キョン 駆除

特定外来生物キョンによる農作物や庭木への食害、甲高い鳴き声にお困りではないでしょうか。

この記事では、ご自身でできる侵入防止策から法律上の注意点、専門業者に依頼する際の費用相場、信頼できる業者の選び方まで、キョンの駆除方法を徹底解説します。

キョンの捕獲は法律で原則禁止されているため、正しい知識に基づいた対策と、必要に応じた専門家への依頼が被害を解決する最も確実な方法です。

目次

キョンによる被害が深刻化 その生態と特徴とは

近年、千葉県の房総半島や伊豆大島を中心に、特定外来生物であるキョンの生息数が増加し、深刻な被害が報告されています。

愛らしい見た目とは裏腹に、その繁殖力と食欲は私たちの生活や生態系に大きな影響を及ぼしています。

キョンの駆除や対策を考える前に、まずはその生態と引き起こされる被害について正しく理解することが重要です。

この章では、キョンの基本的な情報から、具体的な被害例までを詳しく解説します。

特定外来生物キョンとはどんな動物か

キョンは、シカ科ホエジカ属に分類される小型のシカです。もともとは中国南東部や台湾に生息していましたが、日本では1980年代に千葉県勝浦市にあった観光施設から逃げ出した個体が野生化し、繁殖したとされています。

現在では「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき、特定外来生物に指定されており、日本の生態系に悪影響を及ぼす存在として認識されています。

キョンの成獣は体長70cm~100cm、体重10kg~20kgほどで、ニホンジカよりもはるかに小さいのが特徴です。

毛色は茶褐色で、オスには短い角と牙のように発達した犬歯があります。繁殖力が非常に高く、年に複数回の出産が可能で、一度の出産で1頭の子を産みます。

この驚異的な繁殖力が、個体数の急増につながっています。食性は草食で、草や木の葉、樹皮、果実など、非常に幅広い種類の植物を食べることが知られています。

キョンが引き起こす具体的な被害例

キョンの増加は、農業被害や生活環境の悪化など、多岐にわたる問題を引き起こしています。

ここでは、代表的な被害例を3つに分けて具体的に見ていきましょう。

農作物や庭木への食害

キョンによる最も深刻な被害の一つが、農作物や庭木への食害です。

キョンは非常に食欲旺盛で、水稲、大豆、さつまいも、柑橘類といった農作物をはじめ、家庭菜園の野菜まで見境なく食べてしまいます。

特に柔らかい新芽や若葉を好むため、作物の成長を阻害し、収穫量を著しく減少させ、農家にとっては大きな経済的打撃となります。

また、被害は農地だけに留まりません。

一般家庭の庭に侵入し、大切に育ててきた花や植木を食べてしまうケースも多発しています。

驚くべきことに、アジサイやツツジといった一般的に毒性があるとされる植物まで食べてしまうことが報告されており、庭の景観を損なうだけでなく、ガーデニングを楽しむ人々の精神的なストレスの原因にもなっています。

甲高い鳴き声による騒音被害

キョンは、「ギャーッ!」や「ギーッ!」と表現されるような、非常に甲高く不気味な鳴き声を発します。

この鳴き声は、特に繁殖期や警戒時に頻繁に聞かれ、昼夜を問わず響き渡ります。

特に夜間にこの声が聞こえると、不気味さから恐怖を感じたり、睡眠を妨げられたりする人も少なくありません。

静かな住宅街に響き渡るキョンの鳴き声は、地域住民にとって深刻な騒音問題であり、精神的な苦痛をもたらす原因となっています。

フン尿による衛生問題と悪臭

キョンが頻繁に出没する地域では、フン尿による被害も深刻です。

庭先や駐車場、道路、玄関前など、生活空間の至る所に黒くて小さいコロコロとしたフンを大量に残していきます。

これらのフン尿は強烈な悪臭を放ち、景観を損ねるだけでなく、衛生上の問題も引き起こします。

フンにはハエなどの害虫がたかりやすくなるほか、キョンの体にはマダニが付着している可能性もあります。

マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介することが知られており、直接的な健康被害のリスクも無視できません。

