ヌートリア 駆除

ヌートリアによる農作物やため池への被害にお困りではないでしょうか。

ヌートリアの駆除には、法律に基づく許可が不可欠です。

この記事では、ご自身で駆除する手順から業者に依頼する場合の費用相場、活用できる補助金制度、そして失敗しない優良業者の選び方まで、駆除に関する全ての情報を網羅的に解説します。

安全かつ経済的に被害を解決するための知識が身につきます。

目次

ヌートリアによる被害でお困りではありませんか

「最近、畑の野菜が何者かに食べられてしまう」「家の近くの川や用水路で、大きなネズミのような動物を見かけるようになった」そんなお悩みはありませんか?その正体は、特定外来生物に指定されている「ヌートリア」かもしれません。

ヌートリアは見た目の印象とは裏腹に、私たちの生活や農業に深刻な被害をもたらす厄介な動物です。

放置しておくと、被害はどんどん拡大してしまいます。この記事では、ヌートリアが引き起こす具体的な被害について詳しく解説します。

ヌートリアは特定外来生物です

ヌートリアは、南米原産の大型のげっ歯類です。見た目は大きなドブネズミやビーバーに似ており、オレンジ色(だいだい色)の大きな前歯が特徴的です。

もともとは第二次世界大戦中に軍用の毛皮を生産するために日本に持ち込まれましたが、その後、飼育されていた個体が逃げ出したり、毛皮の需要がなくなって野に放たれたりしたことで全国に広がりました。

繁殖力が非常に強く、天敵も少ないため、日本の環境に定着してしまいました。

その結果、日本の生態系や農林水産業に大きな被害を与えることから、現在は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき、特定外来生物に指定されています。

この法律により、ヌートリアの飼育、栽培、保管、運搬、輸入、野外への放出などが原則として禁止されています。

放置は危険 ヌートリアが引き起こす被害とは

ヌートリアは年に2〜3回出産し、一度に平均5頭ほどの子を産むなど、非常に高い繁殖力を持っています。

そのため、一匹見かけただけと油断していると、あっという間に数が増え、被害が深刻化する恐れがあります。

被害は農作物への食害だけでなく、私たちの生活基盤であるインフラ設備にまで及び、大変危険です。

具体的にどのような被害があるのか見ていきましょう。

農作物への食害

ヌートリアは草食性で、特に水辺の植物を好んで食べますが、行動範囲にある農作物も容赦なく食い荒らします。

被害に遭いやすい作物は、イネ、サツマイモ、ニンジン、ダイコン、カボチャ、ハクサイ、レンコンなど多岐にわたります。

特に、収穫間際の柔らかく栄養価の高い部分を好むため、農家にとっては深刻な経済的打撃となります。

田植え直後の若い稲が食べられたり、野菜を根こそぎ引き抜かれたりする被害が全国で報告されており、家庭菜園も例外ではありません。

ため池や堤防の破壊

ヌートリアが引き起こす被害の中で、最も危険視されているのが巣穴掘りによるインフラへのダメージです。

ヌートリアは水辺の土手やため池の堤防、河川の堤防、水路の畦(あぜ)などに、直径20cmほどの巣穴を掘って生活します。

この巣穴は水面下に入口があり、内部は複雑なトンネル状になっていることが多く、長さが10メートル以上に及ぶこともあります。

多数の巣穴が掘られると、堤防や土手の内部がスカスカのもろい状態になってしまいます。

その結果、大雨や洪水が発生した際に堤防の強度が保てず、決壊するリスクが著しく高まります。

また、農業用のため池や水路が破壊されると、水漏れによって水田の水管理に支障をきたすなど、農業全体に影響が及ぶ可能性もあります。

このように、ヌートリアの巣穴は、私たちの財産や生命を脅かす重大な危険因子となるのです。

ヌートリアの駆除は法律上の許可が必要です

「庭や畑にヌートリアが出て困っているから、すぐにでも捕まえたい」とお考えになるかもしれませんが、ヌートリアの捕獲や駆除は誰でも自由に行えるわけではありません。

ヌートリアは「特定外来生物」であると同時に、「鳥獣保護管理法」の対象動物でもあるため、捕獲・駆除を行うには法律に基づいた正式な許可が必要不可欠です。

もし許可なく捕獲してしまうと、厳しい罰則が科される可能性があります。

安全かつ合法的に駆除を進めるために、まずは関連する法律について正しく理解しておきましょう。

鳥獣保護管理法と外来生物法について

ヌートリアの駆除を複雑にしているのが、「鳥獣保護管理法」と「外来生物法」という2つの法律です。

それぞれが異なる目的を持ち、ヌートリアの取り扱いを規制しています。

まず「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」は、野生の鳥類と哺乳類(鳥獣)を保護・管理するための法律です。

