きゅうり 害虫 駆除

家庭菜園で大切に育てているきゅうりに、アブラムシやウリハムシなどの害虫が発生してお困りではありませんか?葉に白い斑点ができたり、穴が開いたりしているのを見つけると、収穫を前にがっかりしてしまいますよね。

きゅうりの害虫対策で最も重要なのは、被害が広がる前の「初期対応」と、害虫が寄り付きにくい環境を作る「予防」です。

この記事では、きゅうりに発生する害虫の症状と原因を特定し、農薬を使わない食酢や牛乳を使った方法から、おすすめの殺虫剤の安全な使い方、さらには防虫ネットやコンパニオンプランツを活用した予防策まで、すぐに実践できる駆除・対策法を10選で徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、初心者の方でも害虫被害を解決し、美味しいきゅうりを安心して収穫できるようになります。

きゅうりの害虫被害 こんな症状はありませんか?

家庭菜園で人気のきゅうりですが、実は多くの害虫にとってもごちそうです。

毎日お世話しているきゅうりに、いつもと違う変化はありませんか?害虫被害は早期発見・早期対策が何よりも重要です。

まずは、きゅうりが発するSOSサインを見逃さないために、代表的な被害症状をチェックしていきましょう。

ご自身のきゅうりの状態と見比べて、どの害虫が原因なのかを突き止めるヒントにしてください。

葉に白い斑点やカスリ状の跡がある

きゅうりの葉の表面をよく観察してみてください。

もし、白い小さな斑点がポツポツとできていたり、白い絵の具をかすらせたような「カスリ状」の跡があったりする場合、それは害虫が葉の汁を吸ったサインです。

この症状を引き起こす主な害虫は「ハダニ類」と「アザミウマ類」です。

ハダニ類は0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。

主に葉の裏に寄生し、植物の汁を吸います。被害が進行すると、葉全体が白っぽくなり、光合成ができなくなって生育が著しく悪化します。

さらに数が増えると、葉の裏にクモの巣のような細かい糸を張ることもあります。

特に梅雨明け後の高温で乾燥した環境を好むため、夏場の被害が拡大しやすくなります。

一方、アザミウマ類(別名:スリップス)も体長1〜2mmほどの小さな害虫で、葉や花、果実を食害します。

葉が被害にあうと、銀白色や褐色のカスリ状の傷跡が残ります。新芽が加害されると葉が奇形になることもあり、きゅうりの成長点にダメージを与えてしまいます。

葉や茎に白い粉がついて虫が飛ぶ

きゅうりの株を揺らしたときに、白い小さな虫がフワッと飛び立つことはありませんか?もし、葉や茎の裏に白い粉やワタのようなものが付着し、同時に白い虫が飛ぶようであれば、「コナジラミ類」が発生している可能性が非常に高いです。

