庭木に発生したカイガラムシ、放置は危険です。
見た目が悪いだけでなく、植物を枯らし「すす病」などの病気を引き起こすため、早急な駆除が欠かせません。
結論として、カイガラムシの完全な駆除は専門知識を持つプロの業者への依頼が最も確実で、結果的に費用を抑えることにも繋がります。
この記事を読めば、駆除業者の費用相場から安く抑えるコツ、信頼できる業者の探し方まで全てが分かります。
目次
カイガラムシの放置が危険な理由とは
お庭の植木や大切に育てている観葉植物に、白い綿のようなものや茶色い貝殻のようなものがびっしりと付着しているのを見つけたことはありませんか?それは「カイガラムシ」かもしれません。
「ただの虫だから」と軽く考えて放置してしまうと、植物が枯れるだけでなく、厄介な病気を引き起こすなど、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。
ここでは、カイガラムシの放置がいかに危険であるか、その具体的な理由を詳しく解説します。
お庭や植物を枯らすカイガラムシの生態
カイガラムシは、カメムシ目に属する昆虫の一種で、日本国内だけでも400種類以上が確認されています。
その多くは、ロウ物質や硬い殻で体を覆っており、一度植物に定着するとほとんど動かないため、虫というよりは植物の「できもの」のように見えることもあります。
カイガラムシの最も恐ろしい点は、その加害方法にあります。
彼らは植物の幹や枝、葉にストローのような細い口針(こうしん)を突き刺し、植物が生きるために必要な栄養分(師管液)を吸い取ってしまいます。これを「吸汁加害」と呼びます。
栄養を奪われた植物は、徐々に元気がなくなり、以下のような症状が現れます。
- 葉の色が悪くなる、黄色く変色する
- 新芽の生育が止まる
- 葉が落ちたり、枝が枯れたりする
- 果樹の場合、実のつきが悪くなる、品質が低下する
被害が深刻化すると、植物は抵抗力を失い、最終的には株全体が枯死してしまうことも少なくありません。
特に、繁殖力が旺盛なため、気づいたときにはびっしりと増殖しており、手遅れになっているケースも多いのがカイガラムシの厄介な特徴です。
すす病やこうやく病など二次被害のリスク
カイガラムシの被害は、直接的な吸汁加害だけにとどまりません。
むしろ、放置することで発生する「二次被害」のほうが深刻な問題となる場合があります。
カイガラムシは、吸汁した養分の中から不要な糖分を「甘露(かんろ)」と呼ばれる甘くベタベタした液体として排泄します。
この甘露が葉や枝、幹に付着することで、さまざまな問題を引き起こします。
代表的な二次被害が「すす病」です。
甘露を栄養源にして黒いカビ(すす病菌)が繁殖し、植物の表面がまるで黒いすすで覆われたようになってしまいます。
すす病が発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、葉の表面を覆ったカビが太陽光を遮るため、植物の光合成が妨げられます。
これにより、植物の生育はさらに悪化し、衰弱を早める大きな原因となります。
また、カイガラムシの分泌物や死骸を栄養にして「こうやく病」という病気が発生することもあります。
これは、木の幹や枝に、まるで膏薬(こうやく)を貼り付けたようなカビの病斑ができる病気で、樹木の美観を損ね、樹勢を弱らせる原因となります。
さらに、甘露の甘い匂いに誘われてアリが集まってくることも問題です。
アリは甘露をもらう代わりに、カイガラムシの天敵であるテントウムシなどを追い払ってしまいます。
その結果、カイガラムシは天敵から守られ、ますます繁殖しやすい環境が作られてしまうのです。
庭木やベランダの植物の周りでアリを頻繁に見かけるようになったら、それはカイガラムシが発生しているサインかもしれません。
カイガラムシ駆除は業者に頼むべき?自分でできる?
