ジャガイモ 害虫 駆除

家庭菜園で丹精込めて育てたじゃがいもの葉が、いつの間にか穴だらけになっていたり、収穫した芋が虫に食われていてがっかりした経験はありませんか?

この記事を読めば、じゃがいも栽培で注意すべきテントウムシダマシやアブラムシといった代表的な害虫の見分け方から、それぞれの生態に合わせた具体的な対策まで、その全てが分かります。

結論から言うと、じゃがいもの害虫対策で最も重要かつ効果的なのは、発生後に慌てて駆除するのではなく「栽培前から害虫を寄せ付けない環境を作る予防」です。

本記事では、農薬に頼らない自然な予防策を軸に、万が一発生した場合の駆除方法、やむを得ず農薬を使う際の安全な知識までを網羅的に解説します。

初心者の方でも安心して実践できるプロの知識を身につけ、今年こそ虫の被害に悩まされない、美味しいじゃがいもの収穫を目指しましょう。

じゃがいも栽培で注意すべき代表的な害虫一覧

じゃがいもを家庭菜園で元気に育てるためには、害虫の存在を早期に発見し、適切に対処することが不可欠です。

害虫は、葉や茎を食べるもの、汁を吸って株を弱らせるもの、そして土の中で芋(塊茎)を直接加害するものなど、様々な種類が存在します。

ここでは、じゃがいも栽培で特に注意すべき代表的な害虫を、被害のタイプ別に分けて詳しく解説します。

それぞれの特徴や被害のサインを知ることで、大切なじゃがいもを害虫から守る第一歩としましょう。

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葉を食害する害虫

葉は光合成を行い、芋を大きくするための栄養を作る重要な器官です。

葉を食べる害虫が発生すると、生育不良に直結し、収穫量の減少につながります。早期発見と対策が重要です。

テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)