この法律により、ヌートリアを含むすべての野生鳥獣は、原則として許可なく捕獲・殺傷することが禁じられています。

ただし、農作物への被害防止や生活環境の保全といった正当な理由がある場合に限り、自治体から「許可捕獲」の許可を得ることで、捕獲が可能になります。

一方、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」は、海外から持ち込まれ、日本の生態系や農林水産業に悪影響を及ぼす生物(特定外来生物)を規制するための法律です。

ヌートリアはこの特定外来生物に指定されており、環境省の定義に基づき、飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入などが原則として禁止されています。

特に注意が必要なのは「生きたままの運搬」の禁止です。

たとえ駆除目的で捕獲したとしても、許可なく生きたヌートリアを別の場所へ移動させることはできません。

つまり、ヌートリアを駆除するためには、鳥獣保護管理法に基づく「捕獲の許可」を得た上で、外来生物法に違反しないよう適切に取り扱う必要があるのです。

これらの手続きは複雑に思えるかもしれませんが、通常は市町村などの自治体が窓口となり、両方の法律を遵守した形で許可申請の手続きを進めることになります。

無許可での捕獲は罰則の対象になります

もし法律で定められた許可を得ずにヌートリアを捕獲・駆除した場合、厳しい罰則が科せられます。これは「知らなかった」では済まされないため、絶対に無許可で行わないでください。

鳥獣保護管理法に違反して無許可でヌートリアを捕獲した場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

さらに、外来生物法に違反した場合の罰則はより重く設定されています。

例えば、許可なく特定外来生物であるヌートリアを飼育したり、生きたまま運搬したりすると、個人には「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」が、法人には「1億円以下の罰金」が科されることがあります。

安易な判断が、深刻な法的トラブルにつながる危険性をはらんでいるのです。

ヌートリアによる被害にお困りの場合でも、決して自己判断で捕獲しようとせず、必ずお住まいの自治体の担当窓口(農林課や環境課など)に相談し、法的な手続きを踏んでから対策を進めるようにしましょう。

ヌートリアの駆除方法 自分でやるか業者に頼むか

ヌートリアの駆除を検討する際、大きく分けて「自分で駆除する」か「専門業者に依頼する」かの2つの選択肢があります。

どちらの方法にもメリットとデメリットが存在するため、ご自身の状況や被害の深刻度、かけられる費用や手間などを総合的に考慮して、最適な方法を選ぶことが重要です。

ここでは、それぞれの方法の特徴を詳しく解説します。

自治体の許可を得て自分で駆除する方法

費用を抑えたい場合、自治体の許可を得てご自身でヌートリアを駆除するという選択肢があります。

しかし、この方法は専門的な知識や多大な労力、そして精神的な負担を伴うため、安易に選ぶべきではありません。

【メリット】

  • 専門業者に依頼するよりも費用を安く抑えられる可能性があります。主な費用は、箱罠の購入またはレンタル代、そして処分にかかる実費程度です。
  • 自分のスケジュールに合わせて駆除作業を進めることができます。

【デメリット】

  • 法律上の手続きが必須:ヌートリアの捕獲には、鳥獣保護管理法や外来生物法に基づき、お住まいの自治体への捕獲許可申請が絶対に必要です。無許可での捕獲は法律違反となり、罰則の対象となります。
  • 専門知識と手間が必要:ヌートリアの生態や習性を理解した上で、効果的な場所に箱罠を設置する必要があります。知識がないと、なかなか捕獲できない可能性があります。
  • 危険が伴う:ヌートリアは見た目によらず気性が荒い一面があり、追い詰められると人間に向かってくることがあります。鋭い歯で噛まれると大怪我につながる恐れがあるため、捕獲や運搬の際には細心の注意が必要です。
  • 捕獲後の処分:捕獲したヌートリアは、法律や自治体の指導に基づき、ご自身で適切に処分(止め刺しや埋設など)しなければなりません。これは非常に大きな精神的・肉体的負担となります。

