
シンボルツリーとして人気のエゴノキに、「猫の足」のような奇妙なこぶができていたり、葉を食べる毛虫や幹を弱らせるカイガラムシが発生したりしてお困りではありませんか?
自己流で害虫駆除を試みても毎年被害が繰り返され、どうすれば良いか悩んでいる方も多いはずです。
エゴノキの害虫対策を成功させる結論は、実はとてもシンプル。
それは「害虫の種類と活動時期に合わせた、年間の計画的な対策」に尽きます。
発生してから慌てるのではなく、適切なタイミングで予防と駆除を行うことが、エゴノキを健やかに保つ最も効果的な方法なのです。
この記事では、エゴノキに発生する代表的な害虫の種類と被害の見分け方から、年間スケジュールで見る最適な駆除時期、薬剤を使う方法・使わない方法といった具体的な対策まで、専門的な知識を分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、もうエゴノキの害虫に悩むことなく、来年も美しい花を楽しむための具体的なステップがすべて分かります。
目次
エゴノキに発生する代表的な害虫とその被害
白い可憐な花が魅力のエゴノキは、比較的育てやすく病害虫にも強い庭木として人気ですが、全く害虫が付かないわけではありません。
放置してしまうと、エゴノキの美しい景観を損なうだけでなく、樹勢を著しく弱らせてしまうこともあります。
中には人間に被害を及ぼす危険な害虫もいるため、早期発見と適切な対策が不可欠です。
まずは、エゴノキに発生しやすい代表的な害虫の種類と、それぞれが引き起こす被害について詳しく見ていきましょう。
猫の足?不思議な虫こぶを作るエゴノネコアシアブラムシ
エゴノキの新芽の先に、緑色や赤みを帯びたバナナの房、あるいは猫の足のような奇妙な形の膨らみができていたら、それは「エゴノネコアシアブラムシ」の仕業です。
これは「虫こぶ(ゴール)」と呼ばれる、虫が植物に寄生して作らせる巣のようなものです。
エゴノキに特有の現象で、春に発生し、夏にかけて大きくなります。
虫こぶの内部には無数のエゴノネコアシアブラムシが潜んでおり、樹液を吸って成長します。
虫こぶが直接木を枯らすことは稀ですが、多数発生すると見た目が悪くなるのが最大の被害です。
また、アブラムシの排泄物である「甘露(かんろ)」が葉や枝に付着し、それを栄養源として黒いカビが発生する「すす病」を誘発することもあります。
新芽や葉が縮れる原因 アブラムシ類
エゴノネコアシアブラムシ以外にも、一般的なアブラムシ類がエゴノキに発生します。
体長2〜4mm程度の小さな虫で、緑色や黒褐色など種類によって色は様々です。
春から秋にかけて、特に柔らかい新芽や若葉の裏、茎などにびっしりと群生し、植物の汁を吸って繁殖します。
アブラムシに汁を吸われた葉は栄養を奪われ、縮れたり変形したりして正常に成長できなくなります。
大量発生すると植物全体の生育が阻害され、樹勢が目に見えて衰えてしまいます。
また、排泄物の甘露はすす病の原因となるほか、アリを呼び寄せる原因にもなります。
さらに、植物のウイルス病を媒介することもあるため、見つけ次第、早急な駆除が必要です。
幹や枝に付着するカイガラムシ類
幹や枝の表面に、白い綿のようなものや、茶色く硬い貝殻のようなものが付着していたら、それはカイガラムシです。
成虫になると脚が退化してほとんど動かなくなり、ロウ物質や殻で体を覆って樹液を吸います。
エゴノキにはツノロウムシやコナカイガラムシなどが発生しやすく、一度発生すると繁殖力が高く、あっという間に枝全体を覆い尽くすこともあります。
被害はアブラムシと同様に吸汁による樹勢の低下と、すす病の誘発です。
大量に寄生されると枝が枯れ込む原因にもなります。
成虫は硬い殻やロウで覆われているため薬剤が効きにくく、駆除が厄介な害虫として知られています。
触ると危険 葉を食害するイラガなどの毛虫
夏から秋にかけて、エゴノキの葉が集団で食べられている場合、イラガの幼虫(毛虫)が発生している可能性があります。