キョンのフンを見つけた場合は、直接手で触れず、適切に処理することが重要です。

キョンの駆除は法律で規制あり 捕獲前に知るべき注意点

キョンによる被害に悩み、「今すぐ自分で捕獲したい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、その前に必ず知っておかなければならない重要な注意点があります。

キョンは「特定外来生物」であると同時に、「鳥獣保護管理法」の対象動物でもあるため、個人が許可なく捕獲・駆除することは法律で固く禁じられているのです。

知識なく行動してしまうと、意図せず法律違反となり罰則を受ける可能性があります。

この章では、キョンの駆除に関わる法律の規制内容と、なぜ個人での駆除が原則禁止なのかを詳しく解説します。

鳥獣保護管理法による規制内容

キョンは、正式名称を「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通称:鳥獣保護管理法)で定められた「鳥獣」に該当します。

この法律は、鳥類と哺乳類を対象に、生物の多様性を確保し、生活環境を保全することを目的としています。

そのため、たとえ害獣であっても、法律で定められた手続きを踏まずに捕獲したり、殺傷したりすることはできません。

都道府県知事の許可なくキョンを捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

これは、自宅の敷地内であっても適用されます。

罠を仕掛ける行為自体が捕獲行為とみなされるため、安易な判断で罠を設置することは絶対に避けてください。

詳しくは環境省のウェブサイトで確認できます。

参考: 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の概要|環境省

個人によるキョンの捕獲や駆除は原則禁止

「特定外来生物なのだから駆除しても問題ないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、これは大きな誤解です。

特定外来生物被害防止法では、生態系への被害を防ぐために防除を行うこととされていますが、その捕獲方法については鳥獣保護管理法が適用されます。

つまり、キョンを捕獲・駆除するには、鳥獣保護管理法に基づいた正式な許可が必要不可欠なのです。

この許可は、専門的な知識や技術を持つ狩猟免許(わな猟免許など)の所持者や、自治体から有害鳥獣捕獲の許可を得た専門業者などにしか与えられません。

一般の方が個人的に許可を得ることは極めて困難です。

そのため、ご自身の敷地内でキョンの被害に遭っている場合でも、自分で捕獲・駆除するのではなく、まずはお住まいの自治体の担当窓口や、許可を持つプロの駆除業者に相談することが、唯一の正しい対処法となります。

自分でできるキョンの駆除・対策方法

特定外来生物であるキョンの捕獲や駆除は、鳥獣保護管理法により原則として個人では行えません。

しかし、ご自身の敷地内にキョンを侵入させないための「対策」や、寄せ付けないための「忌避」は可能です。

ここでは、ご自身でできる効果的なキョンの被害対策を3つのアプローチから詳しく解説します。

キョンの侵入を防ぐ物理的な対策方法

キョン対策で最も効果的かつ確実なのは、物理的に侵入経路を遮断することです。

キョンは体高50cm程度の小さなシカですが、1m以上の高さまでジャンプする驚異的な跳躍力を持っています。

また、わずかな隙間からでも潜り抜けるため、中途半端な対策では効果がありません。

ここでは、代表的な物理的対策である「防獣フェンス・ネット」と「電気柵」について解説します。

防獣フェンスやネットの効果的な設置方法

キョンの侵入を物理的に防ぐためには、その身体能力を上回る仕様のフェンスやネットを設置することが不可欠です。

高さ:キョンのジャンプ力を考慮し、フェンスの高さは最低でも1.5m以上を確保してください。予算や状況が許せば、2mの高さがあるとより安心です。

網目のサイズ:成獣だけでなく、小さな幼獣の侵入も防ぐため、網目の大きさは10cm角以下、できれば5cm角程度の細かいものを選びましょう。ワイヤーメッシュや溶接金網など、強度が高く、簡単には破られない素材がおすすめです。