このように、自分で駆除する方法は費用面での魅力はありますが、法律の遵守、安全性、捕獲後の処分といった多くの課題をクリアする必要があります。

これらのリスクや手間を十分に理解した上で検討することが不可欠です。

プロの駆除業者に依頼する方法

安全かつ確実にヌートリアを駆除したいのであれば、専門の駆除業者に依頼するのが最も現実的で効果的な方法です。

費用はかかりますが、それに見合う多くのメリットがあります。

【メリット】

  • 法律手続きの代行:面倒な自治体への許可申請などを代行してくれる業者が多く、法的なリスクを心配する必要がありません。
  • 安全性と確実性:プロの知識と経験に基づき、被害状況や現地の環境を調査した上で、最も効果的な方法で安全に駆除を行います。専門的な機材や技術を駆使するため、捕獲の成功率も格段に高まります。
  • 捕獲から処分まで一任:ヌートリアの捕獲はもちろん、その後の処分まで一貫して任せることができます。自分で手を下す必要がないため、精神的な負担が一切ありません。
  • 再発防止策の提案:駆除して終わりではなく、ヌートリアが再び侵入・定着しないように、巣穴の封鎖や侵入経路の遮断といった再発防止策まで提案・施工してくれる場合があります。
  • 時間と労力の節約:調査から駆除、処分、再発防止まで全てを任せられるため、ご自身の貴重な時間や労力を割く必要がありません。

【デメリット】

  • 費用がかかる:当然ながら、専門家への依頼には費用が発生します。被害の規模や作業内容によって金額は変動します。
  • 業者選びが重要:残念ながら、中には経験が浅かったり、不当に高額な料金を請求したりする業者も存在します。信頼できる優良な業者を見極める必要があります。

ヌートリアは特定外来生物であり、その繁殖力と環境への影響から、迅速かつ確実な対応が求められます。

被害が拡大する前に、また法的なトラブルや安全面でのリスクを避けるためにも、まずは専門の駆除業者に相談してみることを強くお勧めします。

自分でヌートリアを駆除する具体的な方法と流れ

ヌートリアの駆除は、専門業者に依頼するだけでなく、法律に基づいた適切な手順を踏めば自分で行うことも可能です。

しかし、無許可での捕獲は法律違反となるため、必ずルールを守らなくてはなりません。

ここでは、ご自身でヌートリアの駆除を行う場合の具体的な方法と、安全に進めるための流れを詳しく解説します。

まずは自治体へ捕獲の許可申請を行う

ヌートリアを自分で捕獲・駆除するためには、最初にお住まいの地域の自治体へ許可申請を行う必要があります。

これは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」および「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」によって定められた義務です。

申請の窓口は、市役所や町村役場の農林水産担当課や環境保全課など、自治体によって異なります。

まずは電話などで担当部署を確認し、必要な手続きについて相談しましょう。

申請には、一般的に以下の書類が必要となります。

  • 捕獲許可申請書
  • 捕獲を行う場所を示した地図や図面
  • 使用する捕獲用具(箱罠など)の構造がわかる写真や図
  • 被害状況がわかる写真

自治体によっては、被害対策を目的とした住民による捕獲を支援するため、箱罠の無料貸し出しを行っている場合があります。

申請時に併せて確認してみることをおすすめします。

許可が下りるまでには数週間かかることもあるため、被害を確認したら早めに手続きを進めましょう。

外来生物法に関する詳細は、環境省のウェブサイトでも確認できます。

箱罠を使った捕獲方法

ヌートリアの捕獲には、生け捕りにするための「箱罠」を使用するのが一般的です。

安全かつ効果的に捕獲するために、設置場所や餌の選び方が重要になります。

箱罠の設置場所

ヌートリアは水辺で活動するため、効果的な設置場所は彼らの生活圏内に絞られます。

以下のポイントを参考に、最適な場所を選定してください。

  • 巣穴の出入り口付近:ヌートリアが掘った巣穴の近くは、最も捕獲しやすい場所の一つです。
  • 水辺への通り道:川やため池から陸に上がる際の足跡が残っている場所や、草が踏み固められた「けもの道」は絶好の設置ポイントです。
  • 被害が発生している農地周辺:農作物を食べている現場の近くに設置することで、被害を直接防ぐ効果も期待できます。