大切に育てている庭木やお気に入りの観葉植物に、白い綿のようなものや茶色い貝殻のようなものが付着していたら、それはカイガラムシかもしれません。
カイガラムシを発見したとき、多くの方が「自分で駆除できるのか、それとも専門の業者に頼むべきか」と悩むことでしょう。
結論から言うと、発生状況によって最適な対処法は異なります。
発生初期で範囲が狭ければご自身での駆除も可能ですが、大量発生している場合や高所に発生している場合は、プロの業者に依頼するのが最も安全で確実な方法です。
ここでは、ご自身で駆除する方法とその限界、そしてプロに依頼するメリットを詳しく解説します。
自分でカイガラムシを駆除する方法と限界点
カイガラムシの数がまだ少なく、手の届く範囲に発生している場合は、ご自身で対処することも可能です。
主な駆除方法は「薬剤の使用」と「物理的な除去」の2つです。
それぞれの方法と、セルフ駆除の限界について見ていきましょう。
薬剤(マシン油乳剤など)を使った駆除
薬剤を使った駆除は、広範囲に散布できるため効率的な方法です。カイガラムシに効果のある薬剤にはいくつかの種類があります。
代表的なのが「マシン油乳剤」です。これはカイガラムシの体を油膜で覆い、窒息させて駆除する薬剤です。
成虫は硬い殻で覆われているため殺虫成分が効きにくいのですが、マシン油乳剤は物理的に作用するため効果が期待できます。
主に植物が休眠期に入る冬(12月~2月頃)に使用するのが一般的です。
また、幼虫が発生する5月~7月頃には、浸透移行性の殺虫剤(例:スミチオン乳剤、アクテリック乳剤など)が有効です。
このタイプの薬剤は植物が成分を吸収し、その樹液を吸ったカイガラムシを駆除します。
ご使用の際は、必ず製品のラベルに記載された使用方法、対象植物、希釈倍率を守ってください。
薬剤によっては特定の植物に使えない場合もあるため、注意が必要です。
歯ブラシやヘラでこすり落とす物理的な駆除
薬剤を使いたくない場合や、カイガラムシの数が少ない場合には、物理的にこすり落とす方法が最も確実です。
使い古しの歯ブラシや、木を傷つけにくい竹べら、プラスチック製のヘラなどを使って、カイガラムシを一つひとつ丁寧に取り除きます。
作業の際は、枝や幹を傷つけないように力加減に注意してください。
また、こすり落としたカイガラムシが地面に落ちて他の植物に移動したり、卵が残ったりしないよう、下にビニールシートなどを敷いておき、作業後は集めて確実に処分しましょう。
この方法は手間と時間がかかりますが、薬剤に頼らないため環境への負荷が少なく、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して行えます。
高所や大量発生時のセルフ駆除は困難
ご自身での駆除には限界点もあります。特に以下のケースでは、無理をせず専門業者への依頼を検討すべきです。
- 高所での発生:脚立を使っても届かないような高い木の枝に発生した場合、無理な作業は転落事故につながる危険があります。安全を最優先に考えましょう。
- 大量発生:カイガラムシがびっしりと枝や幹を覆うほど大量に発生してしまうと、物理的な駆除では時間がかかりすぎ、見落としも多くなります。薬剤を散布しても、密集したカイガラムシの内側まで薬剤が届かず、完全に駆除しきれないことがほとんどです。
- 見えない場所での発生:枝が込み入った部分や葉の裏側など、目の届きにくい場所に潜んでいるカイガラムシをすべて見つけて駆除するのは非常に困難です。少しでも残っていると、そこから再び繁殖してしまいます。
これらの状況で中途半端な駆除を行うと、時間と労力をかけたにもかかわらず再発を繰り返し、最終的に植物が弱ってしまう可能性があります。
根絶を目指すなら、プロの力を借りるのが賢明な判断です。
プロの駆除業者に依頼する3つのメリット
自分での駆除が難しいと感じたら、迷わずプロの業者に相談しましょう。