下部の隙間対策:キョンは跳ぶだけでなく、柵の下をくぐるのも得意です。地面とフェンスの間に隙間ができないよう、金網を30cmほど地面に埋め込むか、L字に折り返して地面に固定し、U字ピンや重石でしっかりと押さえてください。このひと手間が侵入を防ぐ上で非常に重要になります。

支柱と強度:フェンスを支える支柱は、キョンが寄りかかっても倒れないよう、十分な強度のあるものを選び、2m程度の間隔で確実に地面に打ち込みます。設置後は、定期的に緩みや破損がないか点検することも大切です。

電気柵の導入と注意点

電気柵は、ワイヤーに触れたキョンに電気ショックを与え、「ここは危険な場所だ」と学習させることで心理的なバリアを築く対策です。

正しく設置・管理すれば非常に高い効果が期待できます。

設置方法:キョンの体高に合わせて、低い位置から複数段のワイヤーを張ることが効果的です。地面から20cm、40cm、60cm、90cmといった高さに3〜4段設置するのが一般的です。これにより、キョンがくぐろうとしても、飛び越えようとしてもワイヤーに触れやすくなります。

注意点:

  • 安全対策の徹底:電気柵を設置する際は、人が誤って触れることのないよう、周囲から見やすい場所に「危険表示板」を一定間隔で設置することが法律で義務付けられています。
  • 漏電対策とメンテナンス:ワイヤーに雑草や木の枝が触れていると、そこから電気が地面に逃げてしまい(漏電)、効果が著しく低下します。電気柵の周囲は定期的に草刈りを行い、常にワイヤーが何にも触れていない状態を保つことが重要です。また、ソーラーパネルやバッテリーの定期的な点検も欠かせません。

キョンを寄せ付けないための忌避対策

忌避対策は、キョンが嫌がる匂いや物を利用して寄り付かせないようにする方法です。

物理的な対策と組み合わせることで、より効果を高めることができます。

ただし、忌避剤単体での完璧な防御は難しく、効果に慣れてしまう個体もいるため、あくまで補助的な対策と考えるのが良いでしょう。

市販の忌避剤の効果と使い方

ホームセンターやインターネットでは、様々な種類の動物用忌避剤が販売されています。

固形タイプ、液体タイプ、顆粒タイプなどがあり、それぞれ持続期間や設置の手間が異なります。

成分:多くの製品には、トウガラシの辛み成分であるカプサイシン、ニンニク、木酢液など、動物が本能的に嫌う天然由来の成分が使われています。

使い方:キョンの侵入経路や、庭木・家庭菜園など被害が出ている場所の周囲に設置します。雨風によって効果が薄れるため、製品の指示に従い、定期的に交換・再散布する必要があります。効果には個体差があるため、一つの製品で効果が見られない場合は、別の成分のものを試してみるのも一つの方法です。

オオカミの尿など動物が嫌う匂いを利用した対策

キョンの天敵であるオオカミの尿を利用した忌避剤も効果が報告されています。

これは、キョンに捕食者の存在を錯覚させ、危険な場所だと認識させて遠ざける仕組みです。

製品と使い方:「ウルフピー」などの商品名で販売されており、液体を専用の容器に入れて吊るしたり、布やスポンジに染み込ませて設置したりします。キョンに入ってほしくないエリアの境界線に沿って、数メートル間隔で設置するのが効果的です。

注意点:オオカミの尿は人間にとっても強い獣臭を感じることがあります。住宅が密集している場所での使用は、近隣への配慮が必要です。また、雨で流されると効果が薄れるため、定期的な補充が欠かせません。

キョンが寄り付かない環境づくり

最も基本的かつコストをかけずに始められるのが、キョンにとって魅力のない環境を作ることです。

キョンがあなたの敷地にやってくるのには、「餌がある」「隠れ場所がある」といった理由があります。

その原因を取り除くことで、キョンが寄り付く動機を減らすことができます。

餌となるものを徹底的に管理する:

  • 家庭菜園の野菜や果樹は、熟したらすぐに収穫し、収穫しそこねたものを地面に放置しない。
  • 屋外に生ゴミを置かない。コンポストを利用する場合は、動物が容易に開けられない蓋付きのものを選びましょう。
  • ペットの餌の残りなどを屋外に放置しない。

隠れ家(隠れ場所)をなくす:

  • キョンは非常に警戒心が強く、身を隠せる藪や茂みを好みます。庭や敷地内の下草、雑草を定期的に刈り払い、見通しを良くしましょう。
  • 使っていない資材や、物置の周りなどを整理整頓し、キョンが隠れたり休息したりできる場所をなくすことが重要です。

こうした環境整備は、一度行えば終わりではありません。

キョンに「ここは餌もなく、安全な隠れ場所もない居心地の悪い場所だ」と認識させ続けるために、日頃から継続して行うことが大切です。

専門業者に依頼するキョンの駆除方法

キョンによる被害にお悩みで、ご自身での対策に限界を感じている場合、専門の駆除業者への依頼が最も確実かつ安全な解決策となります。

特定外来生物であるキョンは鳥獣保護管理法の対象であり、捕獲には自治体の許可が必要です。

無許可での捕獲は法律で罰せられるため、専門知識と資格を持つプロに任せるのが賢明です。

ここでは、専門業者が行う駆除方法の種類や、依頼する際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

プロが行うキョンの駆除方法の種類

専門業者は、キョンの生態や被害状況、周辺環境を詳細に調査した上で、最も効果的で安全な方法を選択して駆除作業を行います。

主に用いられるのは「罠による捕獲」と「銃による捕獲」です。

罠による捕獲

住宅地や農地など、人の生活圏に近いエリアでは、主に罠を使った捕獲が行われます。

安全性と確実性が高いため、最も一般的な駆除方法と言えるでしょう。

  • 箱罠(はこわな): キョンをおびき寄せるための餌を内部に仕掛け、キョンが中に入ると出入り口が閉まる仕組みの檻(おり)です。キョンを安全に生け捕りにできるため、周辺の住民や他の動物への影響が少ないのが特徴です。業者はキョンの通り道(獣道)や餌場など、効果的なポイントを見極めて設置します。
  • くくり罠: 地面に仕掛け、キョンの足がワイヤーの輪にかかると作動して捕獲する罠です。設置には高度な技術と知識が求められ、狩猟免許を持つ専門家でなければ扱うことができません。

業者は罠を設置するだけでなく、定期的な見回りや餌の補充、そして捕獲後のキョンの適切な処分まで、法律に基づいて一貫して対応します。

銃による捕獲(銃猟)

山林や広大な敷地など、人家から離れた場所でキョンの個体数を減らすことを目的とする場合、銃による捕獲が実施されることがあります。

この方法は、第一種銃猟免許を持つ専門のハンターによって行われます。

銃猟は、広範囲に生息するキョンを効率的に駆除できる一方で、高い安全管理が求められます。

そのため、実施前には自治体や警察と綿密に連携し、周辺住民への周知を徹底した上で行われるのが一般的です。

個人が安易に依頼できる方法ではありませんが、自治体主導の広域的な駆除事業などで採用されることがあります。

業者にキョン駆除を依頼するメリットとデメリット

専門業者への依頼を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。

メリット

  • 合法性と安全性: 鳥獣保護管理法などの関連法規を遵守し、必要な許可を取得した上で安全に駆除を行ってくれます。法的なリスクを心配する必要がありません。
  • 高い駆除効果と専門性: キョンの生態や行動パターンを熟知したプロが、被害状況に合わせて最適な駆除計画を立てて実行するため、非常に高い効果が期待できます。
  • 手間と時間の節約: 現地調査から見積もり、罠の設置・管理、捕獲後の処分まで、一連の作業をすべて任せることができます。ご自身で対策する手間と時間を大幅に削減できます。
  • 再発防止のアドバイス: 駆除作業後、キョンが再び侵入・定着しないための具体的な再発防止策(フェンスの補強、環境整備など)について、専門的な視点からアドバイスをもらえます。