コナジラミは体長1〜2mm程度の白い虫で、その名の通り粉をまとったような見た目をしています。

葉の裏にびっしりと群生し、植物の汁を吸って株を弱らせます。

繁殖力が非常に高く、あっという間に数が増えるため、早期の対策が不可欠です。

また、コナジラミの排泄物である「甘露(かんろ)」はベタベタしており、これを栄養源として「すす病」という黒いカビが発生する原因にもなります。

すす病が葉の表面を覆うと光合成が妨げられ、きゅうりの生育がさらに悪化してしまいます。

葉がギザギザに食べられて穴が開いている

きゅうりの葉が、まるで虫に食べられたかのようにギザギザになっていたり、不規則な形の穴が開いていたりする被害もよく見られます。

これは、食欲旺盛な甲虫やガの幼虫による食害が原因です。

代表的な害虫は「ウリハムシ」です。

オレンジ色で体長7mmほどの甲虫で、成虫はきゅうりの葉を円を描くように食べる特徴的な食害痕を残します。被害が進むと、葉がボロボロの網目状になってしまいます。

さらに厄介なことに、幼虫は土の中で根を食害するため、株全体の元気がなくなってしまうこともあります。

また、「ヨトウムシ(夜盗虫)」の被害も考えられます。

ヨトウムシはガの幼虫で、その名の通り夜間に活動して葉を食い荒らします。

昼間は株元の土の中に隠れているため見つけにくいですが、もし葉に大きな食害痕があるのに昼間は虫が見当たらない場合は、このヨトウムシを疑いましょう。

新芽や葉の裏に小さな虫がびっしりついている

きゅうりの成長点である新芽や、柔らかい若い葉の裏に、緑色や黒っぽい小さな虫がびっしりと群がっているのを見つけたら、それは「アブラムシ類」です。

アブラムシはきゅうりの栽培で最も発生しやすい害虫の一つです。

体長2〜4mmほどで、集団で新芽や葉裏に寄生し、汁を吸います。

汁を吸われた新芽は縮れてしまい、正常に成長できなくなります。アブラムシもコナジラミと同様に甘露を排泄するため、すす病を誘発します。

また、アブラムシの甘露を求めてアリが集まってくるため、「きゅうりの株にアリがたくさんいる」というのもアブラムシ発生のサインになります。

さらに、アブラムシは植物のウイルス病(モザイク病など)を媒介することもあり、病気の原因にもなるため注意が必要です。

きゅうりの実や花に虫がいる

せっかく実ったきゅうりの実や、これから実になるはずの花が害虫の被害にあうこともあります。

実の表面に傷がついていたり、実が変形していたり、花が食べられていたりする場合は、収穫に直接影響するため深刻です。

「ウリハムシ」は葉だけでなく、若い果実の表面をかじって傷をつけることがあります。

傷ついた部分は見た目が悪くなるだけでなく、そこから病原菌が侵入する原因にもなります。

「アザミウマ類」は花の中に潜り込んで加害し、受粉を妨げたり、実の表面に傷をつけて品質を低下させたりします。

さらに注意したいのが、「タバコガ」や「オオタバコガ」の幼虫です。

これらのガの幼虫は、きゅうりの実に小さな穴を開けて中に侵入し、内部を食い荒らします。

外からは小さな穴しか見えなくても、中で食害が進行しているため、気づいたときには手遅れになっていることが多い非常に厄介な害虫です。

なぜ?きゅうりに害虫が発生する主な原因

大切に育てているきゅうりに害虫が発生すると、がっかりしてしまいますよね。

しかし、害虫は理由なく現れるわけではありません。害虫が発生するには、必ず彼らにとって都合の良い「原因」が存在します。主な原因は、きゅうりが育つ「環境」に隠されています。

ここでは、害虫を呼び寄せてしまう3つの主な原因を詳しく解説します。

ご自身の栽培環境と照らし合わせながら、原因を探ってみましょう。原因がわかれば、効果的な対策が見えてきます。

風通しが悪く葉が密集している

きゅうりの害虫発生における最大の原因の一つが「風通しの悪さ」です。

きゅうりは生育旺盛で、次々と葉やツルを伸ばします。これを放置して葉が密集してしまうと、株の内部が蒸れやすくなり、湿度の高い環境が生まれます。

このようなジメジメした場所は、うどんこ病などの病気だけでなく、ハダニやコナジラミといった小さな害虫にとって絶好の住処となるのです。

また、葉が壁のように生い茂っていると、害虫の天敵であるテントウムシなど益虫が内部に入り込めず、害虫を発見しにくくなります。

さらに、いざ農薬や木酢液などを散布しようとしても、密集した葉が邪魔をして薬液が葉の裏側や株元まで届かず、駆除効果が半減してしまうというデメリットもあります。

株間を適切に確保し、定期的な整枝・剪定で風と光が株全体に行き渡るように管理することが、害虫予防の第一歩です。

窒素肥料の与えすぎ

「たくさん収穫したい」という思いから、つい肥料を多めに与えてしまうことはありませんか?特に、葉や茎の成長を促す「窒素(チッソ)」成分の与えすぎは、かえって害虫を呼び寄せる原因になります。