益虫であるナナホシテントウとよく似ていますが、テントウムシダマシはじゃがいもをはじめとするナス科の植物を好んで食害する害虫です。

正式名称をニジュウヤホシテントウと言い、名前の通り背中に28個の黒い斑点があります。

ナナホシテントウのような光沢がなく、表面が細かい毛で覆われているのが特徴です。

成虫・幼虫ともに葉の表面を削り取るように食べるため、葉脈だけが網目状に残る独特の食害痕が残ります。

被害が拡大すると株全体の光合成能力が低下し、芋の肥大に深刻な影響を与えます。

ヨトウムシ・ネキリムシ

ヨトウムシ(夜盗虫)やネキリムシ(根切虫)は、主にヨトウガなどのガの幼虫の総称です。

日中は土の中に隠れ、夜になると活動を開始します。

ヨトウムシは葉をムシャムシャと食べ、気づいたときには葉が穴だらけになっていることがあります。

一方、ネキリムシはさらに厄介で、植え付けたばかりの若い苗の地際部分の茎をかじり切ってしまいます。

朝、畑を見に行くと苗が根元から倒されている場合、ネキリムシの被害を疑いましょう。

どちらも発見が遅れると大きな被害につながります。

ハスモンヨトウ

ハスモンヨトウもヨトウムシの一種ですが、特に繁殖力が旺盛で集団で発生するため注意が必要です。

孵化したばかりの若い幼虫は葉の裏に集まり、葉の表面を残して食べるため、葉が白く透けた「かすり状」になります。

成長するにつれて分散し、葉だけでなく、時には土中の芋(塊茎)まで食害することがあります。

食欲が非常に旺盛で、短期間で畑全体に被害が広がる可能性のある恐ろしい害虫です。

汁を吸う害虫

吸汁性の害虫は、直接的な食害痕は目立ちにくいものの、植物の栄養を奪い、株全体をじわじわと弱らせます。

さらに、ウイルス病を媒介する種類も多く、二次的な被害がより深刻になるケースも少なくありません。

アブラムシ類

アブラムシは、じゃがいも栽培において最も警戒すべき害虫の一つです。

体長2~4mmほどの小さな虫で、新芽や若い葉の裏にびっしりと群生し、口針を突き刺して汁を吸います。

吸汁による生育阻害だけでなく、最も恐ろしいのはウイルス病(モザイク病など)を媒介することです。

ウイルス病に感染すると治療法はなく、株が萎縮したり葉が黄変したりして、収穫が絶望的になることもあります。

また、アブラムシの排泄物(甘露)はすす病の原因となり、光合成を妨げます。

ハダニ類

ハダニは非常に小さく肉眼では確認しにくい害虫で、クモの仲間に分類されます。

高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明け後の夏場に多発します。

葉の裏に寄生して汁を吸うため、葉の表面に針で突いたような白い小斑点が無数に現れ、やがて「かすり状」になります。

被害が進行すると葉全体が黄色や褐色に変色して枯れ落ち、株の生育が著しく悪化します。

多発するとクモの巣のような細い糸を張ることもあります。

アザミウマ類

アザミウマ(別名:スリップス)も体長1~2mmと非常に小さく、細長い形をしています。

花や新芽に潜んでいることが多く、葉や花を吸汁します。被害を受けた葉には、ハダニと同様に白いかすり状の斑点が現れたり、銀色に光って見えたりします。

新芽が加害されると葉が奇形になることもあります。

アブラムシと同様にウイルス病を媒介する可能性があり、注意が必要です。

芋(塊茎)を食害する地中の害虫

地上部の生育が順調でも、収穫してみたら芋が穴だらけだった、という悲劇を引き起こすのが土の中に潜む害虫です。

地上からは被害が見えにくいため、事前の土作りや予防が特に重要になります。

コガネムシの幼虫

コガネムシの幼虫は、土の中で生活し、植物の根や芋を食べて成長します。

体をC字型に丸めた乳白色のイモムシ状の姿をしており、家庭菜園ではよく見かける害虫です。

じゃがいもの場合、肥大した芋(塊茎)に潜り込んで内部を食い荒らします。

表面に不規則な穴が開き、そこから腐敗することもあります。

未熟な堆肥などを好むため、土作りの際に完熟堆肥を使うことが予防の基本となります。

ハリガネムシ

ハリガネムシは、コメツキムシの幼虫の総称です。

その名の通り、細長く光沢のある黄色~茶褐色で、針金のように硬い体をしています。

土中を移動しながら芋に侵入し、細いトンネルを掘り進むように食害します。

食害された穴は小さくても、芋の商品価値を著しく損ない、貯蔵中の腐敗の原因にもなります。

一度発生すると根絶が難しく、連作を避けるなどの対策が求められます。

栽培前から始める!じゃがいもの害虫を寄せ付けない予防策

じゃがいも栽培における害虫対策は、発生してからの駆除よりも「いかに発生させないか」という予防が最も重要です。

病害虫に強い健康な株を育て、害虫が寄り付きにくい環境をあらかじめ整えることで、後の管理が格段に楽になります。

ここでは、種芋を植え付ける前の段階から始められる、効果的な予防策を具体的に解説します。

土作りと畑の準備で害虫の発生を抑える

全ての野菜作りの基本である土作りは、害虫予防の第一歩です。

健康な土壌で育ったじゃがいもは病害虫への抵抗力が高まります。

植え付けの2〜3週間前には、完熟した牛ふん堆肥やバーク堆肥を畑にすき込み、土壌中の微生物の多様性を高めましょう。

これにより、土壌環境が改善され、特定の病原菌や害虫が異常繁殖するのを防ぎます。

また、コガネムシの幼虫やネキリムシといった土壌害虫は、植え付け前の「天地返し」で土を深く掘り起こし、寒気にさらすことで駆除できます。

夏場であれば、畑に水を撒いて透明なビニールで覆い、太陽熱で土壌を高温にする「太陽熱消毒」も有効な手段です。

注意点として、じゃがいもは「そうか病」を防ぐためにやや酸性の土壌(pH5.0〜6.0)を好みます。

植え付け直前に石灰を撒いてアルカリ性に傾けると、そうか病のリスクが高まるため、石灰資材の使用は前作の栽培後など、時期をずらして行いましょう。

さらに、トマトやナス、ピーマンといった同じナス科の野菜を続けて栽培する「連作」は、土壌伝染性の病害虫が蓄積する原因となるため、最低でも3〜4年は間隔をあける「輪作」を心掛けてください。

防虫ネット・マルチングの効果的な使い方

物理的に害虫の侵入を防ぐ方法は、農薬に頼らない対策として非常に効果的です。

特に、アブラムシ類やテントウムシダマシ、アザミウマといった飛来してくる害虫には「防虫ネット」が威力を発揮します。

種芋を植え付けた直後から、トンネル支柱などを利用して畑全体を隙間なく防虫ネットで覆いましょう。

アブラムシのような小さな害虫の侵入も防ぐためには、目合いが1mm以下のネットを選ぶのがおすすめです。

ネットの裾は土でしっかりと埋め、風でめくれないように固定することが重要です。

地面をビニールフィルムで覆う「マルチング」も害虫予防に役立ちます。

一般的に使われる黒マルチは、雑草の発生を抑える効果があります。

雑草は害虫の隠れ家や食料となるため、これを防ぐだけでも害虫の発生リスクを低減できます。

さらに、光を反射する「シルバーマルチ」には、その反射光を嫌うアブラムシなどを寄せ付けにくくする忌避効果が期待でき、アブラムシが媒介するウイルス病の予防にも繋がります。