デメリット

  • 費用の発生: 当然ながら、専門家による作業には費用がかかります。被害の規模や作業内容によっては、高額になる可能性もあります。
  • 業者選びの手間: 信頼できる優良な業者を見極める必要があります。中には不当に高額な請求をしたり、十分な効果が得られなかったりする悪質な業者も存在するため、慎重な選定が求められます。
  • 即時対応が難しい場合がある: 依頼が集中している時期や、業者のスケジュールによっては、相談してから実際の作業開始まで時間がかかることがあります。

キョンの被害は放置すると拡大する一方です。ご自身での対策が難しいと感じたら、まずは専門業者に相談し、現地調査と見積もりを依頼することから始めてみましょう。

キョン駆除にかかる費用の相場と内訳

キョンの駆除を専門業者に依頼する場合、費用は被害状況や作業内容によって大きく変動します。

安易に「格安」を謳う業者に飛びつくのではなく、費用の相場や内訳を正しく理解し、適正価格で信頼できる業者を選ぶことが重要です。

ここでは、キョン駆除にかかる費用の目安と、料金が決まる仕組みについて詳しく解説します。

駆除作業の基本的な料金体系

キョン駆除の料金は、業者によって異なりますが、一般的には「基本料金+作業費+諸経費」という構成になっています。

まずは、それぞれの項目にどのような費用が含まれるのかを把握しておきましょう。

一般的な料金内訳の例は以下の通りです。

  • 現地調査費・見積もり作成費:被害状況の確認、キョンの生息数や侵入経路の特定、最適な駆除計画の立案にかかる費用です。業者によっては無料で行っている場合もありますが、遠方の場合は出張費として請求されることもあります。
  • 捕獲作業費(人件費):罠(箱罠など)の設置、定期的な見回り、餌の交換、捕獲後の連絡対応など、駆除作業員の人件費です。作業員の人数や日数によって変動します。
  • 罠のレンタル・資材費:捕獲に使用する箱罠や囲い罠などのレンタル費用や、消耗品の費用です。設置する罠の数や種類によって料金が変わります。
  • 捕獲個体の処分費:捕獲したキョンは、鳥獣保護管理法に基づき適切に処分する必要があります。その処理にかかる費用で、捕獲した頭数に応じて加算されるのが一般的です。
  • 出張費・交通費:業者の拠点から現場までの移動にかかるガソリン代や高速道路料金などの実費です。

これらの項目を合算したものが、基本的な駆除費用となります。

総額の目安としては、小規模な被害で数万円から、広範囲にわたる場合や複数のキョンを捕獲する必要がある場合は20万円以上になることも珍しくありません。

あくまで目安であり、被害状況によって大きく異なるため、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。

被害状況や場所で変動する費用

基本的な料金体系に加えて、以下のような要因によって費用は大きく変動します。

ご自身の状況がどのケースに当てはまるか確認することで、費用の予測がしやすくなります。

  • 被害の規模とキョンの頭数:被害を受けている範囲が広い、あるいは生息しているキョンの頭数が多い場合、設置する罠の数を増やしたり、作業期間を延長したりする必要があるため、費用は高くなります。
  • 作業場所の環境と広さ:作業現場が広大な農地や山林、急な傾斜地など、作業が困難な場所では料金が割増になることがあります。また、敷地全体をフェンスで囲うなどの大規模な侵入防止対策を行う場合は、その材料費と施工費が別途高額になります。
  • 建物の構造:住宅の床下や庭などに侵入されている場合、建物の構造によっては作業が複雑になり、追加料金が発生することがあります。
  • 駆除方法の種類:追い払いや捕獲だけでなく、フン尿の清掃・消毒、侵入経路の封鎖工事などを同時に依頼すると、その分の費用が加算されます。