専門業者に依頼することで、個人では得られない大きなメリットがあります。
- 専門知識と専用機材による徹底的な駆除
プロの業者は、カイガラムシの種類や生態、植物の状態を見極め、最も効果的な薬剤と散布時期を選定します。高圧噴霧器などの専用機材を使用するため、高所や枝葉の密集した場所にもムラなく薬剤を届かせることができ、駆除の精度が格段に上がります。見落としがちな場所まで徹底的に駆除し、再発のリスクを最小限に抑えてくれます。 - 危険な作業や手間から解放される
高所での作業や、長時間の駆除作業には危険と手間が伴います。業者に依頼すれば、そうした身体的な負担やリスクから解放されます。特に、忙しくてご自身で作業する時間を確保できない方にとっては、プロに任せることで時間と労力を大幅に節約できるという大きなメリットがあります。 - 剪定や再発防止策までトータルで相談できる
カイガラムシは、日当たりや風通しが悪い場所に発生しやすい性質があります。多くの植木屋や造園業者は、駆除作業とあわせて、原因となる環境を改善するための「剪定」も依頼できます。不要な枝を整理して風通しを良くすることで、カイガラムシが再発しにくい環境を整えることができます。駆除から予防まで、庭木全体の健康をトータルでサポートしてもらえるのはプロならではの強みです。
カイガラムシ駆除業者の費用相場と料金体系
カイガラムシの駆除をプロの業者に依頼する場合、最も気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用面ではないでしょうか。
結論から言うと、カイガラムシ駆除の費用は、被害状況や庭木の状況によって大きく変動するため、定価が存在しません。
しかし、料金が決まる仕組みと費用相場を事前に把握しておくことで、業者から提示された見積もりが適正価格かどうかを判断する重要な基準になります。
ここでは、カイガラムシ駆除にかかる費用の内訳と、具体的な相場について詳しく解説します。
料金が決まる仕組み 植木の高さや本数で変動
カイガラムシ駆除業者の料金は、主に「作業費」に「出張費」や「薬剤費」などを加算して算出されます。
多くの業者では、料金体系の基本となる作業費を、植木の高さや本数に応じて設定しています。
料金が変動する主な要因は以下の通りです。
- 植木の高さ
最も料金に影響する要素です。木が高くなるほど、脚立や高所作業車が必要になり、作業の危険度も増すため料金が高くなります。一般的に「3m未満の低木」「3m~5mの中木」「5m以上の高木」といった区分で料金が設定されています。 - 植木の本数や作業範囲
駆除対象となる木の本数が増えれば、その分作業時間と使用する薬剤の量が増えるため、料金も加算されます。庭全体の駆除を依頼する場合は、作業面積(㎡)で見積もりを出す業者もあります。 - 被害の深刻度
カイガラムシが大量に発生し、びっしりと付着している場合は、駆除に手間と時間がかかります。薬剤散布だけでなく、手作業での除去が必要になることもあり、料金が高くなる傾向にあります。 - 作業の難易度
作業場所が狭い、急な斜面にある、隣家との距離が近いなど、作業環境が悪い場合は、安全対策や特別な配慮が必要になるため、追加料金が発生することがあります。 - 剪定作業の有無
カイガラムシは風通しの悪い場所に発生しやすいため、駆除と同時に剪定を依頼するのが効果的です。もちろん剪定作業分の料金は追加されますが、セットで依頼することで単体で頼むよりも割安になるケースが多くあります。 - 出張費・駐車場代
業者の拠点から現場までの距離に応じて出張費が加算されます。また、作業車両を停めるスペースがない場合は、近隣のコインパーキング代が実費で請求されるのが一般的です。
カイガラムシ駆除の費用相場一覧
カイガラムシ駆除の費用は、業者や作業内容によって異なりますが、一般的な相場は存在します。