コンパニオンプランツを活用した自然な害虫対策

異なる種類の植物を一緒に植えることで、互いの生育に良い影響を与える「コンパニオンプランツ(共栄作物)」を活用するのも、自然と共存する素晴らしい害虫対策です。

特定の植物が持つ香りや根から分泌される物質が、害虫を遠ざけたり、天敵を呼び寄せたりする効果を利用します。

じゃがいものコンパニオンプランツとして特に有名なのが「マリーゴールド」です。

マリーゴールドの根には、土中のネコブセンチュウを抑制する効果があると言われています。

じゃがいもの畝の周りや株間に植えることで、土壌環境の改善が期待できます。

また、「ネギ」や「ニラ」といったユリ科の植物が持つ独特の強い香りは、アブラムシなどの害虫を遠ざける忌避効果があるとされています。

これらを一緒に植えることで、害虫の飛来を減らす助けとなります。

日々の手入れで差がつく 風通しと水やりのコツ

植え付け後の日々の管理も、害虫を予防する上で欠かせません。

株が密集しすぎると風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなります。

多湿な環境は、疫病などの病気だけでなく、ハダニなどの害虫にとっても好都合な条件となってしまいます。

株間を適切にとり、密植を避けることが基本です。

また、生育初期に行う「芽かき」は、太く丈夫な芋を育てるための重要な作業ですが、同時に株元の風通しを良くする効果もあります。

元気な芽を2〜3本残して他の芽は取り除くことで、株全体に日光が当たりやすくなり、病害虫に強い健全な株に育ちます。

水やりは、土の表面が乾いたら株元にたっぷりと与えるのが基本です。

葉や茎に水がかかると病気の原因になりやすいため、できるだけ株元に静かに注ぐようにしましょう。

発生してしまった害虫の駆除方法を解説

どれだけ丁寧に予防策を講じても、害虫が完全に発生しないとは限りません。

ここでは、実際に害虫が発生してしまった場合の具体的な駆除方法を、環境への負荷が少ない方法から順に解説します。

状況に応じて最適な方法を選択し、大切なじゃがいもを守りましょう。

農薬を使わない自然に優しい害虫駆除

家庭菜園では、できるだけ農薬を使わずに対応したいと考える方も多いでしょう。

化学合成農薬に頼らない、人や環境に優しい駆除方法をご紹介します。

発生初期であれば、これらの方法で十分に対応可能です。

手で取る・テープで捕獲する物理的駆除

最も原始的で、かつ効果的な方法が物理的な駆除です。

テントウムシダマシやヨトウムシの成虫・幼虫など、目に見える大きさの害虫は、見つけ次第、手で捕殺するのが確実です。軍手や割り箸を使うと良いでしょう。

特に活動が鈍る早朝は、捕獲の絶好のタイミングです。

また、アブラムシのように小さな害虫が密集している場合は、粘着テープを貼り付けて剥がすことで、一気に取り除くことができます。

被害が広がらないうちに、こまめに畑を観察し、早期発見・早期駆除を心がけることが重要です。

木酢液やニームオイルなど自然由来の資材を活用する

物理的駆除だけでは追いつかない場合や、さらなる予防効果を期待する場合には、自然由来の資材が役立ちます。

木酢液は、木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の香りで害虫を寄せ付けにくくする忌避効果が期待できます。

規定の倍率に水で薄めて、葉の表裏に散布しましょう。

一方、ニームオイルは「ニーム」という樹木の種子から抽出されるオイルで、害虫の食欲を減退させたり、脱皮を阻害したりする効果があります。

アブラムシやハダニなど、幅広い害虫に効果が認められています。

こちらも水で薄めて使用しますが、展着剤を混ぜると葉に付着しやすくなり、効果が高まります。

天敵を味方につける生物的防除

害虫を食べてくれる「天敵」を畑に呼び込み、自然の力で害虫の数をコントロールする方法です。

例えば、アブラムシの天敵として知られるテントウムシやヒラタアブ、クサカゲロウの幼虫などが畑に住み着いてくれれば、強力な味方になります。

これらの天敵は、様々な花の蜜や花粉もエサにするため、マリーゴールドやカモミールといったコンパニオンプランツをじゃがいもの近くに植えることで、天敵が寄り付きやすい環境を作ることができます。

