
家庭菜園で丹精込めて育てたとうもろこしが、収穫直前に害虫の被害に遭い悔しい思いをしたことはありませんか?
実の中に潜むアワノメイガや、茎や葉にびっしりと付くアブラムシなど、とうもろこしを栽培する上で害虫対策は避けて通れません。
この記事では、とうもろこしに発生する主要な害虫の種類と被害の見分け方、そして害虫が発生する根本的な原因から、具体的な退治・駆除方法までを網羅的に解説します。
農薬を使わない防虫ネットやコンパニオンプランツを活用した予防策から、発生してしまった害虫に効果的な農薬(殺虫剤)の正しい選び方・使い方まで、あなたの栽培スタイルに合った方法が必ず見つかります。
結論として、とうもろこしの害虫対策で最も重要なのは、害虫の生態を理解した上での「発生前の予防」と「被害初期の迅速な対処」です。
この記事を最後まで読めば、害虫に悩まされることなく、甘くてみずみずしい完璧なとうもろこしを収穫するための知識と具体的な手順がすべて手に入ります。
とうもろこしに発生する主な害虫と被害の見分け方
家庭菜園でも人気のとうもろこしですが、甘くて美味しい実は人間だけでなく害虫にとってもごちそうです。
被害に気づいたときには手遅れ、という事態を避けるためにも、まずは敵を知ることが大切です。
ここでは、とうもろこしに発生しやすい主な害虫の種類と、それぞれの被害の特徴、見分け方のポイントを詳しく解説します。
最重要害虫 アワノメイガ
とうもろこし栽培において、最も警戒すべき害虫が「アワノメイガ」です。
この害虫による被害は収穫量や品質に直接影響するため、早期発見と対策が欠かせません。
アワノメイガの生態と被害の特徴
アワノメイガは蛾の一種で、その幼虫がとうもろこしに深刻な被害をもたらします。
成虫は夜間に活動し、葉の裏などに卵を産み付けます。
孵化した幼虫は、まず雄穂(ゆうずい)の花粉を食べ、成長すると茎の内部や、雌穂(しすい)、つまり私たちが食べる実の部分へと侵入します。
茎の内部を食害されると、養分の通り道が断たれて生育不良になったり、強風で茎が折れたりする原因になります。
最も厄介なのは、雌穂の先端のひげ(絹糸)から実の内部に侵入するケースです。
内部で食害が進むため外からは被害が見えにくく、収穫して皮をむいて初めて被害に気づくことも少なくありません。
アワノメイガのフンや食害痕の見つけ方
アワノメイガの被害を早期に発見するには、定期的な観察が重要です。
特に注意して見るべきは、幼虫が排泄する「フン」です。
雄穂の付け根や葉が茎から出ている部分に、おがくずのような茶色い粒々が付着していたら、それはアワノメイガの幼虫が潜んでいるサインです。
このフンは「フラス」とも呼ばれます。
また、茎や実に不自然な小さな穴が開いている場合も、幼虫が侵入した痕跡である可能性が高いです。
雄穂が出始める時期から注意深く株全体をチェックし、フラスや食害痕を見つけ次第、すぐに対処しましょう。
大量発生しやすい アブラムシ
アブラムシは、とうもろこしに限らず様々な植物に発生する代表的な害虫です。
非常に小さく、一体一体の被害は小さく見えますが、驚異的な繁殖力で瞬く間に大群となり、株全体を弱らせてしまいます。
アブラムシの生態と被害の特徴
体長2〜4mmほどの小さな虫で、緑色や黒色など種類によって体色は様々です。
春から秋にかけて長期間発生し、特に風通しの悪い場所で増えやすい傾向があります。
とうもろこしでは、葉の裏や茎、そして雌穂のひげ(絹糸)にびっしりと群生し、植物の汁を吸います。
吸汁されると、とうもろこしは栄養を奪われて生育が悪くなります。
特に、受粉に重要な役割を果たすひげに大量発生すると、受粉がうまくいかず、実の付きが悪い「歯抜け」の状態になる原因となります。
すす病の併発に注意
アブラムシの被害は吸汁だけではありません。
アブラムシは、排泄物として「甘露(かんろ)」と呼ばれる甘くベタベタした液体を出します。
この甘露を栄養源として黒いカビが発生し、葉や茎がすすで覆われたように黒くなる「すす病」を併発することがあります。
すす病になると、葉の光合成が妨げられ、とうもろこしの生育がさらに悪化してしまいます。
また、アブラムシは植物のウイルス病を媒介することもあり、二次的な被害にも注意が必要です。
実を食害する オオタバコガ・ヨトウムシ