箱罠を設置する際は、地面が平らで安定した場所を選び、罠がぐらつかないように杭などで固定します。

また、ヌートリアは警戒心が強いため、木の枝や葉、枯れ草などで罠をカモフラージュすると、捕獲率が高まります。

効果的な餌

ヌートリアは草食性で、特に甘みのある野菜や果物を好みます。

餌には以下のようなものが効果的です。

  • サツマイモ
  • ニンジン
  • カボチャ
  • リンゴ
  • 米ぬか

餌を仕掛ける際は、罠の奥の踏み板の上だけでなく、罠の入り口から奥に向かって点々と配置するのがコツです。

これにより、ヌートリアが警戒せずに罠の内部へとおびき寄せられ、捕獲の成功率が上がります。

捕獲後の適切な処分方法

ヌートリアを捕獲した後の処分は、法律と倫理観に基づき、適切に行わなければなりません。

特定外来生物であるヌートリアは、生きたまま他の場所へ運搬したり、飼育したりすることが法律で固く禁じられています。

そのため、捕獲した個体は、原則として捕獲したその場所で処分(止め刺し)する必要があります。

処分方法については、動物にできるだけ苦痛を与えない「安楽死」が基本となります。

具体的な方法としては、炭酸ガスによる致死や沈水などが自治体のマニュアルで示されている場合がありますが、必ず事前に自治体の担当者に確認し、指示に従ってください。

処分後の死体は、私有地内であれば土地所有者の許可を得て、1メートル以上の深さに埋設するのが一般的です。

これは、他の動物が掘り返したり、悪臭が発生したりするのを防ぐためです。自治体によっては清掃センターなどで引き取ってくれる場合もあるため、こちらも併せて確認しましょう。

河川や公園などの公共の場所に遺棄することは絶対にやめてください。

自分で駆除作業を行う際の注意点

自分でヌートリアの駆除作業を行う際は、安全と衛生に最大限の注意を払う必要があります。

以下の点を必ず守ってください。

噛みつきによる怪我に注意

ヌートリアは普段おとなしく見えますが、罠にかかるなどして追い詰められると非常に攻撃的になります。

特にオレンジ色で鋭い大きな門歯(前歯)で噛まれると、大怪我につながる危険があります。

作業中は必ず厚手の皮手袋やゴム手袋、長靴を着用し、肌を露出しない服装を心がけましょう。

罠に近づく際も、ヌートリアを刺激しないように静かに行動してください。

感染症のリスク

ヌートリアは、レプトスピラ症を引き起こす病原菌やE型肝炎ウイルス、その他さまざまな寄生虫を保有している可能性があります。

これらの病原体は、糞尿や血液を介して人間に感染することがあります。

捕獲個体や死体に直接素手で触れることは絶対に避け、作業後は必ず石鹸での手洗いやうがい、アルコール消毒を徹底してください。

罠の定期的な見回り

箱罠を設置した後は、毎日見回りを行うことが義務付けられています。

長期間放置すると、捕獲されたヌートリアが衰弱死してしまったり、対象外の動物(タヌキやアライグマ、猫など)が誤ってかかってしまったりする可能性があるためです。

誤って他の動物を捕獲した場合は、速やかに放獣してください。

また、子どもやペットが罠に近づかないよう、設置場所には注意喚起の標識(許可証や連絡先を明記)を必ず掲示しましょう。

ヌートリア駆除を業者に依頼する場合の費用相場

専門の駆除業者にヌートリア駆除を依頼する場合、費用は被害状況や作業内容、業者によって大きく変動します。

安易に「格安」を謳う業者に飛びつくのではなく、費用の内訳や相場を理解した上で、慎重に依頼先を検討することが重要です。

一般的に、ヌートリアの駆除にかかる費用総額は、おおよそ50,000円~150,000円程度が目安となりますが、被害が広範囲に及ぶ場合や、大掛かりな再発防止策が必要な場合は、これを上回ることもあります。