窒素肥料が過剰になると、きゅうりの茎や葉は一見すると青々と元気に茂りますが、細胞壁が薄く軟弱な「メタボ体質」になってしまいます。

このような柔らかくてみずみずしい葉は、アブラムシなどの吸汁性害虫にとって格好のごちそうです。

植物体内のアミノ酸濃度が高まることで、害虫の繁殖を促進させてしまうことも知られています。

窒素過多の株は、病害虫への抵抗力そのものも低下しがちです。

肥料はパッケージに記載された規定量を守り、窒素・リン酸・カリがバランス良く配合されたものを選びましょう。特に追肥のタイミングと量には注意が必要です。

雑草が近くに生い茂っている

畑やプランターの周りに生えている雑草も、きゅうりの害虫発生に大きく関わっています。

多くの人にとって雑草はただの草ですが、害虫にとっては格好の「隠れ家」であり「繁殖場所」です。

特に、アブラムシ、ハダニ、ヨトウムシの幼虫などは、まず周辺の雑草で発生・増殖し、その後きゅうりに移動してきて被害を拡大させることがよくあります。

また、きゅうりにモザイク病などのウイルス病を媒介するアブラムシが、最初にウイルスを保持した雑草に潜んでいるケースも少なくありません。

雑草が生い茂ることで、きゅうりの株元の風通しが悪くなり、多湿な環境を作り出してしまうという問題もあります。

きゅうりを植えている畝(うね)の周りやプランターの周辺は、こまめに除草を行い、常に清潔な状態を保つように心がけましょう。

これにより、害虫の発生源を断ち、被害を未然に防ぐことができます。

すぐできる きゅうりの害虫駆除と対策法10選

きゅうりに発生した害虫は、発見したらすぐに対処することが大切です。

ここでは、家庭菜園でも手軽に実践できる駆除・対策法を「物理的対策」「自然派の対策」「化学的対策」の3つのカテゴリーに分けて10種類ご紹介します。

害虫の発生状況に合わせて、最適な方法を選んで試してみてください。

発生初期に有効な物理的対策

害虫の数がまだ少ない発生初期の段階であれば、農薬を使わずに手作業で取り除く「物理的対策」が非常に効果的です。

環境への負荷も少なく、安全に駆除できるのが最大のメリットです。

対策1 テープや歯ブラシで取り除く

アブラムシやハダニのように、葉の裏などに密集している小さな害虫には、粘着テープや歯ブラシを使った駆除が有効です。

ガムテープやセロハンテープを軽く葉に押し当てて、害虫を貼り付けて取り除きましょう。

また、使い古しの歯ブラシで優しくこすり落とす方法もあります。

どちらの方法も、きゅうりの葉や茎を傷つけないよう、力加減に注意しながら丁寧に行ってください。

対策2 黄色い粘着シートを設置する

アブラムシ(有翅タイプ)やコナジラミ、アザミウマといった飛来する害虫は、黄色に引き寄せられる習性があります。

この習性を利用したのが、市販されている黄色い粘着シートです。

きゅうりの株の近く、害虫の活動が活発な高さに設置することで、飛んできた害虫を捕獲できます。

害虫の大量発生を防ぐだけでなく、どんな虫が発生しているかを把握するためのモニタリングツールとしても役立ちます。

対策3 被害にあった葉や茎を切り取る

害虫による食害がひどい葉や、卵が産み付けられている部分、うどんこ病などの病気が発生した箇所は、思い切って切り取ってしまいましょう。

特に、葉に白い筋を描くハモグリバエ(エカキムシ)の幼虫は葉の内部にいるため、薬剤が効きにくい場合があります。

被害が広がらないうちに、該当する葉や茎を清潔なハサミで剪定し、ビニール袋などに入れて口を縛り、畑の外で処分してください。

これにより、害虫の密度を下げ、病気の蔓延を防ぐことができます。

農薬を使わない自然派の害虫駆除

「できるだけ農薬は使いたくない」という方におすすめなのが、食品や自然由来のものを利用した対策です。

人体や環境に優しく、予防効果も期待できるため、日頃のメンテナンスとして取り入れると良いでしょう。

対策4 食酢や木酢液をスプレーする

食酢や木酢液には、害虫を寄せ付けにくくする忌避効果や、病原菌の繁殖を抑える静菌効果が期待できます。

水で薄めたものをスプレーボトルに入れ、葉の表裏にまんべんなく散布しましょう。

目安として、食酢の場合は水で25~50倍、木酢液の場合は200~500倍に希釈します。

ただし、濃度が濃すぎたり、日中の高温時に散布したりすると、きゅうりの葉を傷める「薬害」の原因になるため注意が必要です。

使用する製品の指示に従い、まずは一部の葉で試してから全体に散布することをおすすめします。

対策5 重曹スプレーで病害虫を予防する