アワノメイガと同様に、実を直接食害する厄介な害虫として「オオタバコガ」と「ヨトウムシ」が挙げられます。
オオタバコガの幼虫は、主に雌穂の先端から侵入し、内部の実を食い荒らします。
アワノメイガよりも体が大きく、フンも大きいため、穂先に大量のフンが付着していることで発見しやすいのが特徴です。
一方、ヨトウムシ(夜盗虫)はその名の通り、夜間に活動して葉や若い実を食べる害虫です。
昼間は株元の土の中などに隠れています。
葉が虫に食われて穴だらけになっていたり、若い実がかじられていたりしたら、ヨトウムシの仕業を疑いましょう。
株を弱らせる カメムシ・ハダニ
株全体の生育を阻害する害虫として、カメムシやハダニにも注意が必要です。
カメムシは、若い茎や実に口を刺して汁を吸います。被害を受けた部分は生育が悪くなり、特に実が吸われると、その粒だけが変色したり凹んだりして品質が低下します。
ハダニは0.5mm程度と非常に小さく肉眼では確認しにくい害虫で、主に葉の裏に寄生します。
葉の汁を吸うため、葉に針で刺したような白い小さな斑点が無数に現れ、被害が広がると葉全体が白っぽくカスリ状になり、やがて枯れてしまいます。
乾燥した環境を好むため、梅雨明け後の高温乾燥期に発生しやすくなります。
苗の時期に注意 ネキリムシ
「ネキリムシ」は、カブラヤガなどの蛾の幼虫の総称で、特に植え付け直後の苗の時期に注意が必要な害虫です。
夜間に土の中から現れ、若いとうもろこしの苗の地際部分をかじって食いちぎってしまいます。
朝、畑を見に行くと苗が根元からポッキリと倒れている、という悲惨な光景はネキリムシの仕業です。
被害にあった株の周りの土を浅く掘り返すと、体を丸めた芋虫が見つかることがあります。
せっかく植えた苗が全滅することもあるため、定植後の数週間は特に警戒が必要です。
とうもろこしの害虫が発生する原因
とうもろこしを甘く大きく育てるためには、害虫の発生原因を理解し、事前に対策を講じることが何よりも重要です。
害虫は、ただ偶然やってくるわけではありません。多くの場合、栽培環境に何らかの原因が潜んでいます。
ここでは、害虫を呼び寄せてしまう主な3つの原因、「連作障害」「風通し」「肥料の与え方」について詳しく解説します。
ご自身の畑の状況と照らし合わせながら、害虫が発生しにくい環境づくりを目指しましょう。
連作障害による土壌環境の悪化
「連作障害」とは、同じ場所で同じ科の植物を続けて栽培することで、生育が悪くなる現象のことです。
とうもろこしはイネ科の植物ですが、連作を行うと土壌に様々な問題が生じ、結果として害虫の温床となってしまいます。
まず、土壌中の特定の栄養素がとうもろこしによって過剰に吸収され、栄養バランスが偏ります。
これにより、とうもろこし自体の生育が軟弱になり、害虫に対する抵抗力が低下します。
弱った株は、アワノメイガやアブラムシといった害虫にとって格好のターゲットになるのです。
また、土壌中の微生物の多様性が失われることも大きな問題です。
特定の病原菌や、ネキリムシのような土壌害虫の密度が異常に高まることがあります。
さらに、アワノメイガの蛹(さなぎ)のように、土の中で越冬する害虫が翌年も同じ場所で発生しやすくなるというリスクも抱えています。
これを防ぐためには、とうもろこしを収穫した翌年は、マメ科の枝豆やインゲン、ウリ科のきゅうりなど、異なる科の野菜を栽培する「輪作」を計画的に行うことが非常に効果的です。
輪作が難しい場合は、堆肥や腐葉土をすき込んで土壌改良を行い、土の中の微生物相を豊かにすることを心がけましょう。
風通しの悪い栽培環境
株と株の間が狭かったり、葉が密集しすぎていたりすると、風通しが悪くなります。
風通しの悪い環境は、害虫にとって非常に居心地の良い住処を提供してしまいます。
特に注意したいのが、湿度の上昇です。葉が密集していると、雨や水やり後の水分が乾きにくく、常にジメジメした状態が続きます。
このような高湿度の環境は、アブラムシやハダニといった小さな害虫が大量発生する絶好の条件です。
さらに、カビが原因で起こる「すす病」などの病気を併発するリスクも高まります。
また、葉が込み入っていると、害虫が天敵であるテントウムシなどから身を隠しやすくなります。
これでは、せっかくの益虫の働きも期待できません。