正確な料金を知るためには、必ず複数の業者から現地調査の上で見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

ヌートリア駆除にかかる費用の内訳

駆除業者が提示する見積もりは、主に以下の項目で構成されています。

どこまでが基本料金に含まれ、何がオプションとなるのかを事前に確認しましょう。

  • 基本料金・出張費
    作業員が現場へ向かうための基本的な料金です。業者によっては、現地調査費や相談料がこの中に含まれる場合や、別途「出張費」「交通費」として請求される場合があります。
  • 現地調査費
    ヌートリアの生息状況、巣穴の場所、被害の範囲などを詳しく調査するための費用です。多くの優良業者は、この現地調査と見積もり提示までを無料で行っています。
  • 捕獲作業費
    箱罠の設置、定期的な見回り、捕獲作業そのものにかかる費用です。捕獲する頭数に応じて料金が変動するプランと、一式で料金が固定されているプランがあります。
  • 捕獲後の処分費
    捕獲したヌートリアは、鳥獣保護管理法や外来生物法に基づき、適切に処分する必要があります。この法令遵守の処分にかかる費用です。
  • 再発防止対策費
    捕獲後の再発を防ぐための作業費用です。巣穴の埋め戻し、侵入経路となる隙間を金網やパンチングメタルで塞ぐ、電気柵や防護ネットを設置するなど、対策の内容によって費用は大きく変わります。
  • 清掃・消毒費
    ヌートリアの糞尿による汚染がひどい場合に、清掃、消毒、消臭作業を行うための費用です。衛生環境を改善し、感染症のリスクを低減します。

被害状況や作業内容別の費用感

駆除費用は、依頼する作業の範囲によって大きく異なります。

以下に、作業内容別の費用感の目安をまとめました。

捕獲作業のみを依頼する場合

巣穴の封鎖などの対策は自分で行い、捕獲と処分のみを業者に依頼するケースです。

比較的費用を抑えられますが、再発のリスクは残ります。

  • 費用目安:50,000円~100,000円程度

※捕獲頭数が1〜2頭程度で、作業が比較的容易な場合の目安です。

捕獲作業と再発防止策を合わせて依頼する場合

最も一般的で効果的なプランです。捕獲から巣穴の封鎖、侵入経路の遮断までを一貫して行います。

被害の規模によって費用は変動します。

  • 小規模な対策(巣穴の埋め戻し、数カ所の侵入口封鎖など)の費用目安:80,000円~200,000円程度
  • 大規模な対策(広範囲にわたるフェンス設置、堤防の補強など)の費用目安:200,000円~

※特に堤防や水路の法面(のりめん)補強など、土木作業が伴う場合は費用が高額になる傾向があります。

追加料金が発生するケース

最初の見積もり金額から追加で料金が発生する可能性もあります。

契約前に、どのような場合に追加料金がかかるのかを必ず確認しておきましょう。

  • 想定以上の頭数を捕獲した場合
    「1頭あたり〇〇円」という料金体系の場合、見積もり時の想定頭数を超えて捕獲されると追加料金が発生します。
  • 罠の設置期間が延長された場合
    ヌートリアの警戒心が強く、なかなか捕獲できないために罠の設置期間や見回りの回数が増えた場合に追加費用を請求されることがあります。
  • 高所・狭所など特殊な場所での作業
    床下や屋根裏(ヌートリアのケースは稀ですが)、急斜面など、作業に危険や手間が伴う場所での作業には、特殊作業費が加算されることがあります。
  • 夜間・早朝・深夜の作業
    業者の営業時間外に緊急対応を依頼した場合、割増料金がかかるのが一般的です。
  • 見積もり範囲外の作業を追加で依頼した場合
    「ついでに糞の清掃もお願いしたい」「見積もりにはなかったが、あそこの穴も塞いでほしい」など、契約後に作業を追加すると、もちろんその分の費用が加算されます。