重曹(炭酸水素ナトリウム)は、きゅうりに発生しやすい「うどんこ病」の予防に効果的です。

水1リットルに対して重曹1g(1000倍希釈)を溶かし、展着剤の代わりとして食用油を数滴加えたものをスプレーします。

病気の予防が主な目的ですが、アブラムシなどの柔らかい体の害虫に対しても一定の忌避効果が期待できます。

アルカリ性のため、こちらも高濃度での使用は避けましょう。

対策6 牛乳スプレーでアブラムシを窒息させる

アブラムシが大量発生してしまった場合に試したいのが、牛乳スプレーです。

牛乳と水を1:1の割合で混ぜたものをアブラムシに直接吹きかけると、乾く過程で牛乳の膜がアブラムシの気門(呼吸するための穴)を塞ぎ、窒息させる効果があります。

散布後は、牛乳が腐敗して悪臭やカビの原因となるため、数時間後には必ず水でしっかりと洗い流してください。

対策7 天敵(テントウムシなど)を呼び寄せる

害虫を食べてくれるテントウムシやヒラタアブ、クサカゲロウといった「天敵」が住みやすい環境を作ることも、有効な対策の一つです。

これらの益虫はアブラムシを好んで捕食します。

天敵を呼び寄せるには、キク科(カモミールなど)やセリ科(ディル、フェンネルなど)の植物をきゅうりの近くに植えるのが効果的です。

多様な生物がいる環境を作ることで、特定の害虫だけが異常発生するのを防ぎます。

どうしても減らないときの化学的対策

害虫が大量に発生し、物理的・自然派の対策では手に負えなくなった場合は、化学農薬(殺虫剤)の使用を検討します。

効果は高いですが、使用方法を誤ると作物や人体に影響を及ぼす可能性があるため、必ず製品ラベルの指示を厳守してください。

対策8 きゅうりに使えるおすすめの殺虫剤

家庭菜園で使いやすい殺虫剤には、スプレータイプや粒剤など様々な種類があります。

購入する際は、必ずパッケージに「きゅうり」への使用が認められているかを確認してください。

例えば、アブラムシやハダニ、うどんこ病などに幅広く効果がある「ベニカXネクストスプレー」や、株元に撒くことで根から成分が吸収され、効果が持続する「オルトラン粒剤」などが代表的です。

害虫の種類や発生状況に応じて適切な薬剤を選びましょう。

対策9 農薬の安全な使い方と注意点

農薬を使用する際は、安全のために以下の点を必ず守ってください。

  • ラベルを熟読し、「対象作物」「対象害虫」「希釈倍率」「使用時期」「総使用回数」を確認する。
  • 散布時はマスク、手袋、保護メガネを着用し、肌の露出を避ける。
  • 風の弱い早朝や夕方に行い、近隣の畑や住宅に飛散しないよう配慮する。
  • 「収穫前日数」を厳守する。これは、農薬を使用してから収穫できるまでの最低限の日数です。

対策10 コンパニオンプランツを植える

化学農薬の使用をできるだけ減らすためにも、ぜひ取り入れたいのがコンパニオンプランツ(共栄作物)です。

きゅうりの近くに特定の植物を植えることで、害虫を遠ざける効果が期待できます。

例えば、ネギやニラを一緒に植えると、その強い香りでウリハムシを忌避する効果があると言われています。

また、マリーゴールドの根から出る成分は、根に寄生するネコブセンチュウの密度を抑制する効果が知られています。

もう悩まない 害虫を寄せ付けないための予防策

きゅうりの害虫対策において、発生してしまった害虫を駆除することも大切ですが、それ以上に重要なのが「そもそも害虫を寄せ付けない」ための予防策です。

害虫が発生しにくい環境をあらかじめ作っておくことで、農薬の使用を減らし、栽培の手間を大幅に軽減できます。

ここでは、誰でも簡単に取り組める効果的な予防策を3つご紹介します。

日々の栽培管理に一手間加えるだけで、きゅうりを健康に育て、美味しい実をたくさん収穫しましょう。

防虫ネットで物理的にガードする

害虫対策の基本中の基本であり、最も確実な方法の一つが防虫ネットの活用です。

特に、アブラムシ、コナジラミ、アザミウマ、ウリハムシといった飛来してくる害虫に対して絶大な効果を発揮します。

これらの害虫は、食害だけでなく、ウイルス病を媒介することもあるため、物理的に侵入を防ぐことが病気の予防にも繋がります。

防虫ネットを選ぶ際は「目合い」のサイズが重要です。

防ぎたい害虫の種類に合わせて選びましょう。

例えば、コナジラミやアザミウマなどの非常に小さい害虫を防ぐには0.6mm以下、アブラムシ対策なら0.8mm程度、ウリハムシやヨトウムシの成虫(蛾)のような比較的大きな害虫であれば1mmの目合いが目安となります。