ここでは、「木1本あたりの単価制」と「庭全体の作業での一式料金」の2つのパターンに分けて費用相場を紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせ、見積もりを取る際の参考にしてください。
木1本あたりの費用相場(薬剤散布のみ)
植木の高さ別に料金を設定している場合の費用相場です。1本だけの依頼だと割高になったり、最低作業料金(例:8,000円~)が設定されていたりする場合があるので注意が必要です。
植木の高さ | 費用相場(1本あたり) | 備考 |
---|---|---|
~3m(低木) | 3,000円 ~ 8,000円 | 脚立で作業できる高さ。比較的安価に依頼できます。 |
3m ~ 5m(中木) | 8,000円 ~ 15,000円 | 長い脚立や三脚が必要になり、作業の難易度が上がります。 |
5m以上(高木) | 15,000円 ~ 30,000円 | 高所作業車が必要になる場合もあり、料金は高額になります。7m以上は別途見積もりとなることが多いです。 |
※上記の料金はあくまで目安です。被害状況や業者によって金額は変動します。
庭全体の作業での費用相場
複数の木が被害にあっている場合や、庭全体の予防を依頼する場合は、「半日・1日あたりの作業料金」や「一式料金」で見積もりが出されることもあります。
- 時間単位の料金:作業員1名あたり1時間3,000円~5,000円程度が相場。これに出張費や薬剤費が加わります。
- 半日(3~4時間)作業:15,000円 ~ 25,000円程度
- 1日(6~8時間)作業:25,000円 ~ 40,000円程度
これらの料金は、複数の業者から見積もりを取ることで、より正確な相場観を掴むことができます。
実際に、様々な事業者を比較できるプラットフォーム「くらしのマーケット」などでも、お住まいの地域の業者料金を確認できるため、参考にしてみるのも良いでしょう。
最終的な料金は、必ず現地調査後の正式な見積書で確認することが重要です。
カイガラムシ駆除の費用を安く抑える4つのコツ
カイガラムシの駆除を業者に依頼すると、数万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。
こでは、プロの駆除業者に依頼する際に、少しでも費用を安くするための4つの具体的なコツをご紹介します。
複数の業者から相見積もりを取る
カイガラムシ駆除の費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法が、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。
同じ作業内容であっても、業者によって料金設定や作業範囲が異なるため、1社だけの見積もりで決めてしまうと、相場より高い料金を支払ってしまう可能性があります。
最低でも3社程度の業者に連絡し、見積もりを依頼しましょう。
その際、単に総額の安さだけで判断するのは危険です。
見積書に記載されている以下の項目をしっかりと比較検討することが重要です。
- 作業内容の内訳(薬剤散布、物理的駆除、発生源の特定など)
- 使用する薬剤の種類と量
- 作業人数と作業時間
- 出張費や駐車場代などの諸経費
- 発生したゴミの処分費用
- 再発保証の有無と内容
内訳が「作業一式」のように曖昧な場合は、詳細な説明を求めましょう。
丁寧な説明をしてくれるかどうかも、信頼できる業者を見極めるポイントになります。
相見積もりを取ることで、ご自宅のカイガラムシ駆除における適正な費用相場を把握でき、納得感を持って業者を選ぶことができます。
剪定など他の作業とセットで依頼する
もしお庭の他の手入れも検討しているなら、カイガラムシ駆除とセットで依頼することで、トータルの費用を安く抑えられる場合があります。