トラブルを避けるためにも、契約書や見積書の内容を隅々まで確認し、不明な点は作業開始前に解消しておくことが肝心です。

ヌートリア駆除で活用できる補助金や助成金制度

ヌートリアの駆除を専門業者に依頼したり、自分で捕獲するための箱罠を購入したりする場合、ある程度の費用がかかります。

しかし、特定外来生物であるヌートリアによる農業被害や生態系への影響は深刻な問題であるため、国や多くの自治体では駆除にかかる費用負担を軽減するための補助金や助成金制度を設けています。

これらの制度をうまく活用することで、経済的な負担を抑えながら効果的な駆除対策を進めることが可能です。

制度の内容は自治体によって大きく異なるため、まずはお住まいの地域の情報を確認することが第一歩となります。

お住まいの自治体の補助金制度を確認

ヌートリア駆除に関する補助金制度は、お住まいの市区町村によって対象者、対象経費、補助率、上限額などが様々です。

まずは、ご自身の状況が補助の対象となるかを確認しましょう。

一般的に、以下のような補助制度が存在します。

  • 捕獲用具購入費補助: ヌートリアを捕獲するための箱罠などの購入費用の一部を補助する制度です。費用の1/2から2/3程度、上限額を設けて補助されるケースが多く見られます。
  • 捕獲報奨金(奨励金)制度: 捕獲したヌートリア1頭あたりにつき、一定額の報奨金が支払われる制度です。金額は自治体により異なりますが、1頭あたり数千円が相場です。
  • 専門業者への駆除委託費用補助: 専門の駆除業者へ依頼した際の費用の一部を補助する制度です。個人ではなく、農家や自治会、土地改良区などが対象となる場合が多い傾向にあります。

これらの情報を調べるには、お住まいの市区町村の役場にある担当部署(農政課、林務課、環境保全課、鳥獣対策担当課など)へ直接問い合わせるのが最も確実です。

また、自治体の公式ウェブサイトで「ヌートリア 駆除 補助金」や「有害鳥獣 捕獲 助成」といったキーワードで検索することでも情報を得られます。

国の関連情報として、農林水産省が鳥獣被害対策に関する様々な情報を提供しています。お住まいの自治体の情報とあわせて参考にするとよいでしょう。

参考: 農林水産省 鳥獣被害対策コーナー

補助金申請の流れと注意点

補助金や助成金を利用するには、定められた手順に沿って申請を行う必要があります。

手続きをスムーズに進めるために、一般的な流れと注意点を把握しておきましょう。

【一般的な申請の流れ】

  1. 事前相談と申請: まずは自治体の担当窓口に連絡し、補助金の対象となるか、どのような書類が必要かを確認します。その上で、申請書や事業計画書、見積書(業者依頼の場合)、被害状況がわかる写真などを提出します。重要なのは、必ず駆除作業や罠の購入を行う「前」に申請することです。事後申請は認められないケースがほとんどですので注意してください。
  2. 交付決定通知の受領: 提出された書類を元に自治体が審査を行い、補助金の交付が適当と判断されると「交付決定通知書」が届きます。この通知を受け取ってから、実際の駆除作業や用具の購入に着手します。
  3. 駆除の実施・用具の購入: 交付決定の内容に従い、ヌートリアの駆除作業や箱罠の購入を行います。
  4. 実績報告書の提出: 事業が完了したら、領収書や作業完了報告書、捕獲したヌートリアの写真など、指示された書類を揃えて「実績報告書」を提出します。
  5. 補助金の交付: 実績報告書の内容が審査され、問題がなければ指定した金融機関の口座に補助金が振り込まれます。

【申請時の注意点】

  • 申請期間と予算: 補助金制度は年度ごとに予算が組まれており、申請期間が定められています。また、予算の上限に達した時点で受付が終了となる場合もあるため、被害を確認したら早めに相談・申請することが重要です。
  • 書類の準備: 申請には様々な書類が必要です。記入漏れや添付書類の不備があると、手続きが大幅に遅れる原因となります。事前に必要なものをリストアップし、不明な点は担当窓口に確認しながら準備を進めましょう。
  • 対象条件の確認: 「農業被害が発生している農地での駆除に限る」「自治会単位での申請のみ受け付ける」など、補助の対象となるための細かな条件が設けられている場合があります。申請前に条件をよく確認してください。