イラガの幼虫は、黄緑色の体に黒い斑点があり、多数のトゲ(毒針毛)を持っているのが特徴です。
この毒針毛に触れると、電気が走ったような激しい痛みを感じ、赤く腫れあがる皮膚炎を引き起こします。
葉の裏側に集団でいることが多く、気づかずに剪定作業などで触れてしまう事故が後を絶ちません。
食欲が旺盛で、放置するとあっという間に葉を食べ尽くし、木を丸裸にしてしまうこともあります。
死骸や脱皮した殻にも毒針毛が残っているため、駆除の際には細心の注意が必要です。
幹に穴を開けるテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)
幹の根元や枝の分かれ目あたりから、おがくずのような木くず(フラス)が出ていたら、それはテッポウムシの被害を疑うべきサインです。
テッポウムシとはゴマダラカミキリなど、カミキリムシ類の幼虫の総称で、木の幹の内部に侵入して木部を食い荒らします。
幼虫は数年にわたって幹の内部で成長し、木の内部をトンネルのように食い進みます。
これにより、水や養分を吸い上げる道管が破壊され、被害部分から先の枝葉が急に枯れたり、樹勢が著しく低下したりします。
被害が深刻化すると、幹が空洞化して強風で折れやすくなるほか、最終的には木全体が枯死に至ることもあり、エゴノキにとって最も致命的な害虫の一つと言えるでしょう。
エゴノキの害虫対策 年間スケジュールで見る駆除と予防の最適時期
エゴノキの害虫対策は、やみくもに行っても効果は半減してしまいます。
害虫の種類や活動サイクルに合わせて、適切な時期に適切な対策を講じることが、美しい樹形と花を毎年楽しむための鍵となります。
ここでは、1年間のスケジュールに沿って、いつ、何をすべきかを具体的に解説します。
この年間スケジュールを参考に、あなたの大切なエゴノキを守りましょう。
春(3月~5月)新芽の観察と初期の害虫駆除
春はエゴノキが休眠から目覚め、新芽や若葉が芽吹く生命力あふれる季節です。
しかし、この柔らかい新芽は害虫にとっても格好のごちそう。
特に注意したいのが「エゴノネコアシアブラムシ」と通常のアブラムシ類です。
エゴノネコアシアブラムシは、新芽に寄生して「エゴノネコアシ」と呼ばれる猫の足のような形の虫こぶ(ゴール)を形成します。
この虫こぶが大きくなってからでは駆除が難しいため、新芽が展開し始める3月下旬から4月にかけて、葉の付け根などを注意深く観察しましょう。
虫こぶのなり始めや、アブラムシの群生を見つけたら、数が少ないうちに葉ごと摘み取ったり、指で潰したりして物理的に駆除するのが最も効果的です。
また、この時期に浸透移行性殺虫剤の粒剤(例:オルトラン粒剤、ベニカXガード粒剤など)を株元に撒いておくのも非常に有効な予防策です。
薬剤の成分が根から吸収され、木全体に行き渡ることで、内部から害虫を防除する効果が長期間持続します。
特に毎年アブラムシの被害に悩まされている場合は、春の早い段階での施用をおすすめします。
夏(6月~8月)害虫発生ピークの効果的な駆除作業
梅雨から夏にかけては、気温と湿度の上昇とともに多くの害虫が活発に活動するピークシーズンです。
特に注意が必要なのは、葉を食害する「イラガ」などの毛虫類です。
6月頃から発生し始め、孵化したばかりの幼虫は葉裏に集団でいることが多いです。
この時期を見逃さず、葉ごと切り取って処分することで、被害の拡大を最小限に抑えられます。
幼虫が分散した後は、専用の殺虫剤を散布して駆除しましょう。
また、幹や枝に固着する「カイガラムシ」も、この時期に幼虫が発生し移動します。
幼虫は薬剤に弱いため、カイガラムシ向けの殺虫剤を散布するのに適したタイミングです。
さらに、幹に穴を開ける「テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)」の被害にも注意が必要です。
成虫であるカミキリムシが飛来し、幹に産卵します。株元や幹に木くずのようなフン(フラス)が落ちていないか定期的にチェックし、穴を見つけたら針金で幼虫を掻き出すか、専用のノズル付き殺虫剤を注入して駆除します。