見積もり以外に追加で発生する可能性のある費用

最初に提示された見積もり金額だけで安心してしまうのは危険です。

契約内容によっては、作業後に追加費用を請求されるケースもあります。

トラブルを避けるためにも、どのような場合に追加費用が発生する可能性があるのかを事前に確認しておくことが肝心です。

追加費用が発生しうる主なケースは以下の通りです。

  • 想定以上の頭数を捕獲した場合の処分費:見積もり時の想定よりも多くのキョンが捕獲された場合、1頭あたりの処分費が追加で請求されることがあります。
  • 作業期間が延長された場合の延長料金:キョンの警戒心が強く、なかなか罠にかからない場合など、予定していた作業期間を超過した際の人件費や罠のレンタル費です。
  • 特殊な機材や作業が必要になった場合:高所での作業が必要になり足場を組んだり、コンクリートを破壊して侵入口を塞いだりするなど、特殊な機材や工事が発生した場合の費用です。
  • 夜間や早朝の作業料金:キョンの活動時間に合わせて夜間や早朝に作業を行う場合、時間外割増料金が設定されていることがあります。

後々のトラブルを防ぐためにも、契約前の段階で「追加料金が発生する可能性があるのはどのような場合か」を業者に具体的に質問し、書面で回答をもらうようにしましょう。

信頼できるキョン駆除業者の選び方 5つのポイント

キョンの駆除は、法律の知識と専門的な技術が不可欠です。

そのため、個人での対応が難しい場合は専門業者への依頼が最も確実な方法と言えるでしょう。

しかし、残念ながら業者の中には高額な請求をしたり、不十分な作業で済ませたりする悪質なケースも存在します。

大切な財産や平穏な生活を取り戻すためにも、信頼できるパートナーとなる業者を慎重に選ぶことが重要です。

ここでは、優良なキョン駆除業者を見極めるための5つの重要なポイントを詳しく解説します。

狩猟免許や自治体の許可を確認する

キョン駆除の業者選びで最も重要なのが、法的な資格と許可の有無です。

キョンは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」によって保護・管理されている動物です。

そのため、捕獲するには国の定める狩猟免許(わな猟免許など)と、事業所のある都道府県知事からの「鳥獣捕獲等許可」が必須となります。

無許可での捕獲は違法行為であり、依頼した側もトラブルに巻き込まれる可能性があります。

業者のウェブサイトに許可番号や資格情報が明記されているかを確認しましょう。

もし記載がない場合は、見積もりや問い合わせの際に、必ず狩猟免許や許可証の提示を求めてください。この提示を渋ったり、曖昧な回答をしたりする業者は絶対に避けましょう。

明確な見積もりと作業内容を提示してくれるか

料金に関するトラブルを避けるため、見積もりの透明性は業者選びの生命線です。

信頼できる業者は、必ず作業前に現地調査を行い、被害状況や建物の構造、周辺環境を把握した上で、書面による詳細な見積もりを提示します。

その際、以下の点を確認してください。

  • 駆除作業(捕獲罠の設置・回収など)の費用
  • 侵入経路の封鎖や清掃・消毒作業の費用
  • フェンスやネットなど再発防止策の設置費用
  • 出張費や人件費などの諸経費