失敗しない優良なヌートリア駆除業者の選び方

ヌートリアの駆除は、法律の知識と専門的な技術が必要なため、業者選びが非常に重要です。

料金の安さだけで安易に選んでしまうと、「許可なく駆除を行っていた」「追加料金を請求された」「被害が再発した」といったトラブルに発展しかねません。

ここでは、信頼できる優良なヌートリア駆除業者を見分けるための4つのポイントを詳しく解説します。

狩猟免許や自治体の許可の有無を確認する

ヌートリア駆除の前提として、法的な許可を得ているかどうかは最も重要な確認項目です。

ヌートリアは「鳥獣保護管理法」の対象動物であり、同時に「特定外来生物」にも指定されています。

そのため、捕獲や駆除には専門の資格と行政の許可が不可欠です。

優良な業者は、必ず以下の資格や許可を保有しています。

  • 狩猟免許(わな猟免許など):スタッフが駆除作業に必要な国の資格を保有していること。
  • 自治体からの捕獲許可:駆除を行う市区町村から「有害鳥獣捕獲許可」や「特定外来生物の防除に係る確認・認定」を受けていること。

これらの許可の有無は、業者の公式ウェブサイトで確認したり、問い合わせの際に直接質問したりして必ずチェックしましょう。

優良な業者であれば、資格や許可証の提示にも快く応じてくれます。環境省のウェブサイトで、お住まいの地域の防除認定業者を確認することも可能です。

現地調査と見積もりが丁寧か

信頼できる業者は、契約前に必ず現地調査を行い、被害状況を正確に把握したうえで見積もりを提示します。

電話やメールだけで安易に金額を提示する業者は、後から高額な追加料金を請求してくる可能性があるため注意が必要です。

現地調査や見積もりの際には、以下の点をチェックしましょう。

  • 現地調査の丁寧さ:ヌートリアの巣穴の場所や数、侵入経路、被害の範囲などを隅々まで確認しているか。こちらの質問に対して、専門知識に基づき分かりやすく説明してくれるか。
  • 見積書の明確さ:見積書の内訳が「作業一式」などと曖昧に記載されておらず、「捕獲作業費」「罠設置費」「処分費」「出張費」など、項目ごとに料金が明記されているか。
  • 作業内容の説明:どのような方法で、どのくらいの期間をかけて駆除を行うのか、具体的な計画を説明してくれるか。
  • 追加料金の有無:どのような場合に追加料金が発生するのか、その条件や金額について事前に明確な説明があるか。

少なくとも2〜3社から相見積もりを取り、料金だけでなく、調査の丁寧さや担当者の対応、提案内容を総合的に比較検討することをおすすめします。

駆除実績と口コミを参考にする

ヌートリアの生態や習性を熟知し、駆除経験が豊富な業者ほど、効率的で安全な作業が期待できます。

業者の実績や第三者からの評判も重要な判断材料になります。

  • 駆除実績の確認業者のウェブサイトに、具体的な駆除事例(写真付きであればより信頼性が高い)が掲載されているかを確認しましょう。特に、農地やため池、公共施設など、ご自身の被害状況と似たケースでの実績が豊富にあれば、安心して任せやすくなります。
  • 口コミや評判の確認Googleマップのレビューや害獣駆除専門の比較サイト、SNSなどで、実際にその業者を利用した人の口コミを確認しましょう。良い評価だけでなく、万が一悪い評価があった場合に、業者がどのような対応をしているかもチェックすると、その業者の誠実さが分かります。ただし、口コミはあくまで個人の感想であるため、参考情報の一つとして捉えましょう。

再発防止策まで提案してくれるか

ヌートリアを一度駆除しても、周辺に生息地がある限り、再び被害が発生する可能性があります。

そのため、単に捕獲して終わりではなく、将来的な再侵入を防ぐための対策まで考えてくれるかどうかが、優良業者を見極める大きなポイントです。

プロの業者は、駆除作業とあわせて以下のような再発防止策を提案してくれます。

  • 侵入経路の封鎖ヌートリアが侵入する可能性のある隙間や穴を、金網やパンチングメタルなどで物理的に塞ぐ。
  • 巣穴の処理駆除後に巣穴を放置すると、別の個体が利用する可能性があるため、適切に埋め戻す。
  • 環境整備のアドバイス餌となる野菜くずなどを放置しない、巣を作りやすい藪(やぶ)を刈り払うなど、ヌートリアが寄り付きにくい環境づくりのための具体的なアドバイスを行う。