夏の薬剤散布は、日中の高温時を避け、薬害が出にくい早朝や夕方の涼しい時間帯に行うのが鉄則です。
秋(9月~11月)来年に向けた剪定と残った害虫の駆除
夏の暑さが和らぐ秋は、来シーズンの害虫発生を抑えるための重要な準備期間です。
多くの害虫が越冬の準備を始めるため、この時期の対策が翌春の結果を大きく左右します。
まずは、夏に発生したイラガが越冬のために作る、硬くて特徴的な繭を探しましょう。
枝や幹に付着している茶色い繭を見つけたら、ヘラのようなもので剥がし取り、確実に処分します。一つ見つけたら他にもある可能性が高いので、くまなく探してください。
エゴノキの落葉が始まる10月下旬から11月は、剪定の適期です。
枯れ枝や混み合った枝、内側に向かって伸びる不要な枝を切り落とし、樹全体の風通しと日当たりを改善しましょう。
これにより、害虫が隠れる場所を減らし、湿気がこもりにくくなるため、病害虫の予防に直結します。
剪定の際には、イラガの繭やカイガラムシが付着した枝を優先的に切り落とすことも忘れないようにしましょう。
冬(12月~2月)越冬害虫の駆除と徹底した予防策
エゴノキが完全に落葉し休眠期に入る冬は、害虫予防の総仕上げを行う絶好のチャンスです。
葉がないため、枝や幹の状態がよく見え、作業がしやすくなります。
カイガラムシやアブラムシの卵、イラガの繭などが、枝の分岐点や樹皮の隙間でじっと春を待っています。
まずは、ワイヤーブラシや硬めのブラシで幹や太い枝の古い樹皮(粗皮)を軽くこすり落とし、そこに潜むカイガラムシなどを物理的に除去します。
そして、冬の予防策として最も効果的なのが、休眠期用の薬剤散布です。
12月から2月の芽が動き出す前に、「マシン油乳剤」または「石灰硫黄合剤」を散布します。
マシン油乳剤は、害虫を油膜で覆って窒息させる効果があり、カイガラムシやハダニの成虫・卵に有効です。
石灰硫黄合剤は、殺菌・殺虫効果を併せ持ち、様々な病害虫の越冬密度を下げることができます。
これらの薬剤は、生育期に使うと薬害を起こすため、必ず休眠期に使用してください。
散布する際は、枝先から幹の根元まで、樹全体にムラなく薬剤がかかるように丁寧に散布することが重要です。
【害虫別】エゴノキの害虫駆除 具体的な方法を解説
エゴノキに発生する害虫は種類によって生態や効果的な駆除方法が異なります。
ここでは、特に被害の多い代表的な4種類の害虫について、具体的な駆除方法を詳しく解説します。
ご自身の庭のエゴノキの状態と照らし合わせながら、最適な対策を見つけてください。
エゴノネコアシの駆除方法
「エゴノネコアシアブラムシ」によって作られる猫の足のような不思議な形の虫こぶ(ゴール)は、エゴノキの大きな特徴とも言えますが、放置すると見た目を損なうだけでなく、樹勢を弱らせる原因にもなります。
最も効果的で簡単な駆除方法は、虫こぶを見つけ次第、その部分の枝ごと剪定ばさみで切り取り、ビニール袋などに入れて密閉し、燃えるゴミとして処分することです。
虫こぶが形成されてしまうと、内部のアブラムシには薬剤が届きにくくなるため、物理的な除去が最善策となります。
薬剤を使用する場合は、虫こぶが作られる前の4月~5月上旬が勝負です。
新芽が芽吹く頃に、アブラムシが寄生を始めます。
この時期に「オルトラン粒剤」などの浸透移行性殺虫剤を株元に撒くか、「ベニカXファインスプレー」などのスプレータイプの殺虫剤を新芽に散布することで、虫こぶの形成を未然に防ぐことができます。
アブラムシの駆除方法
エゴノネコアシアブラムシ以外の通常のアブラムシも、新芽や若い葉の裏にびっしりと群生し、吸汁してエゴノキを弱らせます。
排泄物は「すす病」を誘発し、葉が黒くなる原因にもなります。
発生初期で数が少ない場合は、薬剤を使わずに駆除できます。
セロハンテープやガムテープを使い、葉裏のアブラムシを貼り付けて取る方法が手軽です。
また、勢いの良いシャワー状の水をかけて洗い流すのも有効です。
大量に発生してしまった場合は、薬剤による駆除が効率的です。