多くの植木屋や造園業者は、複数の作業をまとめて依頼すると「セット割引」を適用してくれることがあるからです。
業者側にとっても、一度の訪問で複数の作業をこなせるため、移動コストや準備の手間を削減できるというメリットがあります。
その分を料金に還元してくれるのです。
特に、カイガラムシの予防に直接つながる「剪定」は、駆除と同時に依頼する価値が非常に高い作業です。
剪定によって枝葉の風通しが良くなると、カイガラムシが好む湿った環境が改善され、再発防止に繋がります。他にも、以下のような作業をまとめて依頼できないか相談してみましょう。
- 他の病害虫の消毒作業
- 樹木への施肥(肥料やり)
- 庭全体の草むしりや除草作業
見積もりを依頼する際に、「カイガラムシ駆除と剪定を一緒にお願いした場合の料金も知りたい」と一言伝えるだけで、お得な提案を受けられる可能性があります。
カイガラムシの発生初期に依頼する
カイガラムシの駆除費用は、その被害状況に大きく左右されます。
つまり、被害が拡大する前の「発生初期」に依頼することが、結果的に最も費用を安く抑えるコツと言えます。
発生初期であれば、カイガラムシが付着している範囲が限定的であるため、以下のような理由で費用が安く済みます。
- 作業時間の短縮: 駆除対象が少ないため、短時間で作業が完了します。
- 薬剤使用量の削減: 散布する薬剤の量が少なくて済みます。
- 駆除の容易さ: カイガラムシは成虫になると硬い殻で覆われ薬剤が効きにくくなりますが、幼虫の段階であれば薬剤による駆除が比較的容易です。
- 二次被害の防止: 大量発生によって引き起こされる「すす病」などの治療が不要なため、追加の作業や費用がかかりません。
庭木や植物の葉、枝、幹などに「白い綿のようなもの」や「黒いすすのような汚れ」を見つけたら、放置せずにすぐ専門家に相談しましょう。
「まだ少しだから大丈夫だろう」と考えているうちに、あっという間に被害が広がり、駆除費用も高額になってしまいます。
日頃からの観察と早期発見が、最大の節約術です。
地域の植木屋や造園業者に直接相談する
全国展開している大手業者や、様々なサービスを仲介するポータルサイト経由で依頼するのも一つの手ですが、費用を抑えたい場合は「地域密着型の植木屋・造園業者」に直接相談することをおすすめします。
大手や仲介サイトを利用すると、広告費や仲介手数料(マージン)が料金に上乗せされている場合があります。
一方、地域に根差した個人の植木屋や小規模な造園業者に直接依頼すれば、こうした中間マージンがかからないため、料金が割安になる傾向があります。
また、近隣の業者であれば移動距離が短いため、出張費が安価、あるいは無料になるケースも少なくありません。
Googleマップで「植木屋 〇〇市(お住まいの市町村名)」などと検索したり、地域の情報誌を確認したりして探してみましょう。
費用面以外にも、地域の気候や土壌を熟知しているため、その土地の環境に適した的確な駆除方法や年間を通した管理計画を提案してくれるというメリットもあります。
また、選択肢の一つとして、各自治体のシルバー人材センターに相談する方法もあります。
比較的安価に依頼できる場合がありますが、専門性や使用できる薬剤、高所作業の可否などが限られる場合があるため、事前に作業内容をよく確認することが大切です。
失敗しないカイガラムシ駆除業者の探し方と選び方
大切な庭木や植物をカイガラムシの被害から守るためには、信頼できる駆除業者を選ぶことが最も重要です。
しかし、いざ業者を探そうとしても「どこに頼めばいいのかわからない」「悪質な業者に騙されたくない」と不安に感じる方も多いでしょう。
ここでは、カイガラムシ駆除を依頼できる業者の種類から、優良な業者を見極めるための具体的なチェックポイントまで、失敗しないための探し方と選び方を詳しく解説します。
カイガラムシ駆除を依頼できる業者の種類
カイガラムシの駆除を依頼できる業者には、いくつかの種類があります。