駆除後の保証制度(一定期間内に再発した場合に無償または割引で対応してくれるサービス)の有無も確認しておくと、より安心です。

駆除から再発防止まで、トータルでサポートしてくれる業者を選びましょう。

駆除後の対策 ヌートリアを寄せ付けないための予防方法

ヌートリアの駆除を一度行っても、周辺の環境が変わらなければ再び別の個体が侵入し、被害が再発する可能性があります。

駆除作業と並行して、ヌートリアが寄り付きにくい環境を整えることが、長期的な被害対策として非常に重要です。

ここでは、誰でも取り組める具体的な予防方法を3つのポイントに分けて解説します。

侵入経路を物理的に塞ぐ

ヌートリアの侵入を防ぐ最も効果的な方法は、物理的に敷地内に入れないようにすることです。

特に農地やため池など、被害が発生しやすい場所では、柵の設置が有効です。

ヌートリアは、地面に穴を掘って柵の下をくぐり抜けようとします。

そのため、フェンスや金網を設置する際は、網目の細かいもの(5cm角以下が目安)を選び、柵の下部を30cm以上地面に埋め込むか、L字型に折り曲げて地面に固定する「掘り起こし防止」の対策を施しましょう。

また、ヌートリアは泳ぎが得意なため、水路や用水路が侵入経路になることも少なくありません。

水路の出入り口にも金網を設置するなどの対策が求められます。

より強力な対策として、電気柵の設置も非常に効果的です。電気柵はヌートリアに電気ショックを与えて追い払うもので、心理的なバリアとしても機能します。

餌となるものをなくす

ヌートリアがあなたの土地に居着くのは、そこに豊富な餌があるからです。餌となるものを徹底的に管理し、ヌートリアにとって魅力のない場所にすることが大切です。

畑では、ニンジン、サツマイモ、カボチャといったヌートリアが好む作物の収穫漏れや、畑に放置された規格外の野菜(残渣)が格好の餌になります。

収穫後は速やかに片付け、畑に残渣を放置しないようにしましょう。

家庭菜園や庭でも同様で、生ゴミを出す際は蓋がしっかりと閉まる容器に入れる、コンポストは動物が掘り返せないように管理するなどの工夫が必要です。

また、可愛らしい見た目から安易に餌付けをすることは、被害を深刻化させ、周辺地域全体に迷惑をかける行為です。

絶対に餌を与えないでください。

巣穴を作らせない環境整備

ヌートリアは、川岸やため池の土手など、水辺の斜面に巣穴を掘って繁殖します。

巣穴を作りにくい環境を維持することで、定着を防ぐことができます。

ヌートリアは警戒心が強く、身を隠せる場所を好みます。

そのため、巣作りの候補地となりやすい土手や岸辺の草むら、藪を定期的に刈り払い、見通しを良くすることが効果的です。

開けた場所は外敵から見つかりやすくなるため、ヌートリアは巣作りをためらいます。

草刈りは、ヌートリアの姿を早期に発見し、侵入に気づくきっかけにもなります。

もし巣穴と思われる穴を見つけても、むやみに埋め戻すのは避けてください。

別の場所を掘り進めたり、被害が拡大したりする恐れがあります。まずは専門の駆除業者やお住まいの自治体の担当部署に相談しましょう。

まとめ

ヌートリアによる農作物や堤防への被害は深刻なため、発見したら放置せず迅速な対処が不可欠です。

駆除には鳥獣保護管理法などの許可が必要で、無許可の捕獲は罰則対象となります。

ご自身での対応も可能ですが、安全性と確実性を考慮するなら専門業者への依頼が賢明です。

費用は自治体の補助金で軽減できる場合もあります。

優良な業者を選び、駆除後の再発防止策まで徹底することが、被害を根本から解決する鍵となります。

 


駆除ザウルス