アブラムシに適用のある「モスピラン液剤」や「ベニカXファインスプレー」などを、発生箇所を中心に散布してください。
散布する際は、葉の裏側までしっかりと薬剤がかかるようにするのがポイントです。
>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策
カイガラムシの駆除方法
幹や枝に白や茶色の貝殻のようなものが付着していたら、それはカイガラムシです。
成虫は硬い殻で覆われているため薬剤が効きにくい厄介な害虫です。
数が少ないうちは、古い歯ブラシや竹べら、硬めのスポンジなどで根気よくこすり落とすのが最も確実な方法です。
作業の際は、樹皮を傷つけないように注意しましょう。
薬剤散布で効果を上げるには、幼虫の発生時期である5月下旬から7月頃を狙います。
この時期の幼虫はまだ殻を持たず、移動しているため殺虫剤が効きやすいです。
カイガラムシに効果のある「スミチオン乳剤」などを散布しましょう。
また、成虫や卵が越冬する冬(12月~2月)の落葉期に、「マシン油乳剤」を散布するのも非常に効果的です。
油膜でカイガラムシを窒息させるため、薬剤抵抗性のある個体にも有効な駆除方法です。
>>放置は危険!カイガラムシの駆除業者、費用を安く抑えるコツと探し方
イラガ(毛虫)の駆除方法
イラガの幼虫は、触れると電気が走ったような激しい痛みを引き起こす毒針毛を持つ非常に危険な害虫です。
駆除作業の際は、絶対に素手で触らず、長袖長ズボン、ゴム手袋、帽子、保護メガネを着用し、肌の露出をなくしてください。
幼虫は発生初期には葉の裏に集団で固まっています。
この段階であれば、枝や葉ごと切り落とし、火バサミなどでつまんでビニール袋に入れて処分するのが最も安全で確実です。
幼虫が木全体に広がってしまった場合は、薬剤散布で対応します。
イラガ(毛虫)に効果のある「ベニカS乳剤」や「スミチオン乳剤」などの殺虫剤を使用します。
風のない日に、風上から散布し、薬剤を吸い込んだり浴びたりしないよう注意してください。
また、イラガは冬になると枝や幹に固い繭を作って越冬します。
落葉期にこの繭を見つけ、ヘラなどで剥がして処分することで、翌年の発生を効果的に抑えることができます。
>>イラガ虫の駆除はこれで完璧!発生時期・見つけ方から効果的な駆除方法まで徹底解説
薬剤を使ったエゴノキの害虫駆除 おすすめと注意点
物理的な駆除や剪定だけでは害虫の勢いを止められない場合、薬剤の使用が効果的な選択肢となります。
薬剤は正しく使えば、エゴノキを害虫被害から確実に守る強い味方です。
ここでは、害虫の種類や発生状況に応じたおすすめの薬剤と、安全に使用するための注意点を詳しく解説します。
薬剤を選ぶ際は、必ず対象の害虫と「樹木類」への使用が認められているかラベルを確認しましょう。
使用方法や希釈倍率を守ることが、効果を最大限に引き出し、薬害を防ぐための基本です。
初心者向けの粒剤タイプ(浸透移行性殺虫剤)
薬剤散布に慣れていない方や、手軽に害虫対策を始めたい方には、株元に撒くだけの「粒剤タイプ」がおすすめです。
特に「浸透移行性」を持つ殺虫剤は、有効成分が根から吸収されて植物全体に行き渡るため、直接薬剤がかかりにくい場所にいる害虫にも効果を発揮します。
このタイプの薬剤は、アブラムシやカイガラムシといった、樹液を吸う害虫(吸汁性害虫)の駆除に特に有効です。
効果が1ヶ月以上持続するものも多く、一度撒けば長期間にわたって予防効果が期待できるのも大きなメリットです。
散布時に薬剤が飛散する心配がないため、周辺環境への影響を最小限に抑えたい場合にも適しています。
代表的な製品としては「オルトラン粒剤」や「ベニカXガード粒剤」などがあります。
使用する際は、製品の指示に従い、適切な量をエゴノキの株元に均一に散布してください。
即効性が期待できるスプレータイプの殺虫剤
目の前の害虫をすぐに駆除したい場合には、「スプレータイプ」の殺虫剤が役立ちます。
