりやすいため、複数の方法を組み合わせたり、定期的に方法を変えたりする工夫が重要です。

防鳥ネットやテグスを使った物理的な侵入防止策

カワウの侵入を防ぐ対策として、最も確実で効果が高いのが物理的な防除策です。

一度設置すれば継続的な効果が期待でき、薬剤などを使用しないため環境への負荷も少ないのがメリットです。

防鳥ネットの設置

養魚場の生け簀や、被害を受けている樹木全体を覆う方法です。

カワウが物理的に侵入できなくなるため、被害を根本から防ぐことができます。

ネットを選ぶ際は、カワウが首を入れられない10cm角以下の網目のものを選び、耐久性・耐候性に優れたポリエチレン製のものがおすすめです。

設置する際は、支柱などを利用してネットと保護対象物の間に十分な空間を確保し、カワウがネットの上に乗れないように隙間なく、たるまないようにしっかりと張ることが成功の鍵です。

テグス(防鳥糸)の設置

池や川、建物の屋上など、ネットを張るのが難しい広範囲の場所で有効なのがテグス(釣り糸)です。

水面から30cm~1m程度の高さに、30cm~50cm間隔で格子状に張ることで、カワウが飛来して着水するのを防ぎます。

カワウは羽に何かが触れることを極端に嫌うため、目に見えにくいテグスは非常に効果的です。

キラキラと光るホログラムテープが付いたタイプは、視覚的な忌避効果も加わり、より高い効果が期待できます。ただし、定期的に緩みや切れがないか点検する必要があります。

音や光を利用した追い払いグッズの効果

カワウの聴覚や視覚を刺激して警戒させ、追い払う方法です。

設置が比較的簡単なため、手軽に始められる対策ですが、前述の通り「馴化」が起こりやすい点に注意が必要です。

音による追い払い

ガス爆音機や大きな音の出るロケット花火などが利用されます。

カワウが飛来する時間帯に合わせて使用すると効果的ですが、強い警戒心を与える一方で、音に慣れてしまうと効果がなくなります。

また、大きな音は周辺地域との騒音トラブルに発展する可能性が高いため、使用する場所や時間帯には最大限の配慮が必要です。

自治体によっては条例で規制されている場合もあるため、事前に確認しましょう。

天敵であるタカの鳴き声や、カワウの警戒音を流す装置もありますが、これも効果の持続性には限界があります。

光による追い払い

CDや反射テープ(キラキラテープ)、目玉模様の風船などを吊るし、太陽光を乱反射させてカワウを威嚇する方法です。

風で不規則に動くように設置すると、より効果が高まります。夜間の対策としては、強力なストロボライトを焚く方法もあります。

これらの方法は他の対策と組み合わせることで効果を発揮しますが、単体での永続的な効果は期待しにくいのが実情です。

レーザーポインター(特に緑色)をカワウに向けて照射する方法も報告されていますが、航空機や自動車の運転を妨げる危険があるため、使用には細心の注意と安全管理が求められます。

カワウが嫌がる忌避剤の利用

カワウが嫌う味覚、嗅覚、触覚を刺激する成分を含んだ忌避剤を、カワウがよく止まる手すりや枝、屋根の縁などに塗布またはスプレーする方法です。

ジェル状の製品は、カワウが足に付くベタベタした感触を嫌い、その場所を避けるようになります。

効果はありますが、雨風で成分が流れ落ちてしまうため、定期的な塗り直しが必要となり、維持コストと手間がかかる点がデメリットです。

被害範囲が限定的な場合に、他の物理的対策の補助として利用するのが効果的です。

捕獲許可を得て行うカワウの駆除方法

追い払い対策では被害を抑制できず、漁業被害やフン害が深刻な場合には、鳥獣保護管理法に基づいた都道府県知事等の許可を得て、個体数を直接減らす「駆除(捕獲)」を行うことになります。