防虫ネットを設置していても、株間が狭いと葉がネットに触れ、その部分からカメムシなどが吸汁したり、産卵したりするケースもあります。
とうもろこしを植え付ける際は、適切な株間(約30cmが目安)を確保し、生育に応じて不要な下葉を取り除くなど、常に風が通り抜ける状態を維持することが、害虫予防の基本となります。
窒素過多の肥料
植物の成長に欠かせない肥料ですが、与え方を間違えると逆効果になり、害虫を引き寄せる原因になります。
特に問題となるのが「窒素(N)」成分の与えすぎです。
窒素は葉や茎を大きくする「葉肥(はごえ)」として知られていますが、これが過剰になると、植物の細胞壁が薄く、全体的に軟弱で水っぽい「徒長」した状態になります。
このような柔らかい株は、アブラムシなどの吸汁性害虫にとって、口の針を刺しやすく、栄養を吸いやすいごちそうに見えてしまいます。
研究によれば、植物体内の窒素濃度が高まると、アミノ酸の量も増加し、これがアブラムシの繁殖を促進させることがわかっています。
つまり、良かれと思って与えた肥料が、アブラムシを大量に呼び寄せ、繁殖させる手助けをしてしまうのです。
対策としては、肥料の三要素である「窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)」のバランスが取れたものを選ぶことが重要です。
特に「カリ(K)」は、根を丈夫にし、植物の抵抗力を高める働きがあります。追肥は、とうもろこしの生育ステージ(雄穂が見える頃など)に合わせて適量を施し、与えすぎにはくれぐれも注意しましょう。
【方法別】とうもろこしの害虫 退治(駆除)と予防策
とうもろこしの害虫対策は、被害が広がる前に行う「予防」と、発生してしまった後に行う「退治(駆除)」の2つの側面から考えることが重要です。
ここでは、ご自身の栽培スタイルや被害状況に合わせて最適な方法を選べるよう、「農薬を使わない方法」と「農薬を使う方法」に分けて、それぞれの具体的な対策を詳しく解説します。
農薬を使わない害虫の退治・予防方法
家庭菜園で無農薬・減農薬栽培を目指す方や、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して実践できる方法です。
化学合成農薬を使わない分、こまめな観察と作業が成功のカギとなります。
防虫ネットを使った物理的な駆除と予防
害虫対策の基本かつ最も効果的な方法が、防虫ネットによる物理的な防御です。
特に、とうもろこしの最重要害虫であるアワノメイガやオオタバコガの成虫は、飛来して実に産卵します。
これを防ぐことで、幼虫による食害を根本から断つことができます。
目の細かさが1mm以下の防虫ネットを選び、株全体をトンネル状に覆うか、雌穂(絹糸)が出始めたらストッキングタイプや不織布の袋を個別に被せましょう。
ただし、受粉の妨げにならないよう、雄穂から花粉が落ちる時期にはネットを一時的に外すか、人工授粉を行うなどの工夫が必要です。
受粉が終わったら、速やかに再度ネットや袋をかけてください。
見つけ次第捕殺する手作業での退治
原始的な方法ですが、発生初期であれば非常に有効な手段です。
アブラムシが群生している場合は、粘着テープで貼り付けたり、水で濡らした歯ブラシなどでこすり落としたりします。
アワノメイガやヨトウムシの幼虫は比較的大きいため、見つけ次第、割り箸などでつまんで捕殺しましょう。
害虫は葉の裏や茎の付け根、雌穂の先端部分などに隠れていることが多いので、日々の水やりと合わせて株全体をよく観察する習慣をつけることが早期発見につながります。
木酢液やニームオイルを活用した対策
自然由来の資材を活用して、害虫を寄せ付けにくくする方法です。
これらは殺虫効果よりも、害虫が嫌う匂いや成分による「忌避効果」を目的として使用します。
木酢液は、規定の倍率(一般的に500〜1000倍)に水で薄めて、定期的に葉面散布します。
独特の燻製のような香りで害虫を遠ざける効果が期待できます。
ニームオイルは、「ニーム」という樹木の種子から抽出されるオイルで、害虫の食欲を減退させたり、脱皮を阻害したりする効果があります。
こちらも規定通りに希釈し、展着剤を混ぜてから散布すると効果が高まります。
いずれも効果が穏やかなため、予防的に週に1回程度、継続して散布するのがおすすめです。