家庭菜園で幅広く対策したい場合は、0.8mm前後のものを選ぶと良いでしょう。

設置方法は、支柱をアーチ状に立ててトンネル掛けにするのが一般的です。きゅうりの成長に合わせてネットが葉に触れないよう、余裕を持った高さの支柱を使いましょう。

最も大切なポイントは、ネットの裾を土に埋めたり、U字ピンなどで押さえたりして、地面との間に隙間を作らないことです。

せっかくネットを張っても、隙間から害虫が侵入しては意味がありません。なお、ハチなどによる自然受粉をさせたい場合は、開花の時間帯にネットを一時的に開ける必要があります。

シルバーマルチでアブラムシを忌避する

きゅうりの畝に「シルバーマルチ」を敷くことも、非常に効果的な害虫予防策です。

シルバーマルチは、太陽光を強く反射する特性を持っており、そのキラキラした光を嫌うアブラムシやアザミウマなどを寄せ付けにくくする忌避効果があります。

農林水産省も、アブラムシ類の防除対策として光反射資材(シルバーポリフィルム等)の利用を推奨しています。

特にアブラムシは、きゅうりに深刻な被害をもたらす「きゅうりモザイク病」などのウイルス病を媒介するため、その飛来を防ぐことは安定した収穫に不可欠です。

シルバーマルチは、このアブラムシ対策としてプロの農家でも広く利用されている信頼性の高い資材です。

さらに、シルバーマルチには害虫忌避以外にも多くのメリットがあります。

夏の強い日差しによる地温の過度な上昇を抑制したり、雑草の発生を防いだり、雨による泥はねを防止して病原菌の感染リスクを低減したりと、一石三鳥以上の効果が期待できます。

使い方は、苗を植え付ける前に畝全体を覆うように敷き、カッターなどで植え穴を開けて定植するだけです。

株が大きく成長して葉がマルチを覆ってしまうと光の反射効果は薄れますが、生育初期の害虫被害を大幅に減らすことができます。

適切な株間管理と整枝剪定

きゅうりの栽培環境を良好に保つことも、害虫を予防する上で欠かせません。

その鍵となるのが「風通し」と「日当たり」の確保です。

これらを改善するために、適切な株間管理と定期的な整枝・剪定を行いましょう。

まず、苗を植え付ける際には、品種の推奨する株間(一般的には50cm以上)を必ず守ってください。株間が狭すぎると、葉が密集して風通しが悪くなり、株元に湿気がこもりやすくなります。

このような環境は、うどんこ病などの病気だけでなく、湿気を好むハダニやコナジラミといった害虫の格好の住処となってしまいます。

また、きゅうりは生育旺盛なため、放っておくと葉やツルがどんどん茂ってきます。

定期的に「整枝・剪定」を行い、株全体の風通しと日当たりを確保することが重要です。

具体的には、病気にかかった葉や黄色くなった下葉、混み合っている部分の葉を摘み取る「摘葉」や、子づるや孫づるの数を調整する作業が挙げられます。

これにより、害虫が隠れる場所を減らし、万が一発生した場合でも早期に発見しやすくなるというメリットもあります。

健全な株は害虫に対する抵抗力も強くなるため、日々の丁寧な管理が最大の予防策と言えるでしょう。

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まとめ

本記事では、きゅうりに発生する害虫の症状から、その原因、そして具体的な駆除・対策方法までを網羅的に解説しました。

きゅうりに害虫が発生する主な原因は、「風通しの悪さ」「窒素肥料の与えすぎ」「雑草の繁茂」にあり、これらが害虫にとって格好の住処や産卵場所となってしまいます。

対策としては、発生初期に有効なテープや歯ブラシを使った物理的な除去から、食酢や重曹などを使った農薬に頼らない自然派の方法、そして最終手段としての農薬使用まで、状況に応じた10の対策をご紹介しました。

特に重要なのは、害虫は数が少ないうちに対処することです。

早期発見・早期対策が被害を最小限に食い止める最大のポイントです。

しかし、最も効果的な害虫対策は、発生させないための「予防」にあります。

防虫ネットやシルバーマルチで害虫の侵入を物理的に防ぎ、適切な株間管理と剪定で風通しを良くすることが、結果的に農薬の使用を減らし、安定した収穫へと繋がります。

この記事で紹介した原因と対策を参考に、まずはご自身のきゅうりの状態をよく観察し、できることから試してみてください。

適切な管理と少しの手間をかけることで、害虫の悩みから解放され、みずみずしく美味しいきゅうりをたくさん収穫できるはずです。