イラガ(毛虫)が葉を食べているのを見つけた時や、新芽にアブラムシが群がっている時など、ピンポイントで迅速な対応が求められる場面で活躍します。
スプレータイプには、購入してすぐに使えるエアゾール式のものと、水で薄めて噴霧器で散布する液体タイプがあります。
エアゾール式は手軽さが魅力ですが、広範囲の散布には向きません。
エゴノキ全体に薬剤を散布する場合は、液体タイプを希釈して使う方が経済的です。
害虫に直接薬剤をかけることで効果を発揮するため、葉の裏や枝の付け根など、害虫が隠れやすい場所にもしっかりと散布することが重要です。
即効性が高い反面、効果の持続期間は粒剤に比べて短い傾向があるため、発生状況を見ながら定期的に使用する必要があります。
>>プロが選ぶ害虫別のオススメ撃退(駆除)グッズ!置くだけ・スプレー徹底比較
冬の予防散布に使うマシン油乳剤と石灰硫黄合剤
エゴノキが落葉する冬(12月~2月)は、越冬している害虫を駆除し、春以降の発生を抑えるための絶好の機会です。
この時期の予防散布には、「マシン油乳剤」や「石灰硫黄合剤」といった特殊な薬剤が使われます。
マシン油乳剤は、カイガラムシの成虫やハダニ、アブラムシの越冬卵などを油の膜で覆い、窒息させて駆除する薬剤です。
物理的に作用するため、薬剤抵抗性がつきにくいのが特徴です。
比較的安全性が高く、冬の害虫対策の定番として広く利用されています。
一方、石灰硫黄合剤は、殺虫効果に加えて殺菌効果も持ち合わせており、カイガラムシと同時に病気の予防も行いたい場合に有効です。
ただし、独特の強い臭いがあり、アルカリ性が強いため皮膚への刺激や、金属・塗装面を腐食させる性質があります。
使用する際は、保護メガネやゴム手袋を必ず着用し、建物や車などにかからないよう細心の注意が必要です。
これらの薬剤は、必ずエゴノキの葉が完全に落ちた休眠期に使用してください。
新芽が出ている時期に散布すると、深刻な薬害を引き起こす原因となります。
薬剤を散布する際の正しい方法と安全対策
薬剤を安全かつ効果的に使用するためには、正しい方法を守ることが不可欠です。
散布作業を行う際は、以下の点を必ず守ってください。
まず、服装は長袖・長ズボンを着用し、農薬用のマスク、ゴーグル、ゴム手袋で身体を保護します。
散布は、風のない晴れた日の午前中に行うのが最適です。風上から風下に向かって散布し、薬剤が自分にかからないように注意しましょう。
近隣の住宅や洗濯物、ペット、通行人など、周囲の状況にも十分に配慮してください。
散布する際は、ラベルに記載された希釈倍率を厳守し、葉の表だけでなく、害虫が潜みやすい葉の裏や枝の込み入った部分にもムラなくかかるように丁寧に散布します。
使用後は、噴霧器などの器具をしっかりと洗浄し、残った薬剤は子どもの手の届かない冷暗所で施錠して保管しましょう。
作業後は、手や顔などを石鹸でよく洗い、うがいをすることも忘れないでください。
薬剤に頼らないエゴノキの害虫駆除と総合的な予防策
薬剤は害虫駆除に高い効果を発揮しますが、「できるだけ自然な方法で育てたい」「小さな子どもやペットがいるので薬剤は避けたい」と考える方も多いでしょう。
ここでは、薬剤を使わずにエゴノキを害虫から守るための物理的な駆除方法と、害虫が発生しにくい環境を作るための総合的な予防策について詳しく解説します。
これらの方法は、日々の観察と少しの手間が鍵となりますが、環境への負荷が少なく、エゴノキ本来の力を引き出すことにも繋がります。
手で取るブラシでこする 物理的な駆除方法
害虫の数が少ない初期段階であれば、物理的な駆除が最も手軽で確実な方法です。
大切なのは、こまめにエゴノキを観察し、害虫を早期に発見することです。
アブラムシ類やエゴノネコアシアブラムシが新芽や葉に少数発生している場合は、指で潰すか、粘着力の弱いテープを貼り付けて取り除きます。
範囲が広い場合は、ホースの水流で洗い流すのも効果的です。
イラガなどの毒を持つ毛虫は、絶対に素手で触らないでください。
火バサミや割り箸で一匹ずつ捕まえ、踏み潰すか、熱湯をかけて駆除します。