コンパニオンプランツを植える
とうもろこしの近くに特定の植物を植えることで、害虫を遠ざけたり、天敵を呼び寄せたりする効果が期待できます。
これをコンパニオンプランツ(共栄作物)と呼びます。
代表的な例として、とうもろこしの株間にエダマメやインゲンなどのマメ科植物を植える方法があります。
マメ科植物の根に共生する根粒菌が空気中の窒素を土壌に供給し、とうもろこしの生育を助けます。
また、アブラムシの天敵であるテントウムシを呼び寄せる効果も期待できます。
他にも、強い香りで害虫を遠ざけるマリーゴールドやナスタチウムを周囲に植えるのも効果的です。
天敵を利用した生物的防除
害虫を捕食したり、寄生したりする「天敵」が活動しやすい環境を整えることで、害虫の異常発生を抑制する方法です。
例えば、アブラムシを食べるテントウムシやクサカゲロウ、アワノメイガの幼虫に寄生するアワノメイガタマゴバチなどがいます。
これらの天敵を畑に定着させるには、殺虫剤の使用を控え、多様な植物を植えて隠れ家や蜜源を提供することが大切です。
一部の天敵は製剤として市販されており、計画的に放飼することも可能です。
農薬を使った効果的な害虫の退治(駆除)方法
害虫が大量発生してしまった場合や、広い面積で栽培していて手作業での管理が難しい場合には、農薬(殺虫剤)の使用が効果的です。
使用する際は、必ずラベルの指示を守り、正しく安全に使いましょう。
農薬(殺虫剤)の種類と選び方
とうもろこしに使用できる農薬には様々な種類があります。
害虫の種類や発生状況に応じて適切なものを選びましょう。
まず、購入する農薬が「とうもろこし」と対象の「害虫名(アワノメイガなど)」に登録されていることを必ず確認してください。
登録のない農薬の使用は法律で禁止されています。
その上で、作用の異なる農薬を選ぶのがポイントです。
例えば、アワノメイガやオオタバコガには、幼虫が薬剤の付着した葉や実を食べることで効果を発揮する「BT剤(アニキ乳剤など)」や、効果の持続性が高い「プレバソンフロアブル5」「アファーム乳剤」などが有効です。
アブラムシには、植物全体に薬剤が浸透して汁を吸った虫を駆除する浸透移行性の「マラソン乳剤」や「モスピラン顆粒水溶剤」などが効果的です。
とうもろこしへの農薬の正しい使い方と注意点
農薬の効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
- ラベルの熟読: 使用前に必ず農薬のラベル(説明書)を読み、希釈倍率、使用時期、使用回数、収穫前日数を厳守してください。特に収穫前日数は、残留農薬の観点から非常に重要です。
- 適切な時期の散布: アワノメイガ対策では、成虫が産卵する「雄穂の出始め」と「雌穂の出始め(絹糸抽出期)」が最も重要な散布タイミングです。この時期を逃さず、実に潜り込む前の幼虫を駆除することが被害を最小限に抑えるコツです。
- 散布時の注意: 薬剤の吸い込みや皮膚への付着を防ぐため、マスク、ゴーグル、長袖・長ズボン、手袋などの保護具を必ず着用しましょう。散布は風のない日の早朝や夕方に行うのが基本です。
- ローテーション散布: 同じ系統の農薬を連続して使用すると、害虫に薬剤抵抗性がついて効きにくくなることがあります。作用性の異なる複数の農薬を順番に使う「ローテーション散布」を心がけましょう。
【害虫別】効果的な退治(駆除)方法
とうもろこしの栽培で遭遇する害虫は多岐にわたります。
前の章でご紹介した予防策や駆除方法を、ここでは害虫の種類ごとに、より効果的な組み合わせで解説します。
害虫の生態や被害の特性を理解し、最適なタイミングで的確な対策を講じることが、被害を最小限に抑える鍵となります。
アワノメイガの退治と駆除
とうもろこしの最重要害虫であるアワノメイガは、予防を徹底することが何よりも重要です。
一度茎や実の中に侵入されると、農薬の効果も届きにくくなり、駆除が非常に困難になります。
まず、最も効果的な予防策は、種まき直後から収穫期まで、株全体を防虫ネットで覆うことです。
特に、アワノメイガの成虫が飛来し産卵する時期(6月〜8月頃)には必須の対策と言えます。
ネットは0.8mm〜1mm目のものを選び、隙間ができないように裾をしっかりと土で埋めましょう。