「作業一式」といった大雑把な記載ではなく、何にいくらかかるのか内訳が明確になっているかが重要です。

また、追加料金が発生する可能性のあるケース(例:想定以上に捕獲頭数が増えた場合など)についても、事前に説明があるかを確認しましょう。

複数の業者から相見積もりを取り、料金と作業内容を比較検討することをおすすめします。

駆除実績と利用者の口コミをチェックする

業者の技術力や信頼性を客観的に判断するために、過去の実績と第三者からの評価は非常に参考になります。

特に、キョンのような特定の害獣駆除には、その生態を熟知した専門的なノウハウが求められます。

業者の公式ウェブサイトで、キョンの駆除事例が具体的に紹介されているかを確認しましょう。

どのような被害状況で、どんな方法で駆除し、どのような再発防止策を講じたのかが写真付きで解説されていれば、信頼性は高いと言えます。

さらに、Googleマップのレビューや害獣駆除の比較サイト、SNSなどで利用者のリアルな口コミを調べることも有効です。

良い評価だけでなく、万が一悪い評価があった場合に、業者がどのような対応をしているかも含めて確認すると、その業者の誠実さが見えてきます。

アフターフォローや再発防止策の提案があるか

キョンは非常に警戒心が強く、繁殖力も高いため、一度捕獲しただけでは根本的な解決にならないことがあります。

別の個体が新たに侵入してくる可能性も十分に考えられるため、駆除後の再発防止策が極めて重要です。

信頼できる業者は、捕獲作業だけで終わりにはしません。キョンの侵入経路を特定し、それを物理的に封鎖する提案をしてくれます。

また、忌避剤の適切な使用方法や、キョンが寄り付かないための庭の手入れといった環境改善のアドバイスもくれるでしょう。

「保証期間内に再発した場合は無償で対応する」といったアフターフォロー制度が整っているかも、優良業者を見極める大きなポイントです。

契約前に、保証の有無や内容を必ず確認してください。

現地調査の対応は丁寧か

見積もりを依頼した際の現地調査は、その業者の姿勢や専門性を直接確認できる絶好の機会です。

担当者の対応が丁寧で信頼できるかどうかを、ご自身の目でしっかりと見極めましょう。

チェックすべきは、次のような点です。

  • こちらの被害状況や不安な点を親身になって聞いてくれるか(ヒアリング能力)
  • 被害箇所だけでなく、敷地全体の環境や周辺の状況まで細かく調査しているか
  • 調査結果に基づき、駆除計画や対策方法を専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれるか
  • 質問に対して、的確で誠実な回答をくれるか
  • その場で契約を急かしたり、不安を過度に煽ったりしないか

現地調査の対応に少しでも違和感や不信感を抱いた場合は、契約を見送るのが賢明です。

安心して任せられると感じる業者を選ぶことが、キョン被害解決への第一歩となります。

自治体のキョン駆除への対応と補助金制度

キョンによる被害は個人や一家庭だけの問題ではなく、地域全体で取り組むべき課題となっています。

そのため、特に被害が深刻化している地域では、自治体が主体となって様々な対策や支援制度を設けています。

個人での対策には限界があるため、お住まいの自治体が提供する情報を確認し、利用できる制度は積極的に活用することが、効果的な被害対策につながります。

ここでは、自治体の相談窓口や具体的な取り組み事例、そして経済的負担を軽減する補助金制度について詳しく解説します。

お住まいの自治体の相談窓口

キョンの姿を見かけたり、農作物や庭木への食害、フン尿などの被害に遭ったりした場合は、まずお住まいの市区町村の担当部署に相談することが第一歩です。

一般的に、相談窓口は市役所や町役場の「環境課」「農政課」「林務課」「鳥獣対策担当課」といった名称の部署が担当しています。

どの部署が担当か分からない場合は、自治体の代表電話に連絡し、「特定外来生物であるキョンの被害について相談したい」と伝えれば、適切な部署につないでもらえます。

相談窓口では、以下のような対応が期待できます。

  • 被害状況のヒアリングと現地確認
  • 捕獲許可の申請手続きに関する案内
  • 防護柵(フェンスや電気柵)の設置に関する技術的なアドバイス
  • 自治体による捕獲事業や防除計画に関する情報提供
  • 利用可能な補助金や助成金制度の案内