それぞれに特徴や得意分野があるため、ご自身の状況や求めるサービス内容に合わせて最適な業者を選びましょう。
専門知識が豊富な植木屋・造園業者
植木屋や造園業者は、植物の生態を知り尽くした「木の専門家」です。
カイガラムシの駆除はもちろん、被害の原因となっている風通しの悪さを改善するための剪定や、樹勢を回復させるための施肥など、根本的な解決策を提案してくれます。
使用する薬剤についても、植物への影響を最小限に抑えつつ効果を最大限に発揮する種類や散布時期を熟知しています。
庭全体の美観を保ちながら、長期的な視点でカイガラムシの再発防止まで任せたい場合に最もおすすめできる選択肢です。
手軽に頼める便利屋や害虫駆除業者
「とにかく今すぐ対応してほしい」「費用を少しでも抑えたい」という場合には、便利屋や害虫駆除業者も選択肢に入ります。
対応がスピーディーで、比較的リーズナブルな料金設定であることが多いのがメリットです。
ただし、植物に関する専門知識は植木屋に劣る場合があります。
薬剤の選定や使用方法によっては植物を傷めてしまうリスクもあるため、依頼する際はカイガラムシの駆除実績が豊富かどうかを事前に確認することが重要です。
大手ならダスキンなども対応可能
全国展開している大手のハウスクリーニング業者や害虫駆除サービスも、庭木の害虫駆除に対応している場合があります。
例えば、ダスキンでは、庭木のお手入れサービスの一環として病害虫駆除を提供しています。
大手ならではの安心感や、明確な料金体系、マニュアル化された安定した品質のサービスが期待できるのが魅力です。
ただし、料金は地域の植木屋に比べて割高になる傾向があり、対応の柔軟性では地域密着型の業者に劣る場合もあります。
信頼できる業者を選ぶためのチェックポイント
依頼したい業者の種類が決まったら、次は複数の業者を比較検討し、信頼できる一社に絞り込んでいきます。
以下のポイントをしっかりチェックして、後悔のない業者選びをしましょう。
駆除実績や口コミ・評判の確認
まず確認したいのが、カイガラムシの駆除実績です。
業者の公式サイトに掲載されている施工事例やお客様の声は、技術力や対応の質を判断する上で重要な情報源となります。
特に、写真付きで具体的な作業内容が紹介されている場合は信頼性が高いと言えるでしょう。
また、Googleマップの口コミや地域の評判サイトなど、第三者の客観的な評価も参考にしましょう。
良い評価だけでなく、万が一悪い評価があった場合にも、その内容と業者の対応を確認することで、誠実な業者かどうかを見極めることができます。
見積もり内容が明確か
優良な業者は、必ず詳細な見積書を提示します。
見積書をチェックする際は、「作業一式」といった曖昧な記載ではなく、以下の項目が具体的に明記されているかを確認してください。
- 作業内容(薬剤散布、手作業での除去、剪定など)
- 作業対象(木の高さ、本数、範囲)
- 料金の内訳(作業費、薬剤費、出張費、ゴミ処分費など)
- 追加料金が発生する場合の条件
複数の業者から相見積もりを取り、内容と金額を比較検討することで、料金の妥当性を判断しやすくなります。
不明瞭な点があれば、契約前に必ず質問し、納得できる説明を求めましょう。
再発保証の有無
カイガラムシは繁殖力が強く、一度の駆除では完全に根絶できないこともある厄介な害虫です。
そのため、駆除後の「再発保証」や「アフターフォロー」の有無は、業者選びの非常に重要なポイントとなります。
保証がある業者は、それだけ自社の駆除技術に自信を持っている証拠とも言えます。
保証期間や、期間内に再発した場合の対応(無料での再施工など)について、契約前に書面でしっかりと確認しておきましょう。
万が一の再発時にも無駄な出費を抑えることができ、安心して依頼することができます。
カイガラムシ駆除を業者に依頼する流れ