農薬を使用する場合は、散布のタイミングが非常に重要です。効果的な散布時期は2回あります。
1回目は雄穂が出始める頃、2回目は雌穂の絹糸(けんし)が出始める頃です。
この時期に、アワノメイガに登録のある農薬を散布します。天然成分由来のBT剤(ゼンターリ顆粒水和剤など)は、人や環境への影響が少なく家庭菜園でも使いやすい選択肢です。
薬剤は、幼虫が潜り込みやすい雄穂の付け根や、雌穂の絹糸に重点的にかかるように散布するのがポイントです。
すでに茎に侵入した形跡(フンや穴)を見つけた場合は、その穴に殺虫剤を注入するか、針金などで幼虫を物理的に駆除します。
アブラムシの退治と駆除
アブラムシは繁殖力が非常に高く、気づいたときには雄穂や葉の裏にびっしりと群がっていることがあります。
そのため、早期発見と迅速な初期対応が被害を拡大させないための鍵となります。
発生がごく初期で範囲が狭い場合は、農薬を使わない方法で対処可能です。
粘着力の弱いテープで貼り付けて取り除いたり、水圧の強いシャワーで洗い流したりする方法が手軽です。
また、食品由来の成分で作られたスプレーや、木酢液、ニームオイルなどを定期的に散布することも、発生を抑制する効果が期待できます。
しかし、すでに広範囲に大量発生してしまった場合は、農薬(殺虫剤)の使用が最も確実で効果的です。
とうもろこしのアブラムシ類に登録のある薬剤を選び、使用方法を守って散布してください。
アブラムシは葉の裏や茎の込み入った部分に潜んでいることが多いため、薬剤が虫に直接かかるように、株全体にまんべんなく散布することが大切です。
アブラムシの排泄物は、すす病を誘発する原因にもなるため、見つけ次第、迅速に対処しましょう。
>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策
オオタバコガ・ヨトウムシの退治と駆除
オオタバコガやヨトウムシは、主にとうもろこしの実を食害する厄介な害虫です。
特にオオタバコガの幼虫は、雌穂の先端から侵入し、絹糸や実を食べてしまいます。
これらの害虫に対しても、アワノメイガ同様、防虫ネットによる物理的な侵入防止が最も効果的な予防策となります。
雌穂が出始めたら、実に個別に袋がけをするのも有効です。
ヨトウムシは夜行性で、日中は株元の土の中に隠れていることが多いため、疑わしい場合は株元の土を少し掘り返して探し、見つけ次第捕殺します。
オオタバコガの幼虫は雌穂の先端にいることが多いので、こまめに確認し、発見したら取り除きましょう。
農薬を使用する場合、アワノメイガとの同時防除が可能な薬剤を選ぶと効率的です。
BT剤(ゼンターリ顆粒水和剤、デルフィン顆粒水和剤など)は、これらのイモムシ類の若齢幼虫に対して高い効果を示します。
散布のタイミングは、雌穂の絹糸が出始める頃が最適です。
薬剤が絹糸の先端部分にしっかりと付着するように散布することで、侵入しようとする幼虫を効果的に駆除できます。
農薬を使用する際は、必ずラベルを確認し、とうもろこしへの登録の有無、使用時期、使用回数を遵守してください。
>>【ヨトウムシ駆除の決定版】知らないと損!プロが教える発生原因から予防法まで
まとめ
本記事では、甘くて美味しいとうもろこしを栽培する上で避けては通れない、害虫の退治(駆除)と予防策について網羅的に解説しました。
最重要害虫であるアワノメイガをはじめ、アブラムシやヨトウムシなど、様々な害虫の生態や被害の見分け方から、具体的な対策までご理解いただけたかと思います。
とうもろこしの害虫対策で最も重要な結論は、「発生させない予防」にあります。
害虫が発生する原因となる連作や風通しの悪さ、窒素過多の肥料を避けるなど、栽培環境を整えることが被害を未然に防ぐ最も効果的な方法です。
まずは防虫ネットで物理的に侵入を防ぎ、日々の観察を怠らないようにしましょう。
万が一、害虫が発生してしまった場合は、早期発見と迅速な対応が鍵となります。
アワノメイガのフンや食害痕、アブラムシの群生など、被害のサインを見つけ次第、手で取り除く、あるいは木酢液やニームオイル、状況に応じて適切な農薬(殺虫剤)を使用するなど、被害の拡大を最小限に食い止めるための行動を起こしましょう。
この記事で紹介した予防策と退治方法を実践し、害虫の悩みから解放され、美味しいとうもろこしの収穫をぜひ実現してください。