葉の裏にいることが多いので、注意深く観察しましょう。
幹や枝にびっしりと付着するカイガラムシは、成虫になると硬い殻で覆われ薬剤が効きにくくなります。
数が少ないうちなら、使い古しの歯ブラシや竹べらなどで丁寧にこすり落とすのが有効です。
特に、落葉期である冬はカイガラムシが越冬している姿を見つけやすいため、この時期に作業を行うと翌春の発生を大きく減らすことができます。
また、猫の足のような形をした虫こぶ「エゴノネコアシ」を見つけたら、アブラムシが中にいる証拠です。
虫こぶが緑色のうちに枝ごと切り取り、中のアブラムシが出てくる前に袋に入れて密封し、可燃ゴミとして処分してください。
これが最も確実な駆除方法です。
風通しを良くする剪定が最大の予防策
エゴノキの害虫対策において、最も重要で効果的な予防策が「剪定」です。
多くの害虫や病気は、湿気が多く風通しの悪い場所を好みます。
剪定によって枝葉の密集を解消し、樹木全体の風通しと日当たりを良くすることで、害虫が発生しにくい健康な環境を維持できます。
エゴノキの剪定に適した時期は、葉が落ちた後の休眠期である12月~2月です。
この時期は樹形全体が見やすく、木への負担も少ないため、不要な枝を整理する「基本剪定」を行います。
具体的には、以下の枝を中心に切り落とします。
- 内側に向かって伸びる「内向枝」
- 他の枝と交差している「交差枝」
- 勢いよく真上に伸びる「徒長枝(とちょうし)」
- 枯れてしまった「枯れ枝」や弱々しい枝
これらの枝を取り除くだけで、樹木の内部まで光と風が通り抜けるようになります。
これにより、害虫が隠れる場所を減らし、万が一発生した際にも早期発見がしやすくなるというメリットもあります。
また、薬剤を散布する場合でも、薬液が隅々まで行き渡りやすくなり、効果を高めることにも繋がります。
天敵となる益虫を味方につける
庭の生態系を豊かにし、害虫の天敵となる「益虫(えきちゅう)」を味方につけることも、長期的な視点での有効な害虫管理方法です。
益虫とは、害虫を捕食したり、害虫に寄生したりして数を減らしてくれる虫たちのことです。
エゴノキの害虫であるアブラムシを食べてくれる代表的な益虫には、テントウムシ(成虫・幼虫)やヒラタアブの幼虫、クサカゲロウの幼虫などがいます。
これらの益虫は、殺虫剤をむやみに使用しないことで、自然と庭に住み着いてくれます。
益虫が暮らしやすい環境を作るためには、エゴノキだけでなく、様々な種類の植物を植えることが効果的です。
例えば、キク科やセリ科の植物の花は、多くの益虫にとって蜜や花粉の供給源となります。
多様な植物がある庭は、益虫の隠れ家や繁殖場所を提供し、生態系のバランスを保つ手助けとなります。
益虫だけで害虫を完全にゼロにすることは難しいですが、大発生を抑制し、被害を最小限に食い止める力になってくれるでしょう。
まとめ
エゴノキを害虫の被害から守り、可憐な花と実を毎年楽しむためには、害虫の種類と活動時期に合わせた対策が何よりも重要です。
エゴノネコアシアブラムシのようなユニークな虫こぶを作るものから、イラガやテッポウムシといった樹木を衰弱させる害虫まで、その種類は多岐にわたります。
この記事でご紹介したように、害虫対策が「時期が肝心」である理由は、害虫のライフサイクルに合わせて先手を打つことで、大量発生を防ぎ、駆除の手間と樹木へのダメージを最小限に抑えられるからです。
春の新芽の時期にはアブラムシを、冬には越冬するカイガラムシや卵を駆除するなど、年間スケジュールに沿った観察と対策が効果的です。
駆除方法には、薬剤散布から手による物理的な駆除まで様々ありますが、最も重要で効果的な予防策は「適切な剪定」です。
風通しと日当たりを良くすることが、害虫が住み着きにくい環境を作ることにつながり、結果として薬剤の使用を減らすことにも繋がります。
まずは本記事の年間スケジュールを参考に、ご自宅のエゴノキを観察することから始めてみてください。
早期発見と時期を逃さない対策こそが、エゴノキを健やかに育てるための最大の秘訣です。