被害を放置すると、キョンがその場所に定着し、被害が拡大する可能性があります。

被害を確認したら、できるだけ速やかに相談しましょう。

千葉県や伊豆大島での取り組み事例

キョンの被害が特に集中している千葉県や伊豆大島(東京都大島町)では、行政が主導して先進的な対策に取り組んでいます。

お住まいの地域で対策を考える上で、これらの事例は非常に参考になります。

千葉県の取り組み

国内でキョンの被害が最も深刻な千葉県では、「千葉県第二種特定外来生物(キョン)防除実施計画」を策定し、県全域で計画的な防除を進めています。

具体的な取り組みとしては、以下のようなものがあります。

  • 捕獲報奨金制度:県内の市町村が、捕獲したキョン1頭あたりに対して報奨金を支払う制度を設けている場合があります。これにより、狩猟免許を持つ地域住民や駆除業者による捕獲を促進しています。
  • 防護柵設置への補助:農作物被害を防ぐために、農家などが防護柵を設置する際の費用の一部を補助する制度があります。
  • 広域的な捕獲体制の構築:市町村の垣根を越えて、県が主導で広域的な捕獲体制を整え、効率的な個体数削減を目指しています。

詳細については、千葉県の公式ウェブサイトで最新の情報を確認することができます。

伊豆大島(東京都)の取り組み

伊豆大島でもキョンは生態系や農業に大きな影響を与えており、東京都が対策の主体となっています。「伊豆大島におけるキョン防除実施計画」に基づき、専門の捕獲事業者による銃やわなを使った計画的な捕獲が年間を通じて行われています。また、島内の固有植物を守るための植生保護柵の設置も進められています。

これらの取り組みは、専門的な知見と技術を持つプロフェッショナルによって実施されており、個体数の効果的な抑制を目指しています。

補助金や助成金制度の確認方法

キョンの侵入を防ぐための防護柵や電気柵の設置には、少なくない費用がかかります。

経済的な負担を軽減するため、国や自治体は様々な補助金・助成金制度を用意しています。これらの制度を上手に活用しましょう。

補助金制度を確認する主な方法は以下の通りです。

  1. 自治体のウェブサイトで確認する:
    お住まいの市区町村のウェブサイトで、「(自治体名) キョン 補助金」や「(自治体名) 有害鳥獣 防護柵 助成金」といったキーワードで検索します。農林水産関連や環境保全関連のページに情報が掲載されていることが多いです。
  2. 担当部署に直接問い合わせる:
    ウェブサイトで情報が見つからない場合や、制度の詳細(対象者、補助率、申請期間など)を知りたい場合は、前述の担当部署へ電話で直接問い合わせるのが最も確実です。

補助金や助成金を利用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 申請期間と予算:多くの補助金には申請期間が定められており、年度ごとの予算には上限があります。期間を過ぎたり、予算が上限に達したりすると受付が終了してしまうため、早めに情報を収集し、計画的に申請することが重要です。
  • 対象条件の確認:補助の対象となる条件(例:農業従事者であること、設置する柵の仕様や面積、被害報告書の提出など)が細かく定められています。申請前に必ず要綱をよく読み、ご自身が対象になるかを確認してください。
  • 購入・設置前の申請:原則として、防護柵などを購入・設置する「前」に申請が必要です。事後に申請しても補助対象外となるケースがほとんどですので、必ず手続きの順番を守りましょう。

まずは自治体への相談から始め、利用できる制度がないか積極的に確認してみることをお勧めします。

まとめ

キョンによる農作物や騒音などの被害は深刻ですが、特定外来生物であるため鳥獣保護管理法により個人での捕獲は原則禁止されています。

そのため、ご自身でできる対策はフェンスや忌避剤による侵入防止が中心となります。

根本的な駆除を望む場合は、法律を遵守し安全に作業を行う専門業者への依頼が最善の選択です。

業者選びの際は許可の有無や実績をよく確認し、お住まいの自治体の相談窓口も活用しましょう。

 


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