カイガラムシの駆除を専門業者に依頼するのが初めての方でも、安心して進められるように、一般的な流れを4つのステップで解説します。
問い合わせから作業完了まで、各段階でのポイントを押さえておけば、スムーズに最適な業者へ依頼できます。
ステップ1 お問い合わせと現地調査の日程調整
まずは、気になる業者に電話や公式サイトの問い合わせフォーム、メールなどで連絡を取ります。
このとき、以下の情報を事前にまとめておくと、その後のやり取りが非常にスムーズになります。
- 氏名、住所、連絡先
- カイガラムシが発生している植物の種類(例:ウメ、モミジ、ツバキ、キンモクセイなど)
- 被害を受けている植木の本数やおおよその高さ
- 被害の状況(例:「白い綿のようなものが枝にびっしり付いている」「葉や枝が黒いすすで覆われている」「地面がベタベタする」など)
- 現地調査を希望する日時(複数候補を挙げると調整しやすいです)
多くの植木屋や駆除業者は、正確な料金を算出するために現地調査を行います。
問い合わせの際に、現地調査や見積もりが無料かどうかを確認しておきましょう。
担当者と相談し、現地調査の日程を決定します。
ステップ2 現地調査と見積もりの提示
予約した日時に業者の担当者が訪問し、カイガラムシの被害状況を詳しく調査します。
調査では主に以下の点を確認します。
- カイガラムシの種類と発生範囲
- すす病などの二次被害の有無
- 対象となる植物の健康状態(樹勢)
- 作業スペースの広さ、高所作業車や脚立が使用できるか
- 近隣の建物や車、洗濯物などへの配慮が必要か
できる限り現地調査には立ち会い、被害状況を一緒に確認しましょう。
その場で疑問点や要望(「この木もついでに見てほしい」「薬剤はペットに安全なものを使ってほしい」など)を直接伝えることで、認識のズレを防げます。
調査後、作業内容や料金の内訳が記載された見積書が提示されます。
見積書を受け取ったら、以下のポイントを必ずチェックしてください。
- 作業内容(薬剤散布、物理的なこすり落とし、剪定など)が具体的に記載されているか
- 料金の内訳(作業費、薬剤費、出張費、諸経費など)が明確か
- 追加料金が発生するケースについて説明があるか
- 作業後の保証(再発保証など)の有無と内容
見積もり内容に不明な点があれば、遠慮なく質問して納得できるまで説明を求めましょう。
ステップ3 契約と駆除作業の実施
提示された見積もり内容に納得できたら、正式に契約を結び、作業日を確定させます。
トラブルを避けるためにも、口約束ではなく必ず書面で契約内容を確認しましょう。
作業当日、業者はまず作業スペースの安全を確保し、必要に応じて近隣へ挨拶回りを行います。
薬剤が飛散して車や住宅、洗濯物などを汚さないよう、養生シートでしっかりと保護してから作業を開始するのが一般的です。
依頼者側も、作業の邪魔になりそうな植木鉢や自転車などを移動させておくと、作業がスムーズに進みます。
駆除作業は、高圧洗浄機でカイガラムシを洗い流したり、マシン油乳剤などの専門薬剤を散布したり、被害が深刻な枝を剪定したりと、状況に応じて最適な方法が選択されます。
作業時間は、植木の本数や高さ、被害の深刻度によって異なりますが、数時間から半日程度かかるのが一般的です。
ステップ4 作業完了の確認と支払い
作業が完了したら、担当者と一緒に仕上がりを確認します。
カイガラムシがきちんと駆除されているか、植物や周囲の建物に傷などが付いていないかを自分の目でチェックしましょう。
このとき、今後のメンテナンス方法や再発防止策についてアドバイスをもらえます。
カイガラムシを再発させないための重要な情報なので、しっかり聞いておきましょう。
すべての確認が終わり、問題がなければ料金を支払います。支払い方法は業者によって異なり、現金、銀行振込、クレジットカードなどが利用できます。
契約時に確認した方法で支払い、必ず領収書を受け取ってください。