これらの方法は高い専門性と危険を伴うため、原則として地域の猟友会や専門の駆-除業者が実施します。

個人で行うことは極めて困難であり、安全管理の観点からも推奨されません。

銃器による駆除方法

広範囲にわたるカワウの個体数を効率的に削減するために用いられる代表的な方法です。

主に、狩猟免許(第一種または第二種銃猟免許)を所持し、自治体から捕獲許可を得た猟友会の会員などが実施します。

使用される銃器

主に散弾銃が使用されます。カワウのねぐらやコロニー(集団繁殖地)など、多数のカワウが集まる場所で、日の出から日没までの時間帯に行われるのが一般的です。

実施上の注意点

銃器の使用は、矢先の安全確保が絶対条件です。

民家や道路、人が立ち入る可能性のある場所では実施できません。

実施にあたっては、自治体や警察と連携し、周辺住民への周知と安全確保を徹底した上で、計画的に行われます。

カワウは警戒心が非常に高いため、ブラインド(隠れ場所)を設置するなど、高度な技術と知識が求められます。

わな(箱わな等)を使った捕獲方法

銃器の使用が困難な市街地に近い場所や、特定の生け簀などに集まるカワウを集中的に捕獲する場合に有効な方法です。

わな猟免許を所持し、捕獲許可を得た者が実施します。

使用されるわな

カワウの捕獲には、大型の「箱わな」や「囲いわな」が用いられます。

カワウが休息する陸地や水辺に設置し、餌などで誘い込んで捕獲します。

カワウの行動パターンを正確に読み、警戒心を与えずにわなへ誘導する高度なノウハウが必要です。

実施上の注意点

わなを設置した者は、法律により定期的な見回りが義務付けられています。

これは、捕獲対象以外の動物(他の鳥類など)が誤ってかかる「誤捕獲」を防止し、万が一誤捕獲した際に速やかに放獣するためです。

また、捕獲したカワウは、苦痛を最小限に抑える方法で速やかに「止めさし(処分)」を行う必要があり、これにも専門的な技術が求められます。

カワウの駆除方法に関するよくある質問

カワウの駆除や対策を検討する中で、多くの方が抱く具体的な疑問についてお答えします。

法律や安全に関わる重要な内容ですので、必ず確認してください。

カワウの卵やヒナを見つけた場合はどうすればいい?

カワウの巣に卵やヒナを見つけた場合、ご自身で駆除や捕獲、巣の撤去を行うことは絶対にやめてください。

鳥獣保護管理法では、カワウの成鳥だけでなく、その卵やヒナも保護の対象とされています。

無許可で卵を採取したり、ヒナを捕まえたり、巣を壊したりする行為は法律違反となり、罰則の対象となる可能性があります。

もしご自身の管理する敷地内で巣作りをされて被害が出ている場合は、まずはお住まいの自治体(市役所や町村役場の環境課、農林水産課など鳥獣対策を担当する部署)に連絡し、状況を説明して指示を仰いでください。

被害の状況や緊急性に応じて、自治体が専門業者に対応を依頼したり、許可を得た上での巣の撤去や卵の採取といった対策を指導したりすることがあります。

特にヒナがいる場合は、巣立ちを待つのが基本となりますが、被害が深刻な場合は自治体の判断となります。

いずれにせよ、個人での判断や対処は避け、必ず専門の窓口に相談することが重要です。

駆除したカワウの死骸の処理方法

自治体から許可を得てカワウを駆除した場合、その死骸は法律に従って適切に処理する義務があります。

カワウの死骸は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」において、一般廃棄物として扱われます。

処理方法は主に次の2つです。

一つは、ご自身の私有地内に埋める「埋設」です

ただし、衛生的な観点から、他の動物に掘り返されないように1メートル以上の深さに埋めることが推奨されます。

また、自治体によっては条例で埋設が制限されている場合もあるため、必ず事前に役所に確認してください。

もう一つの方法は、自治体が管轄するクリーンセンター(ごみ処理施設)に持ち込み、焼却処分を依頼することです。

この場合も、事前に施設へ連絡し、野生鳥獣の死骸の受け入れが可能かどうか、持ち込みの手順や必要な手続きについて確認する必要があります。

感染症予防のため、死骸を処理する際は絶対に素手で触らず、ゴム手袋やマスクを着用してください。

なお、駆除を専門業者に依頼した場合は、死骸の回収・処理まで一括して任せることができます。

安全面や手間を考えると、業者に処理まで依頼するのが最も確実な方法と言えるでしょう。

個人でカワウの駆除を行うことは可能か

結論から言うと、個人がカワウの駆除(捕獲)を行うことは、法律的・技術的なハードルが非常に高く、現実的ではありません。

カワウを捕獲するには、鳥獣保護管理法に基づく「有害鳥獣捕獲許可」を自治体から得る必要があります。

この許可申請自体が煩雑な手続きを要します。

さらに、駆除方法によっては専門的な資格が必須となります。

例えば、銃器を使用して駆除する場合は「狩猟免許(第一種または第二種銃猟免許)」が、わなを使用して捕獲する場合は「わな猟免許」が必要です。

これらの免許を取得するには、試験に合格しなければなりません。

仮に許可と免許があったとしても、カワウは警戒心が非常に強く、捕獲するにはその生態に関する深い知識と経験が求められます。

また、捕獲後の「止めさし(とどめを刺すこと)」や前述の死骸処理は、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。

こうした理由から、被害にお困りの個人や法人が自ら駆除を行うことは推奨されません。

個人でできる対策としては、防鳥ネットやテグスを張るなどの「追い払い・侵入防止策」に留め、捕獲が必要なレベルの被害であれば、必ず都道府県の認可を受けた専門の駆除業者に相談・依頼するようにしてください。

まとめ

カワウによる漁業被害やフン害は深刻ですが、その駆除は鳥獣保護管理法により厳しく規制されています。

無許可での捕獲や殺傷は法律違反となるため、駆除には必ず自治体への許可申請が必須です。

防鳥ネットなどの追い払い対策も有効ですが、根本的な解決や安全性を考慮すると、専門的な知識と技術を持つプロの駆除業者への依頼が最も確実な方法です。

被害状況に合わせて適切な対策を講じるため、まずはお住まいの自治体や信頼できる専門家へ相談しましょう。


駆除ザウルス