殺虫剤をむやみに使うと、害虫だけでなくこれらの有益な天敵も殺してしまう可能性があるため、農薬の使用は慎重に判断する必要があります。

やむを得ない場合に使う農薬(殺虫剤)の知識

害虫が大量発生してしまい、自然由来の方法だけでは被害を抑えきれない場合は、農薬(殺虫剤)の使用も選択肢の一つとなります。

農薬は正しく使えば非常に効果的ですが、使い方を誤ると作物や人体、環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。

使用する際は、必ず製品ラベルを熟読し、ルールを守ることが絶対条件です。

じゃがいも栽培で使える農薬の選び方

農薬を選ぶ際に最も重要なのは、その農薬が「じゃがいも」に登録されているかを確認することです。

農薬取締法により、作物ごとに使用できる農薬が定められています。

ラベルの「適用作物名」に「ばれいしょ」または「かんしょを除くいも類」といった記載があることを必ず確認してください。次に、駆除したい「対象害虫名」が記載されているかを見ます。

また、薬剤が害虫に作用する仕組み(食毒性、接触性)や、植物に吸収されて効果を発揮する「浸透移行性」の有無なども確認し、状況に合ったものを選びましょう。

家庭菜園向けには、あらかじめ希釈されていて手軽に使えるスプレータイプや、株元に撒くだけの粒剤タイプが便利です。

農薬の登録情報については、農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認することができます。

農薬の安全な使い方と散布のタイミング

農薬を使用する際は、安全対策を徹底してください。

マスク、ゴーグル、長袖・長ズボン、ゴム手袋などを着用し、薬剤が皮膚に付着したり、吸い込んだりしないようにします。

散布は、風のない日の早朝か夕方に行うのが基本です。日中の高温時に散布すると、薬害(葉が焼けるなど)が出やすくなるほか、薬剤がすぐに蒸発して効果が薄れることがあります。

また、ミツバチなどの有益な昆虫への影響を避ける意味もあります。

ラベルに記載された希釈倍率を厳守し、葉の裏や茎など、害虫が潜んでいる場所にもムラなく散布することが効果を高めるコツです。

さらに、農薬ごとに「使用時期(収穫〇日前まで)」と「総使用回数」が定められています。

これを必ず守り、安全なじゃがいもを収穫しましょう。

【害虫の種類別】具体的な駆除と対策

じゃがいも栽培で遭遇しやすい代表的な害虫について、それぞれの特徴に合わせた具体的な駆除方法と今後のための対策を詳しく解説します。

第2章や第3章でご紹介した予防策や駆除方法の総論を踏まえ、ここでは害虫ごとの実践的なアプローチを見ていきましょう。

テントウムシダマシの駆除と対策

益虫であるナナホシテントウとよく似ていますが、テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)はじゃがいもの葉を食害する厄介な害虫です。