もし再発保証が付いている場合は、保証期間や適用条件が記載された保証書も忘れずに受け取り、大切に保管しておきましょう。
駆除後に重要!カイガラムシを再発させない予防策
専門業者による徹底的な駆除作業でカイガラムシを一度リセットしても、発生原因となった環境が変わらなければ、残念ながら再発のリスクは残ります。
カイガラムシは非常に繁殖力が高く、わずかな生き残りや外部からの飛来によって、再び勢力を拡大してしまうからです。
大切な庭木や植物を永続的に守るためには、駆除後の「予防」こそが最も重要です。
ここでは、プロも実践するカイガラムシを寄せ付けないための具体的な予防策を2つご紹介します。
風通しを良くするための定期的な剪定
カイガラムシが好むのは、日当たりが悪く、湿気がこもりやすい場所です。
枝や葉が密集して風通しが悪くなった木の内部は、カイガラムシにとって格好の住処となります。
そこで効果的なのが、定期的な「剪定」です。
特に、不要な枝を根元から切り落として樹木全体の風通しと日当たりを改善する「透かし剪定」は、カイガラムシの予防に非常に有効です。
混み合っている枝、内側に向かって伸びる枝、他の枝と交差している枝などを中心に間引くことで、湿気が溜まりにくくなり、カイガラムシが棲みつきにくい環境を作ることができます。
剪定の最適な時期は、植物の成長が緩やかになる冬期(12月~2月頃)が一般的ですが、樹木の種類によって異なります。
ご自身での剪定が難しい場合や、どの枝を切れば良いか分からない場合は、駆除を依頼した植木屋や造園業者に相談し、年間管理の一環として剪定も依頼することをおすすめします。
駆除と合わせて依頼することで、植物の健康状態をトータルで管理してもらえます。
薬剤散布による年間管理
カイガラムシの生態に合わせた薬剤散布は、再発防止の強力な一手となります。
カイガラムシは成虫になると硬い殻やロウ物質で体を覆うため、薬剤が効きにくくなります。
そのため、薬剤が効きやすい幼虫の時期や、活動が鈍る冬期を狙って計画的に散布することが重要です。
冬期(12月~2月):マシン油乳剤による越冬対策
多くのカイガラムシは、成虫や卵の状態で枝に付着して越冬します。
この時期に「マシン油乳剤」を散布するのが非常に効果的です。
マシン油乳剤は、カイガラムシの体を油膜で覆い、呼吸をできなくさせて窒息死させる薬剤です。
植物が休眠している冬期に使用することで、薬害のリスクを抑えながら越冬中のカイガラムシを駆除できます。
初夏(5月~7月):幼虫発生期を狙った殺虫剤散布
カイガラムシの多くは、5月~7月頃に孵化し、幼虫となって活動を始めます。
この幼虫はまだ殻が柔らかく、移動も活発なため、薬剤による駆除の絶好のタイミングです。
この時期には、「スミチオン」や「オルトラン」といった浸透移行性の殺虫剤が有効です。
浸透移行性殺虫剤は、薬剤が根や葉から植物全体に吸収され、その樹液を吸ったカイガラムシを内部から駆除する効果があります。
定期的に散布することで、孵化したばかりの幼虫を効率的に退治し、成虫になるのを防ぎます。
これらの薬剤散布をご自身で行うのが不安な場合や、適切な時期・薬剤の選定に迷う場合は、専門業者に「年間管理」を依頼するのが確実です。
プロが植物の種類や状態、カイガラムシの発生サイクルを見極め、最適なタイミングで適切な処置を行ってくれるため、再発のリスクを大幅に低減できます。
まとめ
カイガラムシは放置すると植物を枯らすだけでなく、すす病などの二次被害も引き起こすため、見つけたら早期の駆除が不可欠です。
自力での駆除も可能ですが、高所や大量発生時には限界があるため、専門知識を持つプロの業者への依頼が最も確実で安全な方法と言えます。
業者を選ぶ際は、複数の業者から相見積もりを取り、料金や実績、保証内容をしっかり比較検討することが重要です。
信頼できる業者に依頼し、駆除後の予防策も実施して大切なお庭を守りましょう。