体全体に光沢がなく、細かい毛が生えているのが特徴です。

成虫も幼虫も、葉の表面を削り取るように食べるため、葉が網目状のレースのようになってしまいます。

被害が広がると光合成ができなくなり、じゃがいもの生育に深刻な影響を与えます。

【具体的な駆除方法】

発生初期であれば、見つけ次第、手で捕殺するのが最も確実です。

葉の裏にいることが多いので、こまめにチェックしましょう。

動きが比較的遅いため、捕獲は難しくありません。粘着テープを貼り付けて捕らえるのも効果的です。

数が多く手で取りきれない場合は、じゃがいもに登録のある殺虫剤を使用します。

使用の際は、必ずラベルに記載された使用方法、希釈倍率、収穫前日数を守ってください。

【今後の対策】

テントウムシダマシはナス科の植物を好むため、近くでナスやトマトを栽培している場合は特に注意が必要です。

植え付け時から防虫ネットで畑全体を覆うことで、成虫の飛来と産卵を防ぐことができます。

また、収穫後の株や葉などの残渣(ざんさ)は、越冬場所になる可能性があるため、畑に残さず適切に処分しましょう。

アブラムシの駆除と対策

アブラムシは、新芽や葉の裏にびっしりと群生し、植物の汁を吸う小さな害虫です。

生育を阻害するだけでなく、その排泄物(甘露)が原因で葉が黒くなる「すす病」を誘発したり、植物ウイルス病を媒介したりすることもあるため、早期の対策が重要です。

【具体的な駆除方法】

数が少ないうちは、指で潰すか、粘着テープで取り除きます。

勢いの良い水流で洗い流すのも有効ですが、植物を傷めないように注意してください。

農薬を使いたくない場合は、牛乳を水で薄めたスプレーや、木酢液、ニームオイルなどが利用できます。

ただし、効果は穏やかなので、繰り返し散布する必要があります。

大量に発生してしまった場合は、アブラムシに効果のある登録農薬を散布します。

薬剤抵抗性がつきやすい害虫なので、同じ薬剤の連続使用は避けるのが賢明です。

【今後の対策】

アブラムシはキラキラした光を嫌う性質があるため、シルバーマルチやアルミホイルを株元に敷くことで飛来を抑制できます。

また、天敵であるテントウムシやヒラタアブを呼び寄せるマリーゴールドやカモミールなどのコンパニオンプランツを近くに植えるのも良い方法です。

窒素過多の肥料は、葉を軟弱にしてアブラムシの発生を助長するため、適切な施肥管理を心がけましょう。

>>【即効】大量のアブラムシ駆除に!業者をオススメする理由と知らないと損する退治法と予防策

ヨトウムシ・ネキリムシの駆除と対策

ヨトウムシ(夜盗虫)やネキリムシ(根切虫)は、ヨトウガなどの蛾の幼虫です。

名前の通り、日中は土の中に隠れ、夜になると活動を始めます。

ヨトウムシは葉を暴食し、ネキリムシは植え付けたばかりの若い苗の地際の茎を食いちぎってしまうため、発見が遅れると大きな被害につながります。

【具体的な駆除方法】

夜間に懐中電灯を持って畑を見回り、葉を食べている幼虫を捕殺するのが最も効果的です。

茎が切られている株があったら、その周辺の土を浅く掘り返すと、丸まった幼虫が見つかることがあります。

米ぬかを株元に少量まいておびき寄せ、翌朝に捕殺するという方法もあります。

被害が大きい場合は、デナポン粒剤5などの誘殺剤を株元に散布するのも有効です。

【今後の対策】

植え付け前の土づくりの際に、畑をよく耕して土の中にいる幼虫や蛹(さなぎ)を地表にさらし、野鳥などに食べてもらう機会を作りましょう。

成虫である蛾の飛来と産卵を防ぐため、防虫ネットの設置は非常に効果的です。

また、雑草は幼虫の隠れ家や蛾の産卵場所になるため、こまめに除草することも重要な予防策となります。

>>【ヨトウムシ駆除の決定版】知らないと損!プロが教える発生原因から予防法まで

コガネムシの幼虫の駆除と対策

土の中で生活するコガネムシの幼虫は、じゃがいもの根や芋(塊茎)を直接食害します。

気づかないうちに被害が進行し、収穫してみたら芋が穴だらけだったという事態を招きます。

白くて丸まったC字型の体をしています。

【具体的な駆除方法】

植え付け前の耕うん時や、収穫時に土の中から見つけたら、その都度捕殺します。

被害が毎年多発するような畑では、植え付け時にダイアジノン粒剤5などの土壌混和剤を土に混ぜ込むことで、発生を抑えることができます。

農薬を使用する際は、必ずじゃがいもに登録があることを確認し、用法・用量を守ってください。

【今後の対策】

最も重要な予防策は、未熟な堆肥(たいひ)を使わないことです。

コガネムシの成虫は、堆肥などの未熟な有機物に引き寄せられて産卵する習性があります。

土づくりには、必ず完熟した堆肥を使用しましょう。

また、成虫が活発に活動する初夏から夏にかけて、防虫ネットで畑を覆い、産卵そのものを防ぐのも効果的です。

連作すると土中の幼虫の密度が高まる傾向があるため、輪作を心がけることも大切です。

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まとめ

本記事では、じゃがいも栽培で直面する害虫問題について、その種類から予防策、そして駆除方法までを網羅的に解説しました。

美味しいじゃがいもをたくさん収穫するための最も重要な結論は、害虫を発生させてから駆除するのではなく、そもそも害虫を寄せ付けない「予防」にあります。

安定した栽培成功への鍵は、日々の観察と事前の対策にあるのです。

栽培前の土作りや畝の準備、防虫ネットやマルチングの適切な利用、そしてマリーゴールドなどのコンパニオンプランツの活用は、化学農薬に頼らずとも害虫の発生を大幅に抑える効果があります。

風通しを良くするといった日々の管理も、病害虫のリスクを低減させるために欠かせません。

万が一、テントウムシダマシやアブラムシなどの害虫が発生してしまった場合は、まず手で取り除く、木酢液やニームオイルといった自然由来の資材を活用するなど、環境への負荷が少ない方法から試しましょう。

農薬は、被害が深刻で他の方法では対処できない場合の最終手段と位置づけ、用法・用量を守って正しく使用することが大切です。

この記事で得た知識を活かし、ぜひご家庭でのじゃがいも栽培を成功させてください。